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2007年3月作成、2007年6月15日更新

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韓国

体験レポート(語学4)

Tさん
延世大学校語学堂 語学留学
新村の下宿で起こった留学生殺人事件に巻き込まれ警察で取調べを受けた経験
それは突然やってきました。
部屋のドアを叩く音、下宿のおばさんであれば名前を呼びながら叩くはず...。
誰かと尋ねたところ、警察の人間だといいます。
まずその時点から信用ができませんでした。
警察が一体何の用なのか。
その時、先週の日曜日のことが頭を一瞬よぎりました。
なぜかうちの下宿の前にパトカーが何台も止まっていて、
警察が下宿内の階段で現場検証のようなことを行っていました。
階段を上がる際にも呼び止められることもなく、
「泥棒が入ったのかな?」程度の軽い考えでした。
ふと我に返り何の用件か尋ねると、何か事件が起きたので協力してほしいとのことで、
協力できることがあればと思い、警察の方を部屋に通しました。
警察官は警察の身分証明証を見せ、私の机にあったある一本のお酒を手に取り、
「いつどこで購入したのか、誰と飲んだのか」など細かく質問した後、
「この辺で変な人を見なかったか」といった一通りの質問をして帰っていきました。
なにか事件があったのかと質問しても、警察官たちはなにも答えてくれませんでした。
それから数日、語学堂では変なうわさが広まり始めました。
新村で殺人事件があったらしいという...。
被害にあったのは、12月に語学堂を卒業後、延世大学に転入した中国人学生とのことです。
まさかと思いました。が、それは現実でした。
下宿に帰りしばらくすると、ドアがノックされました。
まるで私が帰ってくるのを待っていたかのように。
先日の警察官と他にも3人、合計4人で私の部屋に入ってきました。
一人の警察官と話している間に他の警察官は私の部屋を物色し始めていました。
今回も事件の内容は告げてくれません。
ただ、犯人特定のために協力してほしいということだけでした。
質問の内容は、やはり私の部屋にあったお酒の話になりました。
バーコードの検査、中身の液体検査などの結果、検証のために持ち帰るといいました。
この時点ですでに私は「かなりの確率で疑われている」と思いました。
そこで次に来たのが、「遺伝子検査」でした。
最初は私の聞き違いかと思いましたが、
書類を出されてサインをしてくれと言われました。
綿棒を口に入れて、唾液を取るようです。
もう私はここでいっぱいいっぱいでした。
聞きなれない韓国語で警察から事情聴取を受け、
さらには犯人特定のための遺伝子検査まで要求されるとは。
一応は辞書を片手に書類に目を通しました。
この時私は語学堂4級でしたが、ある程度は理解ができました。
しかし最後の最後、注意事項のところに理解できない部分がありました。
「警察側の手違いで逮捕・拘束される場合もある。」
簡単に訳すとこんな感じでした。
もちろん何もやってないので無実を証明したい、が、
もし何かの手違いで犯人とされたら韓国から一生出られなくなる!
しかもDNA判定は絶対に覆らない...。
警察は協力の範囲なので、したくなければしなくてもいいとは言うものの、
その時の雰囲気は遺伝子検査をやらなければ容疑者と決めつけられそうな
圧力を感じました。
「重要なことなので間違えると困ります。
明日韓国人の友達に電話して聞いてみます。」
と答え、その日はお引取りいただきました。
翌日の語学堂では、その話はかなり広がっていました。
中国人学生がかなり先から情報を入手していたようです。
課外授業の先生の教え子だったようで、
とってもいい子だったのにというお話を泣きながら話してくれました。
そして下宿からは人がどんどんと減っていきました。
殺人事件があった下宿、確かに住んでいたくはないでしょう。
そして何が原因だったのか、それさえもつかめない状況では、
対応の仕方がありません。
下宿に帰ると、「各階の鍵をしっかりと閉めましょう。」という張り紙が貼ってありました。
これはその地区の警察が貼っていったものです。
そろそろまずいなと感じました。
住んでいた下宿は入り口が前後に二つあり、基本的に玄関には鍵がありませんでした。
4階建てで、最上階には大家さんが住んでいます。
各階には鍵がついていましたが鍵をかける人はほとんどいない状態で、
各部屋にはドアノブの鍵とさらにもう一個鍵がついていました。
食事は作っておいてある状態であり、大家さんとの交流はそれほどない下宿でした。
万が一食事に毒が入っていたら、誰でも被害者となる可能性があったのではないか。
そんな不安もあり、その頃から下宿では食事をしなくなりました。
新村でも危険といわれる丘の上に位置し、年末に日本に帰ったために新しく契約した下宿で、
そこの魅力は値段が安いことでした。
だからといって、すぐに引越しができるわけでもありません。
とはいえ、早めに引っ越すべきでした。
数日後には警察から電話がかかってきて、
事情聴取をするため西大門の警察署まで来てくれとのことでした。
さすがに不安だった私は友達と約束して行くことにしましたが、
その次の日には「下宿の前にいるから早く学校から帰ってきてくれ」と連絡がきました。
下宿の前に行くと他の住人と一緒にバスで警察署に連行されました。
韓国人の友達はそのことを聞き、タクシーで駆けつけてくれました。
小さな個室に入れられ、そこで初めて殺人事件があったこと、
私の部屋にあったお酒が被害者の部屋にもあったこと、
何月何日に事件が起きたことなどを教えてくれました。
容疑者のひとりにあげられた私は、ここ2週間の行動をすべて説明することになりました。
何時に起きて、学校に何時に行ったか。
学校終わった後は何をしているか、誰といつ、どこで、何をしたかということを
事細かくすべて説明しました。
一緒に遊んだ友達は名前と齢を確認されました。
この事情聴取は4時間に及び、途中友達が来てくれてからは多少、
心が楽になりました。
それまでは緊迫した中で慣れない警察の方との難しい韓国語とのコミュニケーションで、
かなり精神的に追い込まれていたと思います。
最後には、事情聴取の内容を印刷したものに署名し、やはりそこでも遺伝子検査を頼まれ、
友達と相談し実施することにしました。
後から気づいたことですが、その部屋には面通しするための鏡があって、
向こう側からチェックされていたようです。
考えるだけでもゾッとしました。
2週間後ぐらいでしょうか、犯人が逮捕されたと新聞記事になりました。
犯人は仮釈放中の40代男性で、計画的ではなく、
ドアが開いていたため犯行に及んだとのことでした。
玄関に鍵が無かったこと、各階のドアも施錠していなかったこと、
また、この下宿には中国人が多く、よく部屋を行き来していたため、
部屋のドアも鍵を掛けていなかったという複数の要因が重なったために発生した悲しい事件です。
その後、玄関にも鍵が設置されました。
また、学生たちの中でも部屋でのすごし方、施錠への意識が変わるなど、
大きな影響を与えた事件になりました。
飲み会のあとは、女の子を必ず送って帰るようになりましたし、
常に鍵に対して意識もしていました。
日本でも危険はありますが、留学という海外での慣れない生活、
言語・文化の違いなどを常に心がけ、毎日を楽しく過ごしていただければと思います。
最後に、犠牲者の方のご冥福をお祈りいたします。

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