留学先の国の特徴や留学情報をご紹介。
国ごとの違いを明確に知り、自分にあった留学先を見つけましょう。

大学・大学院・短期大学・専門学校 奨学金留学

最新の情報については、 ビザについては日本国内の大使館・総領事館に、学校情報は留学を希望する学校に、必ず直接確認してください。
K.M.さん
都市名:ハイデラバード
学校名:インド経営大学院
(Indian School of Business:ISB)
留学期間:2010年4月~2011年4月
取得資格・学位:Master of Business Administration:MBA(経営学修士)
留学形態:奨学金留学
奨学金名:ロータリー財団国際親善奨学金
(JASSO注:電話インタビューに基づく)
留学の動機
なぜインドに留学しようと思いましたか?他国との比較、決め手になったことなどお答えください。
2003年に日本の大学を卒業して、しばらくお坊さんをやっていましたが、これからのお寺の在り方などを広い視野から考えたいと思い、MBAに興味を持ちました。お寺の原点として、インドはお釈迦様の国なので、元々インドにすごく興味がありました。インドは好きになるか嫌いになるかとはっきりしているとよく言われますが、旅行でも行ったことがあり、私はインドが好きでした。会社から海外派遣されることもない仕事なので、社会人として海外に住む機会も少なく、自分で行くしかないため、この機会を逃すことなく行きたかった国に行こうと思いました。学ぶ中身がインドになければ仕方ないですが、色々調べる中で、ISBという世界的にそれなりの評価を得ている学校が見つかり、教育内容も十分だろうということで、いろんな条件が整ってインドに留学することになりました。
留学前の準備期間、言語の勉強方法
留学を思い立ってから実際に現地へ出発するまで何か月くらいの準備期間が必要でしたか?
1年半くらいです。まだ今まで通りの仕事をしている時期でしたが、インドに行きたいという気持ちはずっとありました。受験が結構大変で、MBAはGMAT、TOEFLなどの試験を国際標準で乗り越える必要がありました。私は海外に住んだ経験もなく、生まれも育ちも完全にドメスティックなので、まずはTOEFLを突破しなければならないことを踏まえて、受験勉強はかなりしました。
留学前にインドの現地語または英語をどのように勉強しましたか?語学試験は受験しましたか?
普通の公立の中高卒で、それほど英語が得意だったわけでもなく、大学でもそれほど英語を話す機会がなかったということもあり、まずはTOEFL対策をしっかりやりました。読み書きはまだ何とかなるだろうと考えていましたが、TOEFLにはスピーキングもあり、また留学先では実際に会話する機会もあり、講義も英語なので、会話は徹底的にやろうと思いました。リスニングについてはいろんなポッドキャストなどを活用して聞いていました。また日々のNHKのラジオ、英語ニュース、ビジネス英語なども聞いていました。受験のためにしばらく実家に帰りましたが、北海道の田舎なので、外国人や学校も少ないので、インターネットの格安英会話サービスで、フィリピンの先生とつないで勉強しました。基本的には独学で、ネット上でコミュニケーションを図っていて、かなり孤独な戦いでした。
ヒンディー語の勉強は全くしなかったです。インドでも身につかなかったので、少し残念ですが、勉強する余裕がありませんでした。でもそれくらい英語だけで何とかなる国だと言えます。学校の友人達を見てもインド人同士もほとんど英語で話しますし、オートリキシャやタクシーのドライバーも基本的な英語は話せますし、簡単に意志疎通する程度は英語で済むので、まったく問題はなかったです。
情報収集方法
どのようにしてインド留学について情報収集しましたか?
インターネットが中心でした。インドのビジネススクールの情報は本当に少なく、日本から留学した人がほとんどいないので、結構困りました。ISBの場合は留学生自体がそれほど多くなく、インドのコミュニティサイトも見ましたが、感覚が少し違うので、実情はよく分かりませんでした。
学校へはどのような手段で連絡を取りましたか?また、具体的な質問内容を差支えない範囲で教えてください。
日本人の卒業生の話は聞きたかったですが、存在しませんでしたので、アドミッションにメールをしたところ、すごく好意的な返事がありました。ダイバーシティを拡げるという意味で、日本人として学校からはかなり歓迎してもらえたと思います。
入学試験
入学試験を受けましたか?またその教科や内容を教えてください。
ビジネススクールは多様性があるということ自体が重要なアピールになり、ダイバーシティをすごく気にしています。国籍もそうですし、職種も例えば全員がコンサルティング出身だと、学びも偏ってしまいます。また、ネットワーク作りという観点からも多様性を拡げられる学生を優先することもあります。私は国籍も職種もかなりユニークだったので、評価されたと思います。
奨学金・授業料減免制度
奨学金もしくは授業料減免制度の利用
ロータリーの奨学金をいただくことができたので、これで学費はなんとかカバーできました。いまは変わってきていると思いますが、当時は25,000ドルを支給するという制度でした。
ビザ・居住の許可等の取得
(JASSO注:手続き上の必要書類等は当該地における当時のもので、申請にあたっては、自己の責任において最新の情報を確認する必要があります。)
ビザの取得にはどのような書類や手続きが必要でしたか?気をつけた点も教えてください。
最初家族のビザが取れず、取得のために学校にも支援を仰ぎました。学校が海外から学生を呼び込もうとしているので、最大限対応してくれました。このような体制だったから何とかなったと思いますが、学校自体がちゃんとしていないと、大変なことが多い国だと思います。
学費、生活費、お金の送金・管理方法等
留学中にかかった学費(+諸経費)の総額はおよそいくらでしたか?どのような支払方法が便利でしたか?
基本的にインドの生活費は安いです。ただ、MBAは基本的にすごく高いです。特に欧米のMBAに行くと年間800万円くらいかかることもあります。これに比べるとインドのMBAは安いですが、それなりにかかりました。ISBの学費として、年間200万円以上はかかったと思います。
学費以外の生活費(住居費、食費、光熱費、教養・娯楽費など)の、1か月平均額または留学期間全体の金額を教えてください。
全寮制でした。インドなので、それほど高いものではありませんでしたが、家族で来ていて子供もいたので、3人分の費用がかかりました。交通費など諸経費を入れて年間100万円以上はかかりました。
学費、生活費をどのように捻出しましたか?(お差支えなければ教えてください)
生活費の分は貯金から捻出しました。留学に際してがんばって、ということで支援してくださる方もいらっしゃいました。
健康管理
どのような保険(タイプ・金額など)に入っていましたか?留学先校など現地で保険の指定はありましたか?
留学保険に加入しましたが、保険のお世話になることはありませんでした。
日本またはインドで予防接種・健康診断を受けた場合、その内容をお教えください。
予防接種は受けました。詳しくは分からないですが、インドに行く人はこれを受けましょう、というものがあるので、それは受けたほうが良いと思います。
現地の医療サービス(大学・現地の病院・クリニック等の利用、薬や衛生用品の利用)を受けましたか?またその場合、気をつけるべき点があれば教えてください。
風邪をひいて病院に行くということは何回かありました。ただ、私自身ではなく子供が心配で連れて行った程度で、現地の医療サービスを利用することはあまりありませんでした。
学校生活
日本の授業に比べて異なる点、インドらしいと思う特徴を教えてください。 教授・先生の教え方や授業内容に満足していましたか?
かなりインドインドしていました。国籍はインド人でも、かなり長い間アメリカで暮らしていたという方も多く、最近のインド人のエリート層は結構アメリカ化していると感じました。発想や、普段の生活様式や、持ち物も、iPhoneやブラックベリーなどを皆持っていて、生活水準もかなり高いと感じました。
ビジネススクールなので、起業経験やワークエクスペリエンスを求められますが、学生の多くは多国籍企業に勤務した経験がありました。この面でも、結構アメリカ的だと思います。
アメリカ的な中にインドらしさも残っていて、皆ヒンズー教徒だったり、イスラム教徒だったりして、全寮制で割り当てられた部屋の中に祭壇を設けてお祈りをしていたり、自分の宗教ベースを大切にしている人が多く、面白いと思いました。
学校全体やクラスで、現地の学生・外国人留学生・日本人留学生の割合はどのくらいでしたか?
600名くらい学生がいて、1年間のプログラムなので毎年学生が入れ替わりますが、留学生は1割に満たず、5%程度だと思います。残りはインド人だと思いますが、この中にインド系アメリカ人がいたとすれば、留学生は1割近かったかもしれません。外国籍でも見た目はほとんどインド人という方が多いです。平均年齢は28、29のあたりだと思います。
現地の学生・外国人留学生とどのようにして交流を深めることができましたか?大変だったことはありましたか?
寮生活なので、お互いの部屋に行ったり、家族がいたこともあって、家族ぐるみの付き合いもありました。結婚しているクラスメイトの子供と子供同士で遊ばせたりしていました。
クラス外の活動に参加しましたか?どのような活動をしましたか?
何度かありました。電気の無い村にソーラーランタンを届けるなど、面白いツアーに参加しました。
食事
普段はどのように食事をされましたか?現地の食事・食材で苦労したことはありましたか?
学食はビュッフェでいろいろ選べますが、基本的にカレーで、飽きることもありました。ベジタリアンが多いという点はインドなので当然ですが、基準がベジタリアンに合わせられているので、普通に食べていると菜食主義になります。自炊に関しては、妻が作ってくれたということもあり、かなり助かりました。
ちょっとした食あたりは1、2回程度ありましたが、それほどお腹を壊さなかったですし、学校自体はかなりしっかりしていて、飲み水もきれいなものがあります。そもそも1歳の子供を連れて行って元気に帰ってきましたので、そういう面では大丈夫だと思います。
健康管理に特別気をつけたことは実はなく、街のストリートの食べ物なども買って食べたりもしました。かえってあまりお客さんが入っていない、ちょっと高めのレストランなどで具合が悪くなったりすることが多かったです。安いけれどもしっかり回転しているところは結構大丈夫だったりします。
住居
留学中、どんな住居に住んでいましたか?
寮は家族向けとシングル向けがあって、私は家族向けに入っていました。2DKくらいで、東京で借りていた家より広かったです。
現地の治安状況・注意したこと等
治安状況を踏まえて気をつけた点について教えてください。
ハイデラバードは治安が比較的良かったと思います。デリーなどは治安が悪いところも多いと聞きますが、ハイデラバードは外資系企業も多く、比較的裕福であるということもあり、これは危ないと思ったことは一度もなかったです。妻も赤ちゃんをオートリキシャに乗せて買い物に行ったりしていました。
いわゆる危険な目にあったということは一度もないですが、ムスリムとヒンズーの対立があり、ハイデラバードはムスリムの勢力が強い場所でした。時々ストが起こったり、テロではありませんが騒乱があったりしました。でもISBは市街地ではなく新興地域の、周辺は外資系のオフィスばかりというエリアにあるので、騒乱とも無縁でした。市街地を通らずに空港に直接行けますし、ゴタゴタしているときは街の方に行かないようにするという意識はありましたが、基本的にはみんな全然に気にしていない状態でした。ごく一部で起きている、一部の人たちが勝手に盛り上がっていた、という印象です。
通信
パソコン、携帯電話、インターネットなどの現地での利用はいかがでしたか?
通信環境は良かったです。自分の部屋でもWi-Fiが入りました。図書館に行っても、ネット環境はしっかりありました。
インドでは停電などがトラブルになりがちですが、ISBはキャンパスで自家発電しているので、電気が落ちるということは一度もなかったです。
携帯電話は現地で買ったノキアを使っていました。通信費も安く、携帯はものすごく普及していますので、この点で不自由することはないと思います。日本からiPhoneを持っていってロックがかかって使えないということがあるかもしれませんが、ローミングはしない方が良いと思います。最初に通話料をチャージして、足りなくなったらまたチャージするという仕組みもあり、携帯電話の契約に銀行口座も必要ないと思います。料金プランも日本より選択肢が多い気がします。
帰国後の進路/留学と進路との関係
留学前・留学中・留学後のいつ、就職活動をされましたか?
就職活動はしていません。転職するわけではなく、帰る場所があるので、人材派遣会社などにも登録せず、オファーもなかったです。他の留学生はインドにチャンスを求めてきたりしているので、インドで就職したいとか、起業したいという方もいて、様々でした。
後輩へのアドバイス
留学生活を送る際の注意点と、これから留学を考えている後輩へのアドバイスをお願いいたします。
色々な世界の経済トレンドの中で、最近は中国リスクを感じながら、ちょっと別の国も開拓する必要があるのでは、という流れでインドに行き着くことがあると思います。人口も多く、選択肢として出てくるのは自然だと思いますが、これだけでこれからはインドだと言って、経済的なファクターだけで見ると、やや難しいこともあると思います。
インドはいろんな意味でスパイスが効いた国なので、基本的に好きでなければ嫌になる部分も出てくるということです。インドとの相性は各々あると思います。もしインドという国そのものに親近感なり、愛着なり、親しみなりがあれば、大いにお勧めしたいと思いますし、これが基本だと思います。この基本さえあれば、本当にいろんなチャンスもあるだろうし、面白いこともたくさんあります。留学期間も十分楽しめますし、その経験が人生にとっていろんな面で生きてくると思います。
要は、基本的な相性、この国何となく面白いかも、と思える感覚があるかないかということです。インドを深く知っているとか、インドに入れ込んでいるということではなくても良いと思います。好奇心をある程度もっていれば、ちゃんとそれに応えてくれる国ですが、あまりフィットしなければ鬱陶しい国になるかもしれません。こればかりは相性だと思います。この面で、インドに一度行ってから留学を決めた方が良いと思います。
留学中の1週間の時間割
平日(月曜日~木曜日) 休日(金曜日~日曜日)
7時 起床・朝食
8時 1コマ目
10時 2コマ目
12時 昼食
13時 3コマ目
15時 4コマ目
17時 5コマ目
19時 夕食
20時 予習・復習・グループワーク
25時 就寝

※5コマの設定のうち、平均2コマが埋まる。余裕がありそうに見えるが、実際には予習復習の課題が多く忙しいため、2コマで精一杯
過ごし方は自由だが、予習復習に課題、グループワーク、試験勉強などが忙しく、学期内の休日はゆっくり休む余裕はない

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)は、
文部科学省が所管する団体です。
学生支援を先導する中核機関として、「奨学金事業」
「留学生支援事業」および
「学生生活支援事業」を
総合的に実施し、
次世代の社会を担う豊かな
人間性を備えた創造的な人材を育成すると
ともに、
国際理解・交流の促進を図ることを目指しています。