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2007年6月15日更新

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韓国

体験レポート(大学院3)

谷口 晋さん
高麗大学校国際大学院
高麗大学校国際大学院について
まず、「国際大学院」という概念自体が日本においてはあまり馴染みがないものではないかと思います。
国際関係学を学べる大学院は日本中にたくさんあると思いますが、
このように一般大学院とは別個の存在として作られたものは、ほとんどないのではないかと思います。
「国際大学院」というものが韓国においていくつか見られるのは、
80年代末から90年代にかけての、韓国政府の政策によるものでもあったようです。
ソウルでも、高麗大学校のほかにソウル大学校、延世大学校のトップ3校をはじめ、
韓国外国語大学校、慶煕大学校などにも国際大学院があります。
高麗大学校の国際大学院は、まだ歴史はそれほど深くありません。
私が昨年の9月の入学ですが、「10.5期」というふうに言いますので、まだ10年そこそこ、といったところでしょう。
ソウル大学校や延世大学校にはもう少し前からあったという話を聞いております。
また、国際大学院は基本的に英語で講義が行われますが、
ソウル大学校国際大学院の韓国学専攻の場合は、韓国語で授業が行われるようです。
高麗大学校の場合、一般の大学院とは別に募集を行っています。
例えば、9月入学の場合、一般大学院の出願締め切りが3月であるのに対し
、国際大学院は5月であるといったように、別物として扱われている節もあります
(といっても、虐げられているということではありません。あくまで、別枠、という感じです)。
提出書類も異なります。
高麗大学校には、「大学院棟」という建物があるのですが、
国際大学院は、大学内の国際館(???)という建物の中にあります。
同じ建物には高麗大学校の付属語学堂(韓国語文化教育センター)もあり、
私自身も以前そこで勉強していた関係で、国際大学院の存在を知りました。
​高麗大学校の国際大学院は、大きく分けて二つに分けることができます。
国際学専攻(Department of International Studies)と、
韓国学専攻(Department of Korean Studies)です。
大半の学生は国際学専攻で、私が所属している韓国学専攻は、全学生の数%に過ぎません。
もっとも、韓国学専攻でも国際学の授業を取ることは必要ですから、国際学専攻の学生と知り合うことは可能です。
さて、現在私が机を並べている学生たちは、正確な数字はわかりませんが、ほぼ8割がたが韓国人と言ってよいでしょう。
私のように大学を卒業してあまり間を空けずに入学した人も多いですが、
一度社会人生活を経験してから、会社を辞めて入学したという人も少なくありません。
中には「仕事をしながら」と言う人もいますが、さすがにこれは少数派です。
また、男女比は圧倒的に女性が多いです。
韓国では、男性は兵役義務(2年強)があるため、
専門性が高い理系の学生以外で大学院に行く比率は、日本などに比べると低いようです。
「修士取ったらすぐ30だよ」ということを言っていた人もいました。
従って、特別な理由で兵役を免除された1名を除き、
私の知る限り、ここの韓国人の男子学生は例外なく私より年上(私は82年生まれ)です。
女性も、年上の人のほうが多いようです。
外国人はインド人と中国人が中心です。彼らも国際学専攻が主です。
韓国学専攻は、中国人が1名、アメリカ人が1名です。
中国やインドの学生は、いろいろな奨学金をもらって来ている人が多いようですが、
日本人学生に対してはそういった奨学金はありませんでした。
来学期(3月から)には、日本人の方が1人入学されると言う話を聞いていますが、
いずれにせよ、日本での国際大学院の知名度の低さ、あるいは、
日本人の多くが「韓国へ留学する」ということに、価値を見出せていないということが理由かと思われます。
また、正規課程の学生以外にも、半年や1年の期間で来ている交換留学生がいます。
主な出身国はドイツ、デンマーク、イギリス、アメリカなどです。
外国籍の韓国系学生や、韓国人のハーフの学生などもいます。
こういった意味では、外国人のバラエティーが豊富で、非常に面白いです。
学生たちのバックグラウンドはそれこそ十人十色です。
学部時代の専攻も、政治、経済、経営など比較的関連性のある分野だった人から、
英語、ドイツ語、日本語などの言語や文学、美術などの人文系、
化学、物理、コンピュータなどの理工系の出身者まで様々です。
したがって、Core Coursesと呼ばれる基礎科目は、知識を前提としないので、それほどレベルは高くありません。
私が先学期履修した国際経済(International Economics)の授業は、学部時代に履修したものと内容がほぼ同じでした。
もちろん、学部時代に経済学を全く学んでいない学生がいる(しかも多数)以上は、仕方のないことではあります。
しかし、大学院で受ける授業としては、物足りないといった感覚もありました。
学部の専攻が全く別のエリアだった学生は、
入学前に少しでも基礎的な知識をつけておくと、授業に入っていくのが楽かもしれません。
授業の行い方は、学部の授業と大きな違いはないと思います。
ただし、韓国学の授業はどうしても受講生が少ないため、主体的な参加が求められます。
逆にそうでないと、教授がずっと一方的に喋っている状態になってしまうため、授業が苦痛になってしまう場合が多いです。
また、教授によっては、受講生の多い国際学の授業でも、学生の発言や質問を求める場合があります。
傾向として、韓国人は日本人と同じで質問をすることにおいてはあまり積極的ではありません
(普段は言いたいことをどんどん言ってくる国民性なのに不思議です)。
一方で中国人、インド人、アメリカ人などは、やはり質問や発言を積極的にするようです。
私個人もできるだけ積極的に参加するように心がけています。
やはり、そのほうが授業で得ることも多いと思います。
教授は基本的に韓国人です。したがって、人によって英語の実力も違います。
正直に言って、聞き取りにくい英語を話す教授もいるので、それに関しては「国際大学院」としては残念です。
また、教授によって課してくる課題の量も様々で、ただ座っていればいい、という授業も残念ながらあります。
一方で、毎週すさまじい量の宿題を出してくることで有名な教授もいます。

どんな授業を取るかは、もちろん学生次第です。

ただ、英語で学ぶ大学院としては、やはり欧米の大学院と比べたときに、全体的なレベルの低さは否めません。

私自身は韓国学を学んでいるため、韓国にいる意義はあると思いますが、

目的が「英語で国際関係学を学ぶ」ということならば、韓国の国際大学院である必要はないかな、というのが率直な感想です。

私個人としては、韓国と言う国について深く知りたいということが目的だったために、
実際に韓国という国を感じながら学べることは、なにものにも代え難いと思っています。
韓国という国の歴史的ダイナミズムを知るにつれ、
今まで自分がこの国についてほとんど何も知らなかったのだ、ということを改めて痛感しました。
とかく第二次大戦以前に目が行きがちな韓国史ですが、
戦後の韓国史のダイナミックさは、学ぶほどに興味を惹かれます。
その上に今の韓国があるのだな、と思うと、同じ現在の韓国を見る時でも、全く違った見方ができるようになります。
その感覚は、なかなか得難いもののような気がしています。
欧米の有名大学に行くような、キャリアにおけるプレミアムを望むなら、
韓国の国際大学院はあまりふさわしくはないかも知れません。
韓国の国内でも、国際大学院の就職におけるプレミアムはそれほど高くない、というのが現実のようです。
韓国の就職が今まさに氷河期を迎え、トップ大学の卒業生でも就職が難しい中、ここの卒業生も例外ではないようです。
韓国という国に対してよほどの思い入れがない限りは、国際大学院に来る意義を見つけるのは難しいかもしれません。
とはいえ、韓国での生活で学ぶこと、考えること、感じることは決して少なくはなく、
私自身は韓国に来る決断をしたことは、間違っていなかったという確信を持っています。
必要な時間も費用も小さくはありませんが、この2年間で得た糧をどう活かすかさえ間違わなければ、
韓国の国際大学院というオプションは、人生において決して無駄な投資ではないと考えます。

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