留学先の国の特徴や留学情報をご紹介。
国ごとの違いを明確に知り、自分にあった留学先を見つけましょう。

大学・大学院・短期大学・専門学校 奨学金留学

留学先国・地域:イスラエル
留学期間:2022/10
学校名:テルアビブ大学
専攻名:政治学
留学形態:大学院への進学(修士号取得)

Q. 留学をしようと思った動機を教えてください。

国際関係や安全保障に関心があり、特に日本の課題であるサイバー政策について学びたいと思っていました。イスラエルは大国ではないにもかかわらず、サイバー安全保障においてはアメリカやロシアなどの大国とも肩を並べる実力を持つと言われています。日本とイスラエルは多くの面で異なる国家ですが、非西洋圏の民主主義国家であり、資源が少なく人的資本が国家の要であるなどの共通点もあります。そこで、ぜひ現地イスラエルで政治状況やパレスチナ問題を含めて学びたいという思いから、サイバー安全保障政策を研究したいと思っていました。


Q. 留学先の国・地域、留学先校を選んだ理由を教えてください。

留学の理由とも重なりますが、イスラエルの安全保障政策を学びたかったのでイスラエルの大学で探していました。サイバーセキュリティや安全保障に関するプログラムは複数ありましたが、テルアビブ大学の安全保障・外交プログラムは、イスラエル軍の出身者や政府機関のサイバー防衛機関で働く現役の政府職員が指導教員だったことが選択の理由となりました。


Q. 留学に対する家族の反応はどうでしたか?

家族は海外留学に行って、将来日本のために貢献できるように学んできなさい、と快く送り出してくれました。私の名前はもうせというのですが、その名前の通り、家族はクリスチャンでイスラエルが大好きな一家でもありました。また、幼い頃からアメリカ人の宣教師の方に英語を教えていただいてこともあり、海外で学ぶことに対しては終始肯定的でした。経済的には留学は難しい家庭でしたが、ご支援のおかげで留学をさせていただいていることに、家族も本当に喜んでおります。

Q. 留学の準備にはどのくらいの期間を要しましたか?留学を思い立ってから、実際に出発するまで、それぞれの準備段階にわけて教えてください。

2018年以前:イスラエルのサイバー安全保障を学びたいと思い始める
2019年4月:イスラエルに旅行し、複数の大学を訪問する
2021年8月:修士課程の進学先を探し始め、テルアビブ大学のプログラムを見つける。
2021年10月~1月:奨学金の申請、テルアビブ大学を受験
2022年4月~2022年9月:バイトをして留学費用を貯める
2022年10月:イスラエルへ出発


Q. 留学情報の収集はどのように行っていましたか?使用したウェブサイト、雑誌、イベント、SNS(YouTube、Twitter等)などがあれば、あわせて教えてください。

英語、日本語でGoogleで「イスラエル 留学 安全保障」と調べ、ブログやサイトを調べていました。イスラエルと安全保障を留学先にする情報は限られていました。


Q. 語学学習はどのように行っていましたか?

イスラエルの公用語はヘブライ語とアラビア語ですが、私のプログラムは英語で行われるインターナショナルプログラムでした。そのため、英語の勉強を行なっていました。大学の授業のほかには、洋画を英語字幕で見たり、海外のニュースを聞いたりしていました。


Q. 留学(斡旋)サービスなどは利用しましたか?

しませんでした。イスラエルに関する留学斡旋サービスは少ないのではないでしょうか。


Q. 留学の資金調達はどのように行いましたか?利用した奨学金などがあれば、あわせて教えてください。

日本学生支援機構の奨学金が主要な資金でした。留学開始前にアルバイトで留学費用を貯めたほかには、資金調達というよりもご厚意で、家族や親族、友人から頂いた貴重なお餞別も留学の資金に使用させていただきました。


Q. 入学や学生登録の手続き、ビザの手続きなどはどのように行いましたか?特に苦労したことや気を付けた方がいいことなどがあれば教えてください。

私のプログラムは学費支払い、入学手続き、ビザをはじめイスラエルでの生活に必要な服装や住居など細かなところまでサポートしてくださいました。入学、学生登録の手続きは、大学とのやりとりを通して行いました。一つ、ビザについては、パスポートの期限の関係で留学期間のうち半年分しかいただけなかったことは少し不便でした。日本のパスポートは原則失効1年前以降から更新が可能ですが、更新期間についても事前に調べていた方が色々と不便を減らせるかもしれません。

Q. 留学中の学校生活はどうですか(どうでしたか)?海外の学校だからこそ苦労することや、逆に学校生活での楽しみなどを教えてください。

イスラエルは日本とは全く異なります。日本は非言語コミュニケーションに優れた文化ですが、イスラエルは世界中から帰還するユダヤ人がほとんどの移民国家ということもあり、言語でのコミュニケーションが極めて重視されます。大学のプログラムは留学生向けプログラムではありますが、イスラエルの大学ということもあってか、講義の授業であっても極めてディスカッションが盛んです。当初は先生の話中にも割り込む同級生たちに驚いていましたが、今はそのような環境も面白いなと感じています。楽しみの一つは、日本人・アジア人が全くいないという日本とは全く違う環境の中で、他国の同級生たちと政治の話をすることです。イスラエルでは今、パレスチナ問題の対立が先鋭化していたり、民主主義を損なう可能性の高い司法改革が進行中で、政治のニュースに事欠きません。日本のメディアでは取り上げられませんが、中東は政治ニュースの宝庫だなとつくづく感じますが、そのような現在進行で現場で体験している政治ニュースを友人たちと話し合う時間が何よりも楽しいです。


Q. 学校外の生活はいかがですか(いかがでしたか)?寮などでの生活や休日の過ごし方に加えて、街の治安などについても教えてください。

イスラエル、というと治安が悪いイメージがあると思います。特に、外務省の安全基準にもあるように、ガザ、ヨルダン川西岸地区は極めて治安が悪いそうです。一方で、テルアビブほか多くの地域は極めて安全で、生活をして5ヶ月、数十km離れた地域で戦闘が行われているとは思えないほど安定した、平和な生活を送っています。
また、日本と全く異なるのは、ユダヤ教の休日に合わせて、金曜日~土曜日にバスや電車などの公共交通機関やほとんどの店が閉まることです。年中無休・24時間営業で、しかも日用品からおいしいコンビニスイーツまで手に入る日本とは大違いです。休日は教会に行くほかは、家でゆっくりせざるをえず、たまにハイキングなどを楽しんでいます。


Q. アルバイトやインターンはしていますか(していましたか)? 

私は今のところ何もしていません。イスラエルでは、学生ビザではアルバイトが禁止されています。ユダヤ人であれば外国人であっても不可能ではないようですが、基本的には有給で働くことは不可能です。一方で、私のプログラムはインターンが豊富です。また、私は技術者ではないので関係ありませんが、イスラエルはGoogleやMicrosoft、Appleなどの研究所が集積しており、多くのインターンの経験もあるようです。

Q. 留学を経験してみて感じたこと、学んだことはありますか?

海外に出て勉強することは、経験してはじめてわかる魅力に溢れています。本や論文を通して知る情報は概念的に整理されており、勉強になることも多いですが、「百聞は一見にしかず」とはこのことかと思うばかりです。特に、イスラエルは人口900万人程度の小さな国家ですが、人口の20%が博士課程保有者という知的関心にあふれた国家です。大学などの教育機関だけではなく、その外部に出ても、出会う人が何かしらのエキスパートであることも少なくありません。また、イスラエルは政治の問題に欠くことがありません。パレスチナ問題だけではなく、近年、リベラル派と宗教右派の対立が先鋭化しており、政治は不安定化しています。イスラエルはまさに民主主義と安全保障の最前線であります。地域にもよりますが、テルアビブは深夜に子供だけでサッカーができるほど安全でもあります。安全に、政治がどのように不安定化するのかを観察し、体験的に考えることができるのはかけがえのない体験です。


Q. 留学後の進路について教えてください。

将来は、日本の安全保障関係の分野で仕事をしたいと考えています。ただ卒業後、すぐに日本に戻るか、もしくは海外の大学でさらに研究を進めるべきか進路を迷っているのが正直なところです。


Q. 最後にこれから留学をする方へのメッセージ・アドバイスをお願いします。

少しでも留学にご興味がある方は、ぜひ留学に行かれることを心からお勧めいたします。きっと不安な方もいらっしゃると思います。でも、なぜ留学がしたいのかがはっきりさえしていれば、海外という新しい地で経験する多少の困難や不便はどうにでもなります。それ以上に、自分が勉強したいことを自分が勉強したいところで勉強できることは何事にも変えられない体験です。得られるのは外国語での学びだけではありません。一緒に学ぶいろいろな国からの同級生たちと一緒に苦しみ、一緒に楽しむことを通して、日本語で本を読むことでは得られない、新しい視点に体験的な触れることができます。心より留学をお勧めいたします。

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)は、
文部科学省が所管する団体です。
学生支援を先導する中核機関として、「奨学金事業」
「留学生支援事業」および
「学生生活支援事業」を
総合的に実施し、
次世代の社会を担う豊かな
人間性を備えた創造的な人材を育成すると
ともに、
国際理解・交流の促進を図ることを目指しています。