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大学・大学院・短期大学・専門学校 私費留学

S.K.さん

学校名:韓東大学 (Handong Global University) 
都市名:ポハン(浦項市)
専攻名
第1専攻 : Global Management (経済経営学)
第2専攻 : US and International Law (米国法学/国際法学)
留学期間:2012年3月~2016年2月現在
取得資格・学位:学士号(二つ)
在籍課程:学士課程
留学形態:私費留学(学内授業料減免制度利用)
留学の動機
なぜ韓国に留学しようと思いましたか?他国との比較、決め手になったことなどお答えください。
アメリカ留学の経験があった両親に影響され、元々はアメリカの大学を留学先として検討していました。
しかし自分が留学に求めているものはあくまでグローバルな経験であって、「留学=アメリカ」という固定概念に縛られる必要はないのだと思い直し、たくさんの国からの留学生が一緒に学んでいる韓東大学を選びました。勉学面での評判も良く、ほぼ全寮制のため留学生同士の交流も盛んな大学であったことが決め手となりました。
留学前の準備期間、言語の勉強方法
留学を思い立ってから実際に現地へ出発するまで何か月くらいの準備期間が必要でしたか?
留学を思い立ってから書類選考、面接試験を受けるまでには4か月ほど、合格が決まってから出国までには2か月ほどの準備期間がありました。学科試験はなかったため、入試対策という点では特に時間のなさを感じることはありませんでしたが、合否通知から出国までは思ったよりも短く、身の回りの準備は大変に感じました。
準備期間中にいちばん大変だったこと、時間は十分だったかをお答えください。
提出書類の認証に苦労させられました。当時は認証のプロセスに関する知識が浅く、提出期限の迫る中で焦りながら対応していた記憶があります。きちんとプロセスを知っていれば焦ることなく期限内に対応できたかと思いますが、無知であったために時間が不十分だと思わされました。同様に授業料の海外送金でも戸惑うことがありました。
留学前に韓国語または英語をどのように勉強しましたか?語学試験は受験しましたか?
大学の講義は全て英語で受講していました。
英語:基礎的な英文法などは中高の授業で会得しましたが、英語での会話力・コミュニケーション能力を身につけるために週1回ネイティブ教師の英会話教室へ通っていました。英語の勉強というよりはひたすら世間話をするようなスタイルの英会話教室でしたが、大学生活では大いに役立ちました。大学英語に慣れるという意味ではTOEFL対策の夏期講習に参加し、リーディング・ライティングに慣れる努力をしました。
韓国語:大学の講義は英語と知っていたので、特別な韓国語対策はしていませんでしたが、初級韓国語のテキストを日本の書店で購入し独学で基礎的な会話のフレーズなどを覚えていました。
語学試験は入学時には英検2級以外には持っていませんでした(現在はTOEIC940程度)。TOEICやTOEFLの提出義務(TOEIC700以上)があった年もあるようですが、 私が出願した年の提出はオプショナルでした。
語学学習において、どんな勉強方法が一番効果的だと思いますか?
勉学面ではリスニング力の強化と読解能力を養うことが最重要と感じます。高校に比べて講義内容は必然的に難しくなるので、教授の話す言葉・教科書に書いてある内容を講義時間内に理解できる力がないと講義についていけなくなり、大学生活が苦しくなります。ネイティブスピーカーの話すスピードと発音に慣れておくこと、文章量の多い内容をスピーディーに且つ内容をおさえて読み解く練習をしておくことが効果的です。生活面では語学力というよりもコミュニケーション力の問題なので、語学学習だけにとらわれない”会話力”を養う練習が効果的と感じます。
情報収集方法
どのようにして韓国留学について情報収集しましたか?
はじめに韓東大学について知ったのは知人からの紹介を通してでした。大学のことを知ってからは大学のホームページを使っての情報収集をメインとしていましたが、一般的な韓国での生活については日本にいる韓国人の友人・知人から教えてもらうこともあり、大きな助けになりました。
現地学校への問い合わせ
学校へはどのような手段で連絡を取りましたか?また、具体的な質問内容を差支えない範囲で教えてください。
主には大学にある留学生担当部署のスタッフとやりとりをしていました。英語で対応していただけたので、メールでの連絡がほとんどでしたが、緊急時には国際電話も頻繁に利用していました。質問内容は主に必要な提出書類について、書類の認証について(どの書類に認証が必要なのかなども含めて)、学費や寮費の支払い方法についてなどだったと記憶しています。
連絡の際に困ったことはありましたか?
メールでのやりとりではすぐに返信が返ってこないことや、英語でのやりとりの中で誤解が生じることがあり、ストレスに感じることはありました。そのため重要なことや、急を要することに関しては、国際電話で大学に直接連絡し対応してもらうこともありました。日韓の間には時差がないので、その点では連絡がしやすく感じました。
出願
出願時に提出した書類と、提出方法を具体的に教えてください。
出願時に提出した書類:願書、高校の成績証明書、高校の卒業証明書もしくは卒業見込み書、自身と保護者のパスポートコピー、住民票などの家族確認書類、同意書、家族の経済状況の報告 (保護者の年収など)、銀行預金残高証明書 (過去1か月以上で1万ドル以上の預金があることを証明できるもの)、 第三者による推薦状などがありました。自己アピールエッセイではフォームの指示に従い、高校時代に達成したこと (困難を乗り越えた経験)、学校外での活動 (ボランティア経験など)、大学の教育方針に関する考え、大学で学びたいこと、将来のビジョンなどをそれぞれ英語で300~500単語でまとめるように指示されていました。全ての書類は英語もしくは韓国語である必要があり、日本語のみの証明書には英訳をつける必要がありました。任意提出として、奨学金申請書、TOEIC/TOEFL/SATなどの点数、その他の活動における賞状などの提出も認められていました。
提出方法:願書やエッセイなどはメールでの送付が認められていましたが、原本が必要な書類 (高校からの書類や住民票、戸籍謄本など認証が必要な書類)は郵送で提出したと記憶しています。
出願から正式な入学許可書を受け取るまでに苦労したことはありましたか?それをどのように解決しましたか?
出願時に提出した成績証明書などが適切に認証されておらず、大学側から再提出を求められることとなり苦労しました。当時はアポスティーユ認証に関する知識が浅かったため、ネットでの情報収集だけではプロセスの理解に時間がかかり、両親の知り合いであった行政書士の方にも連絡をして助けていただきました。
入学試験
入学試験を受けましたか?またその教科や内容を教えてください。
入学試験は書類選考(一次選考)と面接試験(二次選考)に分かれていました。
学科試験はなく、書類選考では自分がこれまでに成し遂げたこと、自身が大学で学びたいこと、将来のビジョン、大学のモットーに関する意見・感想などのエッセイを書きました。
面接試験では面接官4名から15分ほどの間、書類選考の内容に関する質問をメインに面接が行われました。なぜこの大学でなければいけないのかということ、将来の夢、そのためにどのような学びが必要と考えているかなどの質問を受けた印象が強く残っています。当時は日韓関係に問題も出始めていたので、その点も踏まえて日本人として韓国で学ぶことへの印象を聞かれることもありました。本来留学生はスカイプでのオンライン面接を受けますが、私は直接面接官の顔を見て話がしたかったため、高校の公欠をとり面接日に実際に大学へ足を運びました。
奨学金・授業料減免制度
奨学金もしくは授業料減免制度の情報をどこで得ましたか?また利用するためにどんな準備や手続き(書類提出・面接等)をしましたか?
大学自体にも奨学金制度がありましたが、主に途上国出身の留学生に適用されるものだったため利用は考えていませんでした。一方授業料減免制度は成績に準じて付与されるものだったので、意識的にしっかりと勉強し、毎学期授業料を一部から全額減免していただいていました。在学中の成績に準ずる授業料減免制度があることは入学するまで知りませんでしたが、入学試験 (一次・二次選考)の優秀者には2年間の3~5割授業料減免が認められることをホームページで知っており、実際に私もいただくことができました。
奨学金もしくは授業料減免制度を利用した感想について教えてください。
減免制度は学部内の成績(GPA)上位者に適用されていたので、勉強するモチベーションとしては、とても良い影響がありました。 (私の記憶が正しければ) 成績が学部上位15%に入れば学費3割減免、10%で5割減免、5%で7割減免、学部の成績上位1%に入れば授業料は全額免除だったため、制度の内容も充実していたと感じます。
ビザ・外国人登録証の取得
ビザの取得にはどのような書類や手続きが必要でしたか?気をつけた点も教えてください。
学生ビザ (D-2) の取得は合格者本人が各自取得する必要があったので、名古屋の総領事館へ行き申請しました。提出書類は大学からの入学証明書、合格通知書、高校の卒業証明書、本人か保護者の銀行預金残高証明書 (過去1か月以上で1万ドル以上の預金があることを証明できるもの)、パスポートなどが必要でした。
外国人登録にはどのような書類や手続きが必要でしたか?気をつけた点も教えてください。
外国人登録は入国後90日以内に韓国国内でする必要があり、大学の留学生担当部署のスタッフ付き添いのもと、留学生全員で浦項市内にある入国管理局へ行きました。外国人登録に必要な書類はパスポートのコピー、証明写真、外国人登録申請書、入学証明書などでした。
学費、生活費、お金の送金・管理方法等
留学中にかかった学費(+諸経費)の総額はおよそいくらでしたか?どのような支払方法が便利でしたか?
学費は一般には1学期約350万ウォン前後だったので、年間で約70~80万円ほど必要でした。しかし前述の授業料減免制度により授業料は毎学期3割から全額が減免されていたため、実質支払った学費は4年間で200万円ほどだったと記憶しています。入学金(約90万ウォン)と1学期目の学費/寮費の支払いは海外送金で行いましたが、それ以降は現地で銀行口座を作り、そこから送金していました。現地に口座を作っておくことで支払いは便利にはなりましたが、休暇中に日本へ帰国していると支払いが難しくなるので、支払い期間をきちんと確認して帰国の日程を組むなどの工夫も必要でした。
学費以外の生活費の、1か月平均額または留学期間全体の金額、及び内訳を教えてください。
大学はほぼ全寮制だったため、留学生寮に入寮していました。寮費は1学期で約70万ウォンほどと記憶しています。食事は大学内にあるカフェテリアなどで食べていたので、1学期で約100万ウォンほど使っていたと思います。その他の娯楽費などを合わせても1学期200~250万ウォンあれば生活できていたと思います。
学費、生活費をどのように捻出しましたか?
高校時代にアルバイトは禁止されていたため、学費・生活費は親に出してもらいました。ただ、なるべく奨学金を取得できるように勉強に励み、かつ在学中に何人かの教授のTA(Teacher’s Assistant)や日本語の補習クラスを担当することで、大学から幾らかのお金をいただいていました。
お金をどのように管理していましたか?現地で銀行口座を作った場合、どのような手続きをしましたか?
現地で銀行口座(デビットカード)を作りそこでお金の管理をしていました。韓東大学では学生証とデビットカードが一体化しているので、入学時に全員が現地の銀行(IBK)の口座を作ります。口座開設のプロセスは大学側が行ってくれるので、留学生担当部署スタッフの補助のもとで必要なフォームに記入するだけで銀行口座が作れました。このカードは韓国国内の公共交通機関で使えるプリペイドカード(T Money)にもなり、かつVISAカードでもあったため、必要であれば日本国内のATMからお金を引き出すこともできました。
日本からの送金が必要な際、どのように送金してもらいましたか?
日本からの送金は主にゆうちょ銀行から海外送金を行なっていました。
健康管理
どのような保険に入っていましたか?留学先校など現地で保険の指定はありましたか?
韓国国内の保険会社への加入は強制ではありませんでしたが、大学側から留学生対象に健康保険の紹介があり、私はそちらに加入していました。1学期(6か月)ごとの保険で保険料は15万ウォン前後だったと記憶しています。事故・病気による入院保障(1,000万ウォン)、医療保障(25万ウォン)、処方箋保障(5万ウォン)、死亡保障(1,000万ウォン)などが主な保険内容でした。
日本または韓国で予防接種・健康診断を受けた場合、その内容を教えてください。
入寮の際に健康診断の提出義務がありました。ただし提出が必要な検査は限られており、血液検査・尿検査・胸部X線検査の3点のみでしたので、日本でかかりつけの医師のもとへ行き検査をしてもらいました。
現地の医療サービスを受けましたか?またその場合、気をつけるべき点があれば教えてください。
現地で医療サービスを受けることはありませんでした。
学校生活

日本の授業に比べて異なる点、韓国らしいと思う特徴、受講した感想を教えてください。
どの講義でもチームプロジェクトが非常に多い印象を受けました。講義の内容理解はもちろんですが、それと並行して同じ講義を受けている学生数人でチームによる課題研究を行い、その研究発表を1学期間に数回する必要がありました。英語での講義内容も複雑で、かつ日々の宿題や課題図書も多かったため、その中でチーム研究と両立させるのに大変苦労した記憶があります。自習室は24時間利用可能だったため、私も含め、毎日朝の3時ごろまで勉強する学生が多く、試験期間中などは自習室で寝泊まりするようなこともあり、その点に関しては韓国式の勉強らしいなと感じることもありました。
予習・復習での工夫や苦労した点があれば教えてください。
入学当初は英語での講義についていけず悔しい思いをすることが多くありました。そのため、しっかりと予習をし、教科書の内容を理解しておくように努めました。重い教科書がかなり多かったので、講義中のメモはほとんどiPadなどのタブレットを使用し、荷物を減らす努力もしていました。復習に関しては前述のチームプロジェクトがあるので、否が応でも課題研究を行う際に復習せざるを得ない環境でした。
試験やエッセイ・レポート対策について、工夫や苦労した点があれば教えてください。
試験に関しては、先輩や過去に同じ講座を受けている友人から出題傾向やポイントなどを教えてもらうこともありました。タブレットでノートテイキングをしていたので、書き込んだノートの内容を効率的に覚えるためのアプリなども積極的に利用していました。
エッセイやレポートに関しては、英語のランゲージサポートセンターが大学キャンパス内にあったので、必要に応じて英語の文法的な問題を添削してもらっていました。
英語の授業に参加した方に伺います。韓国語は、授業・リサーチ・日常生活において必要でしたか?
講義自体は全て英語だったので授業中に韓国語の必要に迫られることはありませんでしたが、どの講座でも韓国人学生が大多数だったので、チームプロジェクトなどを行う際には英語だけでの意思疎通に不便さを感じることもありました。大学構内での日常生活では英語のみでほとんど問題はありませんでしたが、キャンパス外に遊びに行く時 (特に公共交通機関を利用する際など) には、基礎的な韓国語とハングルの読解力は必要だと感じました。ただ、最近は韓国国内の標識や地図、アナウンスもほとんどが英語とのバイリンガルなので、比較的生活は容易かと思います。ただ唯一散髪の際には英語が通じず少し苦労しました。
授業やレポートにおいて、語学上・学習上のサポートはありましたか?
語学面 (韓国語):韓国語レベルが低い留学生は、4学期間(2年間)韓国語を勉強することが義務付けられており、初級韓国語から韓国語での簡単なエッセイライティングまでを学ぶ4講座を受講しました。その際には留学生ひとりひとりに大学の韓国人学生が1人ずつ個別指導員(Tutor)を担当してくれており、授業や宿題でわからなかったことへの質問に答えてくれました。
語学面 (英語):韓東大学では英語のネイティブスピーカー以外の全学生が英語の語学講座を受講することが義務付けられていました。入学時にTOEIC/TOEFLなどを用い英語レベルを測った上で、それぞれのレベルにあった講座へ割り振られ、最大4講座までの受講が卒業前提となっていました。また、私は利用していませんでしたが、英語に自信のない学生のための英語教室も講義とは別枠で開講していました。
学習面:それぞれの教授にはTA(Teacher’s Assistant)と呼ばれる学生がおり、担当教授の開講している講座内容に深い理解のある学生が担当していました。試験期間前などにはTAによる補習(自由参加)なども行われ、学習面で困難を感じている学生が参加できるようになっていました。
学校の施設(図書館・Computer Lab・カフェなど)は充実していましたか?
設立20周年を迎え、少しずつ老朽化が進んできていましたが、在学中に補修工事なども進み施設内容は充実しています。図書館の蔵書数も多く、研究用の図書以外の書籍や映画などの貸し借りもでき、学生にとってはありがたい場所でした。自習室もキャンパス内の各所に設けられ24時間解放されていました。カフェテリアは入学当初は美味しくないと不評でしたが、学生からの強い要望を受け大胆な改修工事を行い、今では立派なカフェテリアになっています。加えてキャンパス外からのフードデリバリーサービスも充実しているため、深夜過ぎても食べ物をオーダーすることができました。キャンパス内には生活雑貨が買えるコンビニやカフェ、ファストフード店、床屋、本屋、ジム、診療所などがあり、キャンパス内の生活は充実しています。人工芝のサッカーフィールド、テニスコート、バスケットボールコートもあり勉学以外の生活も有意義に過ごせるよう環境整備が進められていました。
学校全体やクラスで、現地の学生・外国人留学生・日本人留学生の割合、学生の年齢層はどのようでしたか?
大学全体で見た場合、外国人留学生の割合は5%ほどで圧倒的に韓国人が多い大学ではあります。ただ、韓国人学生の中にも海外経験のある人が少なからずおり、海外意識の高い大学ではありました。私の入学時は全校学生数約3,500人の中で日本人は私を合わせて2人のみでしたが、現在は5~6人の日本人が在学していると聞きます。
韓東大学では休学制度がよく使われており、韓国人学生は休学をしてはワーキングホリデーやインターンシップなどを行なっていました。また韓国人の男子学生は在学中に2年間の兵役へ行くので、大学キャンパス内の年齢層は平均で2~3歳高かったように感じます。一方留学生はビザなどの関係から休学制度を利用する学生は少なく、ほぼ同年代の学生が多い印象でした。ただし韓東大学は大学院・法学院も併設しているため、修士・博士課程の学生も韓国人・留学生にかかわらず同じキャンパス内で生活していました。
現地の学生・外国人留学生と交流できましたか?その方法や大変だったことがあれば教えてください。
全寮制の4人部屋のため、学生との交流は多くの場面で可能でした。交換留学制度が非常に充実しており、逆に言えば4年間在学する留学生は少数派だったため、毎学期ごとに留学生寮のメンバーは半数以上が入れ替わっていました。半年ごとに別の4人との相部屋となるので、楽しい交流ができることもあれば、同時にプライバシーの無さから学生間でもめる事も少なからずありました。時間に対する考え方や、食事、部屋の掃除など、文化的な違いも影響していると思いますが、4人での相部屋は簡単ではありませんでした。
ただ、20~30か国の学生と一緒に生活するのはとても楽しく、カルチャーショックがある反面、たくさんの学びもありました。学生寮は基本的に火気厳禁ですが、留学生寮内には例外的にキッチンがあったので、皆でそれぞれの国の料理などを作り楽しむ事もありました。
日本人留学生との交流、韓国の学生や他の外国からの学生との交流はできましたか?大変だったことはありましたか?
留学生寮にも韓国人学生が多く入寮しており、たくさんの交流がありました。年に一度カルチャーナイトと称し、各国からきた留学生が伝統料理と何かしらの出し物で文化や伝統を紹介する文化交流会を開催しており、地元住民も見にくるほどの大きなイベントでした。その際には日本人留学生同士でも協力し合い、他の留学生や韓国人学生ともたくさんの交流がもてました。
指導教官とのやり取りでよかったこと、大変だったことはありましたか?
指導教官(教授陣)の7~8割は韓国人教授で、多くの場合英語でのコミュニケーションはできましたが、ごく稀に訛りのきつい英語で講義をされたり、講義中に韓国語を使われたりしたので、苦労することはありました。外国人の教授陣はそのほとんどがキャンパス内にあるアパートに住んでいたため、学生との関係も非常に良好でした。よく学生たちでお家へお邪魔し、相談に乗ってもらったり食事へ連れて行ってもらったりと、まるで両親のように接してくださいました。
食事
普段はどのように食事をされましたか?現地の食事・飲料水・食材で苦労したこと、気をつけたことはありましたか?
食事は基本的にキャンパス内のカフェテリアでとっていました。韓国料理だけでなく、色々な種類の食事が提供されていたため、食事で苦労することはあまりありませんでした。しかし、さすがに4年間いるとカフェテリアの食事にも飽きてくるため、友達とキャンパス外へ食事に出かける事もありました。飲料水に関しては寮や大学内の各所にウォーターサーバーが設置されていたため、特に苦労することはありませんでした。
日本の食材を手に入れることはできましたか?日本から持参すると良い食材があれば教えてください。
街に行けばある程度日本の食材 (主に調味料など) を手に入れることはできました。また電子レンジを使って作れる食べきりサイズの白ごはんなどがキャンパス内のコンビニでも買えるので、日本から持ち込んだフリーズドライの味噌汁やレトルトのカレー・牛丼・親子丼などと一緒によく食べていました。フリーズドライやレトルト食品は日本のものが品質も味も良いので、日本から持参することをお勧めします。いざ体調を崩した際に、慣れ親しんだ日本の味が簡単に作れる状態にしておくと体調管理の面からも便利です。またおせんべいなど醤油味のお菓子は韓国では手に入りにくいので、好きな人は持って行くと良いかもしれません。
住居
留学中、どんな住居に住んでいましたか?その特徴とともに教えてください。
大学内には学生寮が6棟ほど建っており、在学中は常に寮に住んでいました。留学生寮には250人ほどが入寮しており、各部屋は4人部屋でした。韓国人学生の寮はトイレやシャワーが共有でしたが、留学生寮では公衆浴場などの文化に慣れていない海外の学生に配慮して各部屋にトイレとシャワールームがついていました。床暖房とエアコンが完備されており、各部屋にWi-Fiルーターもついていました。各フロアにはキッチン、共有スペース、自販機などがあり、学生同士の交流も可能でした。最上階にはボードゲームやプロジェクターのある大広間があり、大人数で交流したりパーティーを開く事もできました。
住居を決めた際の基準や、探した方法を教えてください。
留学生は基本的に入寮が義務付けられていました。特別な理由があればキャンパス外に住む事も可能でしたが、寮の設備、学生同士の交流、寮費などの観点からも留学生寮が良いと判断しました。
住居でトラブルはありましたか?あった場合、どのように対処しましたか?
設備的なトラブル(トイレの配管詰まりなど)はありましたが、学生寮のメンテナンスチームが大学内に常駐しており、オンラインで報告と修理依頼をすれば比較的迅速に対応してくれました。学生間のトラブルなども少なからずありましたが、寮の管理人や入寮学生の代表による管理委員会が問題解決に協力してくれるようになっていました。
現地の治安状況・注意したこと等
現地の治安状況についてどのように情報収集しましたか?
治安情勢に関しては在韓日本大使館からの領事メールで知らされていました。在留届を提出することで自動的に領事メールを受け取れるようになっていたため、非常に簡単に信頼できる情報の収集ができました。
治安状況を踏まえて気をつけた点について教えてください。
治安状況が著しく悪化することはなかったため、特に気をつけていたことはありません。
ただ、韓東大学の位置する浦項市は地理的に竹島に近い位置であるため、竹島の所有を訴える看板や宣伝カーなどは街で見かけました。集会などが開かれていそうな場合には、そのような場所に近づいて状況を刺激することのないよう心がけていました。
犯罪に巻き込まれたことはありましたか?その際どのように対処しましたか?
大学近辺ではありませんが、休暇中にソウルへ行った際にチムチルバン(韓国式スーパー銭湯)でスマホの盗難 (置き引き)にあいました。警察への届出や保険を適用した新規機種の購入は、韓国人の先輩の付き添いのもと行いました。
通信
通信機器は、日本から持参されましたか?学校や居住施設での利用はいかがでしたか?
大学内のネット環境は充実していました。寮内を始め、大学キャンパス内のほとんどに大学が提供するWi-Fiが飛んでおり、接続スピードにもほとんど苦労することはありませんでした。ラップトップ(MacBookPro)とタブレット(iPad)は日本から持参しましたが、スマホ(iPhone)は現地で購入しました。日本と韓国では電圧やプラグの形に違いがありますが、変換プラグは日本の100円ショップなどでも高品質のものが購入でき、ほとんどの電化製品も220Vまで対応しているため、生活の中で不便は感じませんでした。
現地で上記の通信機器やインターネットを利用した際、機器・プロバイダの選択や手続きはどのように行いましたか?
現地でiPhoneを購入するにあたり、未成年の外国人が購入するのは難しかった記憶があります。韓国人の先輩に付き添ってもらい、先輩がお店の人と話をつけてくれたため購入できました。現在では大学キャンパス内でも留学生を対象にスマホを売る業者がきており、そのような問題は解決されていると思われます。
気候
日本との気候の違いに対して心がけた点を教えてください。
四季のはっきりとした気候は日本とよく似ていますが、緯度が若干高いため、私の地元(名古屋)よりは冬の寒さが厳しく感じました。学生寮は床暖房があるため寮内は常に暖かかったですが、そのため極度に乾燥しており、喉を痛めたり風邪を引くことがありました。4人部屋で密集した寮なので1人風邪を引くとすぐに寮全体に蔓延する傾向があったため、個人での加湿器の設置など寮内での風邪の予防には心がけていました。
現地生活状況・各種相談先
現地購入できて役に立ったもの、日常品で重要なものがあれば教えてください。
特に記憶にありませんが、4人部屋などの寮生活においては電源プラグが限られてくるので、安全に使用できるたこ足配線などは重要です。日本から延長コードを持って行っておけば、延長コード用の変換プラグを1つ買うだけで、日本の電化製品が変換なしで使えるので意外と便利です。韓国にも100円ショップのようなお店があるので、日常生活で必要なものはほとんど日本と同じように購入できました。
学校内・学校外で問題があったとき、誰に相談しましたか?
キャンパス内で留学生の問題を扱ってくれる大学の担当部署がありました。そこでは留学生問題に詳しいバイリンガルの大学職員が複数常勤していたので、問題があった際にはこの部署に必ず連絡していました。
住居などについて支援を受けられるような学生互助会(自治会)などはありましたか?その支援を受けましたか?
全寮制だったためそのような互助会があった記憶はありませんが、大学には学生による生徒会執行部のような組織があり、留学生のケアを担当する部署も存在しました。必要に応じてそのような部署が大学と掛け合って問題に対応してくれることも期待できます。
現地の人との文化的摩擦、トラブルの経験や、異文化の中で気をつかった点はありましたか?
韓東大学はキリスト教色の強い私立大学ですが、留学生の中にはイスラム教やヒンドゥー教の学生もいました。信仰面ではお互いオープンでというのが大学全体の雰囲気でしたが、宗教的な理由による食事の違いはあったので、食事に誘う際などは気をつけるようにしていました。入学当初は文化的な違いからくる時間に対する考え方や食事の違いなどでストレスを感じることもありましたが、それぞれの文化や価値観の成り立ちについて話し合うようになり、徐々に「考え方の違い」に対する感受性も変わってきました。
帰国後の進路/留学と進路との関係

現在の所属について、差し支えない範囲で教えてください。
卒業直後より発展途上国での開発支援 (主に水と保健衛生事業) を行う認定NPO法人の職員として働いています。現在は日本外務省が出資しているエチオピア南部での水供給と保健衛生事業の現地事業統括補佐をして事業地域での事業進捗確認、現地パートナーとの連携、日本政府への報告業務などを行なっています。日本事務所に所属していた際は国内外で行われるチャリティーイベントの企画運営を担当していました。
留学前・留学中・留学後のいつ、就職活動をされましたか?
大学の勉強やその他の活動が忙しく就活時間も十分に取れなかったため、新卒で一般の日本企業へ就職することはないだろうと考えていました。そのため以前から興味のあった国際協力の分野で働けるよう、4年の夏に日本へ一時帰国した際に日本国内のNGO団体などを可能な限り訪問し就職活動をしました。
韓国で就職活動をされましたか?その場合、その内容や特徴、現地大学からの支援の有無について、差し支えない範囲で教えてください。
韓国での就職活動は行なっていません。
日本で就職活動をされましたか?その場合、その内容や留学とのかかわりを差し支えない範囲で教えてください。
4年の夏に各所のNGO団体をまわった際には、履歴書を渡した上で就職の意志があることを伝えました。NGO団体などは一般公募をすることが稀なため、こちらから出向いて自己アピールするのが定石です。英語でのコミュニケーション能力があること、バイリンガルで報告が可能なことなどは、留学経験があったため好意的に受け止められました。また留学時の異文化経験や海外における問題への対応・順応能力があることは現地駐在する際に重要となるため好印象でした。
留学経験は進路決定に影響しましたか?また、留学経験は現在の仕事・学業にどのようにいかされていますか?
間違いなく留学経験は進路決定に影響しました。留学中に多くの途上国出身の友人ができ、途上国の現状や問題を生の声として聞くことができたことで、今の仕事に対する興味が深まりました。今の仕事が海外 (特に途上国の僻地) に長期駐在する仕事のため、留学中に沢山のカルチャーショックや異文化経験をしておいたことが、今の仕事環境下でも生かされています。また、経済経営学部(Global Management)で学んだプロジェクトマネジメントや国際法学部で学んだ人権法などへの理解が、今の仕事にも大いに結びついたと感じます。
後輩へのアドバイス
これまでの留学準備と留学生活を振り返って、「日本にいる間にしておけば良かった」と思うことはありますか?
英語でも韓国語でも、留学前にもう少し語学力を身につけておけばよかったなと感じます。言語ができれば友人が作りやすく、友人がいればいざ問題が起こった際にも助けを求めることができます。勉学面での語学という意味だけでなく、外国語によるコミュニケーションが積極的に取れるか否かが留学生活を大きく左右すると感じました。
留学生活を送る際の注意点と、これから留学を考えている後輩へのアドバイスをお願いいたします。
留学生活は長期間になることが多いと思いますので、「郷に入っては郷に従う」精神が大切です。日本人としての誇りも大切ですが、現地の文化や習慣 (国としての文化だけでなく大学の文化) も尊重し、日韓関係や外交問題などにも可能な限りアンテナをはっておくことが留学生活を有意義に過ごす上で大変重要なことだと思います。その上で沢山の人とコミュニケーションを図り、人と人とのつながりを広げていけるかどうかによって留学の質は大きく変わります。これから留学を考えている皆さんもその点を意識的に考えて、留学への準備を進めていただくのが良いかと思います。
留学中の1週間の授業時間割
時限
1. 8時30分~9時45分          
2. 10時30分~11時45分 上級国際法学 法学と現代問題   上級国際法学 法学と現代問題
3. 11時30分~12時45分   マーケティング学 法と国家発展   マーケティング学
4. 13時00分~14時15分 生産運営管理学   法と国家発展 生産運営管理学  
5. 14時30分~15時45分 英文エッセイ     英文エッセイ  

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)は、
文部科学省が所管する団体です。
学生支援を先導する中核機関として、「奨学金事業」
「留学生支援事業」および
「学生生活支援事業」を
総合的に実施し、
次世代の社会を担う豊かな
人間性を備えた創造的な人材を育成すると
ともに、
国際理解・交流の促進を図ることを目指しています。