留学先の国の特徴や留学情報をご紹介。
国ごとの違いを明確に知り、自分にあった留学先を見つけましょう。

このガイドは、ドイツ、オーストリア、スイスでのドイツ語留学を希望する方々のために書かれています。各情報・データは作成時(2018年7月)における一般的な状況です。教育機関、地域、あるいは時期により異なる場合がありますので、最新・個別の情報については必ず各機関にご確認ください。このガイドの中ではいくつかの教育機関を取り上げていますが、あくまでも一例示であり、特にそれらを推薦する趣旨ではありません。ドイツ語のウムラウト記号は、該当の母音後にeを入れることで代替しています。

ドイツ語留学概要
※費用のレート計算は外国為替情報ページで確認してください。

ドイツ語は、EU圏内で最も使用人口が多い言語で、母語話者の数は世界で1億人を超えています。ヨーロッパ経済の中心を担うドイツ語圏の国々でのビジネスチャンスを見据え、ドイツ語を学習する人の数は、世界的に見て増加傾向にあります。ドイツ語を学んで哲学書を読み、芸術を楽しみたいという人もいるでしょう。ドイツ語圏の大学で学びたい、ドイツ語を使って仕事がしたい、検定試験に合格したいなど、まずは自分が何を得たいか目標をはっきりさせましょう。

  1. 大学の言語センター
  2. 公的機関の語学学校(市民大学やゲーテ・インスティトゥートなど)
  3. 私立の語学学校
大学の言語センター
ドイツ、オーストリア、スイスのいずれの国においても、大学などの高等教育機関が言語センターを併設しています。大学の言語センターでは、一般向けの語学コースと、大学に籍がある(もしくは入学許可がおりている)学生や交換留学生向けのコースがあります。ここでは現地の大学に所属していない人に向けたコースを紹介します。
ドイツ
大学の言語センターで通年開講されるドイツ語コースの多くは、入学許可を得た学生や協定派遣などのプログラム留学学生を対象としていますが、夏休みなどの授業期間外には、学外からの外国人留学生も参加できる語学コースが開講されることがあります。また、一部の大学は語学学校と提携してドイツ語コースを通年開講しています。

DAADのウェブサイト上で、希望するドイツ語レベルやコースの開催場所を入れて、大学の言語コースを検索することができるので、自分に希望にあったコースを探してみましょう。 Language and Short Courses in Germany〔英語・ドイツ語〕

オーストリア
大学の言語センターは、大学によって、学籍のある学生や職員に向けたコースのみを提供している場合と、学外の参加者に開かれたコースを設けている場合があります。例えば、ウィーン大学とクラーゲンフルト大学の語学コースは一年を通して学外者の受講が可能です。インスブルック大学では夏期プログラムだけ学外者も参加できます。

オーストリア学術省とオーストリア政府観光局が推薦しているCAMPUS AUSTRIAという語学学校組織があり、私立の語学学校だけでなく、大学付属の語学コースも加盟しています。ウェブサイト上で、地域やコース開始日、コースレベルなどから簡単に学校を検索することができます。 Campus Austria〔英語・ドイツ語〕

スイス
大学の言語センターでは、在籍学生や職員に向けたドイツ語コースを設けていますが、基本的に大学に在籍する学生や交換留学生などが対象で、学外者は受講できません。
公的機関の運営する語学学校
<市民大学(VHS)> 
ドイツ・オーストリア・スイスの各国において、地方自治体の運営する市民大学(Volkshochschule: VHS)では主に現地に住む外国人向けのドイツ語コースが開講されています。移民や留学生が多い地域ではコースが充実しています。現地に生活する移民に向けたコースですが、ドイツ語検定試験の対策コースを提供している学校もあります。市民大学の語学コースの授業料は他の語学学校などより少し安い傾向がありますが、滞在先の紹介などレッスン以外のサービスは充実していません。オンラインでの申し込みが可能な学校もありますが、海外からの申し込みを受け付けるか、支払いはどうするのかといった点については直接問い合わせてみましょう。
<ゲーテ・インスティトゥート>化交流促進のために設立されたドイツの公的機関であるゲーテ・インスティトゥート(Goethe Institut)は、ドイツ国内はもとより、世界各地においてその文化活動と語学教育で重要な役割を果たしており、教材、カリキュラム、レベルの設定基準などを統一して運営しています。日本国内にも計4か所拠点がありますが、ドイツ国内には13校、オーストリアにも1校あり、ドイツ語コースを受講することができます。申し込みは、オンラインかEメール、郵送またはファックスで受け付けています。また、国内のドイツ文化センターでもドイツ国内のコースについて問い合わせることが出来ます。ドイツ国内のゲーテ・インスティトゥートは私立語学学校に比べて受講料は割高ですが、プログラム内容やサービスが充実しています。
私立の語学学校
私立の語学学校では、通常一年を通してドイツ語コースを開講しています。さらに、一般的なドイツ語コースに加えて、音楽など文化的要素を取り入れたコースやビジネスドイツ語といった専門コースなど多様なコースを提供しています。クラスの形態も、マンツーマンから十数名程度のクラスまで様々です。エクスカージョンの企画、寮の提供やホームステイ先の斡旋、空港までの送り迎えなど、レッスン以外のサービスも学校によっては充実しているところがあります。

充実した留学にするためには、自分の目的と条件に出来るだけ合った学校を選ぶことが重要です。はじめから1校に絞らず、複数の学校を比較・検討してみましょう。学校のウェブサイトや直接取り寄せた資料で詳細を確認して、疑問点が出たらドイツ語や英語で直接学校に問い合わせてください。
留学する国・地域
ドイツだけではなく、オーストリア、スイス、リヒテンシュタイン、ルクセンブルグなどでもドイツ語は公用語ですが、外国人留学生向けのドイツ語コースが充実しているのは、ドイツ、オーストリア、スイスの3か国で、いずれの国でも標準ドイツ語を学ぶことが出来ますが、それぞれの地域の人が話すドイツ語には地方ごとに特徴があります。さらに、気候や文化的な条件にも違いがあります。新しいドイツを体験したいならベルリン、伝統を感じたいならミュンヘン、クラシック音楽が好きならウィーン、スイスの自然に囲まれて生活したいならベルンなど、ドイツ語を学ぶ目的や条件を考えると同時に、地域の特徴などを調べて、希望に合う学校を選ぶようにしましょう。
大人向けの語学コースの参加には年齢制限があり、ドイツでは18歳以上、オーストリア・スイスでは16歳以上の場合が一般的です。プログラムによっては大学生限定や年齢の上限などがある場合もあります。

通年開講しているコースの入学受付は随時行っているところが多いですが、学校によっては申し込み時期を限定している場合があるので、学校に確認をしてください。特に、観光地として人気の地域での夏期コースでは、早い時期にコースの定員に達して申し込みが締め切られることがあります。
クラス編成
多くの学校ではコース開始前に、レベル分けテストが行われます。学校の規模によりますが、1クラス5~20人ほどで、レベル別にクラス分けされます。クラスのレベル表記には、欧州言語共通参照枠(CEFR)※が使われることが多く、通常、初級(A1・A2)、中級(B1・B2)、上級(C1・C2)に分かれています。
カリキュラム
授業時間は45分が1レッスンで、集中講座の場合1週間に15~30レッスン程度が一般的なカリキュラムです。コースの期間は1週間から1か月の短期集中コースから数か月にわたる長期のコースまであります。
生活費として、ドイツでは約794ユーロ/月、オーストリアでは約950ユーロ/月、スイスでは約2,250スイスフラン/月は最低かかります。
ロイター外国為替レート>ユーロ
ロイター外国為替レート>スイスフラン
滞在先
ホームステイ、寮、アパート、ホテルなどの選択肢があります。学校によっては独自の寮を併設しているところもありますが、部屋の数に限りがありますので、夏期プログラムの期間など人の多く集まる時期に希望する場合はできる限り早く予約しましょう。ホームステイ先やアパート・ホテルの手配を直接行う学校がある一方、滞在先リストを紹介するのみの学校もあります。また、滞在先を決めるにあたり、部屋代だけでなく、食事付きか利便性が良いかなどの詳細も確かめておくとよいでしょう。
語学学校組織などへの加盟
大学付属語学コース以外の学校を選ぶ際は、その学校がどのような語学学校組織などに加盟しているかを参考にするとよいでしょう。
ドイツ
FaDaF(Fachverband fuer Deutsch als Fremd- und Zweitsprache:外国語・第二言語としてのドイツ語連盟)という民間の語学学校や大学附属の語学研修機関が加盟する団体があり、サイト上で地域や目的別に加盟する学校の検索ができます。
オーストリア
オーストリア学術省とオーストリア政府観光局が推薦しているCAMPUS AUSTRIAという語学学校組織には、私立の語学学校5校と大学付属の語学センター2校が加盟しています。加盟数は少ないですが、サイト上で、地域やコース開始日、コースレベルなどから学校を検索することができます。
スイス
生涯教育機関の質を保証するeduQuaの基準を満たした学校を下記のサイトで検索することができます。

提出した書類が学校に受理され、申し込み確認書(Bestaetigung)を得たら、入国や滞在に必要な手続きの準備をします。日本国のパスポートを所有する場合、ドイツ・オーストリア・スイスへの入国に際してビザは必要ありません。ただし、シェンゲン協定国を出国する日より3か月以上パスポートの残存期間が必要です。

長期に滞在する場合は、滞在許可や長期滞在ビザを申請します。国によって条件が異なり、スイスでは入国前に手続を行わなければいけません。ドイツ・オーストリアで入国後の手続きに必要な書類であっても日本で用意しておくべき書類もあるので、必ず関連機関で最新情報を確認してください。
ドイツ
90日以上滞在する場合、入国後1-2週間以内(に滞在地を管轄する住民登録局に住民届を出します。そして、入国後90日の有効期間内に滞在地を管轄する外国人局で滞在許可(Aufenthaltserlaubnis)の取得手続きを完了する必要があります。滞在許可には、ドイツ国内で有効な医療保険の加入証明、語学学校の入学許可証や滞在費の証明などが必要です。必要とされる書類については、在日ドイツ連邦共和国大使館や総領事館のウェブサイトに説明があります。また、学校や申請先である滞在地の外国人局にも確認するようにしてください。
オーストリア
6か月以上オーストリアに滞在する場合は、出発前に日本で必要書類を準備し、オーストリア入国後に留学先の州政府の移民課で在留許可証(Aufenthaltstitel)の申請をします。その際に、住民票(Meldezettel)の提出が求められますので、まずは入国後3日以内に滞在地の役所で住民登録を行ってください。申請には、戸籍抄本、住民票、住居証明、入学許可証、経済的証明書、健康保険加入証明書や無犯罪証明書などが必要です。在日オーストリア大使館のウェブサイトに説明がありますので、そちらを参照してください。在留許可に関する情報は変更されることがあるので、オーストリアに入国する前に、当該州政府の移民課や学校に必要な書類を確認してください。
スイス
80日間に90日以上の滞在を希望する場合は、長期滞在ビザを申請する必要があります。申請には、入学許可証、滞在費の証明、授業料や宿泊費の支払い証明、経歴・目的などを記した作文、卒業証明書などが必要となります。申請は駐日スイス大使館の窓口に出向いて行います。手続きには、数か月要する場合があるため、早めの申請をこころがけてください。留学先の学校が申請手続きをサポートしてくれる場合もあるので、長期の滞在を予定していてビザの申請が必要な場合は、まずは学校に相談してみましょう。

ドイツ
大学の言語センターの例:IKK Duesseldorf*デュッセルドルフの大学と提携した語学学校
コース名:German as a Foreign Language Intensive Course in Duesseldorf
レベル:A1~C1
開講期間:4週、通年
授業時間:20レッスン(80レッスン/全期間)
クラス:平均18名
申し込み:オンライン申し込み+クレジット決済 ※空きがある限り開講日まで申し込み可
授業料:495ユーロ/4週
滞在費:フラットシェア 一人部屋495ユーロ/月

公的機関の語学学校の例:Goethe Institut Berlin
コース名:インテンシヴ4
対象年齢:18歳以上
レベル:A1-C2
開講期間:4週、通年
授業時間:25レッスン/週(80レッスン/全期間)
クラス:定員16名
申し込み:オンライン・メール・郵送・FAX ※ビザが必要な場合は3か月前までに申し込み
授業料:1,150ユーロ(通常)、1,250ユーロ(夏期)/4週
滞在費:下宿、個室590ユーロ/4週

私立の語学学校の例:Tandem Hamburg
コース名:Intensiv 20
対象年齢:18歳以上
レベル:A1-B1
開講期間:4週、通年
授業時間:20レッスン/週(80レッスン/全期間)
クラス:4-10名
申し込み:オンライン
授業料:496ユーロ/4週 ※教材費別
滞在費:  フラットシェア 一人部屋 112ユーロ/1週
オーストリア
大学の言語センターの例:ウィーン大学
コース名:Summer Intensive Courses
対象年齢:16歳以上
申し込み:オンライン申し込み+クレジット決済
開講期間:4週、7月・8月(※9月開講コースは料金が異なる)
授業時間:15レッスン/週(57レッスン/全期間)
クラス:定員16名
授業料:480ユーロ/4週 (授業料+学生寮の滞在費:1人部屋約1,037ユーロ/4週)

公的機関の語学学校の例:VHS polycollege - Margareten/Wieden
コース名:Deutsch A1 (Teil 1 von 2)
レベル:A1
開講期間:7週、通年
授業時間:12レッスン/週(90レッスン/全期間)
申し込み:オンライン、メール、窓口
授業料:382,50ユーロ/全期間

私立の語学学校の例:Alpha Sprachinstitut Austria
コース名:German Intensive course + Accommodation in Vienna
対象年齢:16歳~30歳
レベル:A1-C2
開講時期:4週、7月・8月開催
授業時間:25レッスン/週
クラス:平均8名
申し込み:4週前まで
授業料+滞在費用:フラットシェア 一人部屋 1.220ユーロ/4週 (※滞在費込みではない同様のコースの場合 授業料:590ユーロ/4週)
スイス
公的機関の語学学校の例:VHS beider Basel
コース名:A1 Vormittagskurs Deutsch, Intensiv 1
対象年齢:16歳以上
レベル:A1
開講期間:9週、通年
授業時間:4レッスン/週(34レッスン/全期間)
クラス:定員14名
申し込み:オンライン、メール、電話か直接来校しての申し込み、1か月以内に授業料を送金する。
授業料:459スイスフラン/全期間

私立の語学学校の例:academia language school Bern
コース名:Intensive Courses
レベル:A1, A2, B1, telc certificates
開講期間:12週
授業時間:10レッスン/週(120レッスン/全期間) +統合プログラム5時間/週
クラス:5-9名
申し込み:メール・電話・郵送で連絡する
授業料:CHF 390スイスフラン/全期間

ロイター外国為替レート>ユーロ
ロイター外国為替レート>スイスフラン

ドイツ語とコイン

(2018年7月作成:禁無断転載)

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)は、
文部科学省が所管する団体です。
学生支援を先導する中核機関として、「奨学金事業」
「留学生支援事業」および
「学生生活支援事業」を
総合的に実施し、
次世代の社会を担う豊かな
人間性を備えた創造的な人材を育成すると
ともに、
国際理解・交流の促進を図ることを目指しています。