留学先の国の特徴や留学情報をご紹介。
国ごとの違いを明確に知り、自分にあった留学先を見つけましょう。

大学・大学院・短期大学・専門学校 私費留学

Sさん(30代女性)
都市名:アイントホーヘン
学校名:デザインアカデミーアイントホーヘン
専攻名:プロダクトデザイン
留学期間:2008年9月~2011年6月
取得資格・学位: HBOデザイン学士
留学形態:私費留学
奨学金名:日本学生支援機構奨学金 第二種奨学金(海外)
留学の動機
なぜオランダに留学しようと思いましたか?他国との比較、決め手になったことなどお答えください。
学部の授業を英語で受けられる。他のヨーロッパの国は、学部の授業は自国語、修士課程は英語で行うことが多い。
他の国にはない、自由度が高く、特別な教育制度。学科をデザインの分野や扱う素材で分けず、デザインへのアプローチ方法の違いによって分ける。
留学前の準備期間、言語の勉強方法
留学を思い立ってから実際に現地へ出発するまで何か月くらいの準備期間が必要でしたか?
約1年
 
準備期間中にいちばん大変だったこと、時間は十分だったかをお答えください。
日本で通っていたデザインの学校がアメリカの大学の姉妹校(KIDI PARSONS)で、英語のポートフォリオを作る授業があったので、時間は十分にあった。ただ前年度にデザインアカデミーを受けた上級生が全員不合格だったために、ヨーロッパの学校に合格するためのポートフォリオがどのようなものかが分からず、手探りでやらなければならなかったことが若干大変だった。
 
留学前にオランダ語または英語をどのように勉強しましたか?語学試験は受験しましたか?
KIDI PARSONSでの英語の授業(1時間半の英語の授業が、週約5コマ。デザインの授業の約半分が英語。)。第二志望の学校(スウェーデン)の受験のためにTOEFLを受験した。
 
語学学習において、どんな勉強方法が一番効果的だと思いますか?
語彙を増やす。その言語で会話をする機会をできるだけ多く作る。
情報収集方法
どのようにしてオランダ留学について情報収集しましたか?
KIDI PARSONSの先輩でデザインアカデミーに通っている人、彼らの友人を通じて。
現地学校への問い合わせ
学校へはどのような手段で連絡を取りましたか?
メール
 
連絡の際に困ったことはありましたか?
返信が遅かった。(2週間返信が来ないことがあった)
出願
出願時に提出した書類と、提出方法を具体的に教えてください。
願書(志望動機の簡単な記述を含む)、ポートフォリオ(10作品以上)、最終学歴の卒業証明書。郵送で提出。
 
出願から正式な入学許可書を受け取るまでに苦労したことはありましたか?それをどのように解決しましたか?
メールの返事が遅い。再三メールを送った。
入学試験
入学試験を受けましたか?またその教科や内容を教えてください。
各学科の出す課題リストの中から2つを選んで作品制作。
「風を測るためのプロダクト」というテーマで2作品を制作。
本来ならば作品を持って現地へ行くべきだったが、遠方のため電話でのインタビューが許された。その代わりとして、出来上がった作品を説明するムービープレゼンテーションを日本で作り、DVDを郵送。その後、電話インタビュー。
 
*現在は試験の体系が変わり、ポートフォリオ(デジタル)での一次審査に合格した場合は、現地に赴き、グループワークショップ・ディスカッションと個人面接を行って合否が決定されるそうです。
奨学金・授業料減免制度
奨学金もしくは授業料減免制度の情報をどこで得ましたか?また利用するためにどんな準備や手続きをしましたか?
KIDI PARSONSの学生課で日本学生支援機構奨学金の情報を得た。
書類提出。(両親の収入証明)
 
奨学金もしくは授業料減免制度を利用した感想について教えてください。
返還の際に、連帯保証人に加え、保証人が必要だった。後者を探すことは極めて困難だった。他国にあるような学生自身の責任で返還できるローンではなく、不便で後進的であると感じた。
ビザ・居住の許可の取得
滞在許可を取得しましたか?取得にはどのような書類や手続きが必要でしたか?気をつけた点や申請から取得までにかかった時間も教えてください。
滞在許可を、渡航後1~2ヶ月以内に取得した。
日本でアポスティーユの申請、取得。在オランダ日本領事館での登録。学校が滞在許可の手続きを仲介してくれた。
学校の学生課の人と事前に連絡を取り、必要書類を確認した。インターネットを使って、過去に滞在許可を取得した日本人の体験記などを読み、不足書類のないように準備した。
学費、生活費、お金の送金・管理方法
留学中にかかった学費(+諸経費)の総額はおよそいくらでしたか?どのような支払方法が便利でしたか?
学費6,000ユーロ(3年分18,000ユーロ)
材料費など年間1,000ユーロ程度。
 
学費以外の生活費の、1か月平均額または留学期間全体の金額、及び内訳を教えてください。
生活費1ヶ月600~800ユーロ程度
家賃光熱費込み250~400ユーロ
食費200ユーロ
その他
 
学費、生活費をどのように捻出しましたか?
日本学生機構奨学金。親からの仕送り。
 
お金をどのように管理していましたか?現地で銀行口座を作った場合、どのような手続きをしましたか?
現地銀行口座。パスポートと学校の入学証明書で口座開設。
 
日本からの送金が必要な際、どのように送金してもらいましたか?
日本の銀行口座から海外送金。
健康管理
どのような保険に入っていましたか?留学先校など現地で保険の指定はありましたか?
1年目は日本の留学保険。1年で11万円程度。
2年目以降は学校推薦のオランダの学生用保険。月35ユーロ程度。

日本またはオランダで予防接種・健康診断を受けた場合、その内容を教えてください。
受けていない。

現地の医療サービスを受けましたか?またその場合、気をつけるべき点があれば教えてください。
帯状疱疹になり、登録のないホームドクターに緊急に診察、薬を処方してもらった。
その際、処方してもらった薬は後に日本の保険で全額カバーされたが、その場では全額負担だった。入国し、生活が落ち着いたら、ホームドクターに登録しておいた方が良い。
学校生活
日本の授業に比べて異なる点、オランダらしいと思う特徴、受講した感想を教えてください。
・決まった教室のない授業がある。広い空間の中に机と椅子が置かれていて、何となく各学科の位置が決まっており、クラスメートのいる机に来た人から集まっていく。
・簡単に落第する。
・全てまんべんなく出来ることを強要されない。苦手な教科は容赦なく落第させられるので、必然的に自分の得意なこと、できることは何なのかを考えさせられ、長所を集中して伸ばすことになる。
・自分自身の意見を大事にするように言われる。一人のアーティストとして、より強く主張することを求められる。
・学校で何かを教えてもらうというよりも、自分がやりたいことを明確に持ち、先生はその手助けをするのみという研究所的な雰囲気。
 
予習・復習での工夫や苦労した点があれば教えてください。
ワークショップに足繁く通い、技術的サポートを行う人に質問をし、技術を教わる。
 
試験やエッセイ・レポート対策について、工夫や苦労した点があれば教えてください。
・作品制作のプロセスをわかりやすく見せる。
 
英語による授業または英語研修に参加した方に伺います。オランダ語は、授業・リサーチ・日常生活において必要でしたか?
ほとんど必要なかった。
 
授業やレポートにおいて、語学上・学習上のサポートはありましたか?
入学1年目のみ、英語が苦手な人だけが集められて英語の授業があった。
 
学校の施設は充実していましたか?
・コンピューターは、マック、windows共に十分にあった。図書館は小さかったが、蔵書は良いものが多かった。リクエストして希望の本を入れてもらうこともできた。ワークショップは生徒数に対して小さく、ワークショップ内の安全を確保するために、人数制限があった。試験の前はワークショップが開く前から入り口に長蛇の列ができていた。
・カフェには必要最小限の軽食(スープ、サンドイッチ、スナック)があった。メニューは毎日同じ。
 
学校全体やクラスで、現地の学生・外国人留学生・日本人留学生の割合、学生の年齢層はどのようでしたか?
・学部はオランダ人が半分以上。高校を卒業してすぐ入学してきた学生も多い。外国人留学生は他の分野で一度他の大学を卒業してから入学する人も多かった印象。20代前半が多い。
・大学院は、ほぼすべて外国人留学生だった。
・日本人学生は多い時で15人程度、平均すると5~8人いた。
 
現地の学生・外国人留学生と交流できましたか?その方法や、得られたこと、大変だったことがあれば教えてください。
・学科やkompas(異なる学科の生徒が集まり、デザインに対するさまざまなアプローチ方法を学ぶクラス)の授業で、特にグループワークをした際に、オランダ人・外国人留学生と交流する機会があった。ヨーロッパの学生は皆、自己アピール・プレゼンテーションが上手い。彼らがディスカッションをし始めると、自分自身の英語力の不足、常に自分の意見を用意しておく習慣が身についていなかったことで、口を挟む隙がなかった。
・いろいろな国の人とハウスシェアをした時は、自分の国の料理を教え合った。キッチンが汚いまま放置されていてうんざりすることがあった。清潔感の概念が違う場合がある。
 
日本人留学生との交流はできましたか?得られたこと、大変だったことはありましたか?
日本人は皆仲が良く、たまに食事などをして、違う文化の中で暮らすストレスや悩みを相談した。
 
指導教官とのやり取りでよかったこと、大変だったことはありましたか?
・良い悪いをはっきり言われることで、ショックを受けることも多々あったが、結果的には自分のやっていることを見つめ直すことになり、役に立った。
・先生の意見や個性が強いので、スタイルが合わない時はディスカッションが噛み合わず、苦労した。
食事
普段はどのように食事をされましたか?現地の食事・飲料水・食材で苦労したこと、気をつけたことはありましたか?
できるだけ日本食を自炊。時間がある時は、学校へお弁当持参。
外食が高く、おいしくなかった。
 
日本の食材を手に入れることはできましたか?日本から持参すると良い食材があれば教えてください。
中国系スーパーの一部に日本食コーナーがあった。基本的な調味料(しょうゆ、みそ、みりんなど)はそこで買うことができた。たまにアムステルダムに行った時に、普段買えない日本食材(納豆など)を買って帰った。
住居
留学中、どんな住居に住んでいましたか?その特徴とともにお教えください。
学校の友人3人とのシェアハウス。(シャワートイレキッチンシェア。典型的なオランダのフラット。)
アパートで一人暮らし。(シャワートイレキッチンつき。学生用アパート。)
 
住居を決めた際の基準や、探した方法を教えてください。
1、2年目は、家をシェアする経験をしてみたかったのでシェアハウスを選んだ。3年目は卒業制作に集中したかったので一人暮らしの物件に移った。
友人を通じた紹介、学校と提携した学生用不動産会社で探した。
 
住居でトラブルはありましたか?あった場合、どのように対処しましたか?
ルームメイトが頻繁に友人や恋人を家に連れてきて、心が休まらない家に住んだことがあった。一人暮らし用アパートに引っ越すことで問題を解決した。
現地の治安状況・注意したこと
現地の治安状況についてどのように情報収集しましたか?
ポートフォリオニュース(日本語で読めるオランダ語のオンラインニュース)
 
居住地域の治安状況を教えて下さい。治安状況を踏まえて気をつけた点について教えてください。
悪くない。夜になると治安が悪くなる中心部の特定のエリアには近づかないようにする。

犯罪に巻き込まれたことはありましたか?その際どのように対処しましたか?
ない
通信
通信機器は、日本から持参されましたか?学校や居住施設での利用はいかがでしたか?
ラップトップのみ持参。現地で携帯電話を購入。
通信状況(特に街中)は日本より良く、不便な思いをしたことがない。
 
現地で上記の通信機器やインターネットを利用した際、機器・プロバイダの選択や手続きはどのように行いましたか?
携帯電話(契約)は、オランダの銀行口座を作った後にパスポートを持ってプロバイダの実店舗に行けば契約できる。プリペイドであれば量品店などでも買うことができる。
インターネットはすでに家に設置されていた。
気候
日本との気候の違いに対して心がけた点を教えてください。
空気が乾燥している。保湿度の高い化粧水がなく、初めての冬は肌の乾燥に悩まされた。
現地生活状況・各種相談先
現地購入できて役に立ったもの、日常品で重要なものがあればお教えください。
自転車
 
学校内・学校外で問題があったとき、誰に相談しましたか?
学校の学生課の人。友人。
 
住居などについて支援を受けられるような学生互助会(自治会)などはありましたか?その支援を受けましたか?
収入がなければ、オランダ政府から家賃の支援を受けられる。(家賃の上限あり)
在学中はその制度を知らず、利用しなかった。
 
現地の人との文化的摩擦、トラブルの経験や、異文化の中で気をつかった点はありましたか?
少なくない数のオランダ人が、アジア人をすべて「中国人」と呼ぶ傾向があると感じた。トラブルは特になかった。
帰国後の進路/留学と進路との関係
現在の所属について、差し支えない範囲で教えてください。
デザインアカデミー、マスターコースで教鞭をとる先生のスタジオ(アムステルダム)でフリーランスデザイナー。(在学中には交流はなかった)
 
留学前・留学中・留学後のいつ、就職活動をされましたか?
卒業後
 
オランダで就職活動をされましたか?その場合、その内容や特徴、現地大学・語学学校からの支援の有無について、差し支えない範囲で教えてください。
・学校の生徒だけがアクセスできるサイトがあり、卒業して一つ目のインターンシップはそのページで見つけた。卒業後1~2年して、学校が卒業生のためのfacebookページの運営を始め、そこにも求人情報を載せるようになった。
・仕事内容によってはオランダ語が使えないと難しい職種もある。デザインリサーチのインターンシップをしたが、オランダ国内のローカルなプロジェクトが多く、インタビューやワークショップのファシリテーションなどの業務が多かったため、オランダ語が話せないと本格的な戦力にはなれなかった。
・最初はemailでポートフォリオとCVを送ることが多いが、メールの返信が来ないことがよくある。その場合は電話をして状況を確認し、面接のアポイントメントを取った。
 
日本で就職活動をされましたか?
しなかった
 
留学経験は進路決定に影響しましたか?また、留学経験は現在の仕事・学業にどのようにいかされていますか?
卒業後に行ったインターンシップ、現在働いているスタジオは、どちらもデザインアカデミーで教鞭を取る先生のスタジオ。デザインアカデミーにおけるデザインの考え方をボスが理解しているので、全く関係のないスタジオへ行くよりは仕事がしやすいのかもしれない。
後輩へのアドバイス
日本にいる間にしておけば良かったことや、留学先にオランダを選んで良かったと思うこと、期待とは違ったことなどを踏まえて、これから留学を考えている後輩へのアドバイスをお願いいたします。
様々な面において、オランダは日本と正反対であると感じることが多いです。それがストレスになる人もいるかもしれませんが、全く違う文化や社会を経験することは貴重な体験になると思います。デザインアカデミーでは、自分の得意なこと、好きなこと、できることを徹底的に追及して伸ばすことを学びました。常に主体的に考え、行動することを求められます。デザインアカデミーの先生は皆批判的なので、打たれ強くなるでしょう。けれど学校の評価だけにとらわれず、卒業後どのように働いていきたいのか長い目で見て、その通過点としての学校では何を学んで何を達成したいのか、頭の隅で考えるようにすると良いと思います。個人的には、卒業後、オランダのスタジオで長期間働いたことが、とても良い経験になりました。学生の時とは違い、オランダ社会をより近いところから見ることができます。在学中にもインターンシップの機会がありましたが、卒業後にも1年間のjob seeking visaが取れるので、もし機会があれば半年以上働く経験をしてみることをお勧めします。
留学中の1週間の授業時間割
時限
1 (09時30分~ 12時00分) 学科     kompas kompas
2 (13時00分~ 16時00分)   学科 英語(入学後1年のみ)   kompas
*kompas=異なる学科の生徒が混じり、デザインに対するさまざまなアプローチ方法を学ぶクラス

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)は、
文部科学省が所管する団体です。
学生支援を先導する中核機関として、「奨学金事業」
「留学生支援事業」および
「学生生活支援事業」を
総合的に実施し、
次世代の社会を担う豊かな
人間性を備えた創造的な人材を育成すると
ともに、
国際理解・交流の促進を図ることを目指しています。