留学先の国の特徴や留学情報をご紹介。
国ごとの違いを明確に知り、自分にあった留学先を見つけましょう。

このページは2024年に調査した内容を掲載しています。特殊文字や記号は省略しています。

ブラジルの高等教育機関は、大きく公立機関(Instituições públicas)と私立機関(Instituições privadas)に分けられます。 

【公立機関】
連邦、州、または市などによって運営されている機関で、連邦大学や州立大学も公立機関に含まれます。公的資金によってサポートされているので、一般的には学費はかかりません。

【私立機関】
個人または私法人によって運営されている機関で、教育省(MEC)の認定を受けています。営利を目的とする機関、非営利の機関がありますが、学費がかかります。 

その中でも、提供する教育プログラムによって大学(Universidade)、大学センター(Centro Universitário)、学部(Faculdade)という3種類にも分けられます。

○大学(Universidade)
幅広い知識分野での教育、研究、社会貢献活動を提供し、教員の最低3分の1が修士または博士号を有しています。また、4つの大学院プログラムを提供しています。
○大学センター(Centro Universitário)
複数の分野のプログラムを提供し、教員の3分の1以上が高等学位を持っています。研究活動や大学院プログラムが少ないなど、大学に比べると、規模が小さい機関が多いです。
○単科大学(Faculdade)
大学センターよりさらに小規模な教育機関で、特定の専門職に関連するコースやプログラムを提供しています。研究よりも教育が主眼とされています。日本の専門学校のような教育を受けることができます。

2019年のブラジル政府のデータによると、機関数はFaculdadeが2,076、Centro Universitárioが294、Universidadeが198となっています。

ブラジルの高等教育システムには、学位の種類によって、まず連続課程(Cursos Sequenciais)と学士課程(Cursos de Graduação)の2つに大別されます。

【連続課程(Cursos Sequenciais)】
短期間の高等教育コースで、専門的な技術的教育を2年以上の期間で提供します。このコースを修了すると、高等教育の証明書が与えられます。
 
【学士課程(Cursos de Graduação)】
2年から6年の期間を要するこのコースで、高等教育の卒業証書、学士号(Bacharelado)、教育学士(Licenciatura)あるいは技術学士(Tecnólogo)の資格が与えられます。 
○学士
一般的に3年から6年間のコースで、理論と実践の両方を含む総合的な教育が行われます。このコースの目的は、特定の分野に関する広範な知識を提供し、プロフェッショナルな活動への接触を可能にすることです。
○教育学士
基礎教育と中等教育の教員を養成するためのコースで、一般的に3年から5年かけて修了します。教育学や教授技術に関する科目に加え、特定の分野の専門的な内容を含みます。4年間の教育学のコースを受講し、学士号を取得することで教員として働くことが可能になりますので、公立または私立の学校で教師として働くことを目指す人に適しています。 
○技術学士
2年から3年で修了できる短期のコースで、実務に重点を置き、市場のニーズに応える実践的な職業教育を提供します。
 
【大学院(Pós-graduação)】
次の3種類があります。
MBA(経営学修士):経営分野に特化した大学院課程。
Mestrado(修士):平均2年間の研究重視型プログラムで、修了には修士論文の提出が必要。
Doutorado(博士):平均4年間のさらに研究を深めるプログラムで、博士論文の提出が必要。
大学院プログラムに進学するには、大学の学士課程を修了している必要があります。

高等教育機関で提供している専攻分野は非常に多岐に渡ります。
以下はカンピーナス大学(ブラジルで最も著名な連邦大学の一つ)で扱っている専攻分野の一部です。
音楽 (Música)、ダンス (Dança)、コミュニケーション社会学 - メディア学 (Comunicação Social - Midialogia)、生物学 (Ciências Biológicas)、歯学 (Odontologia)、医学 (Medicina)、看護学 (Enfermagem)、言語聴覚療法 (Fonoaudiologia)、薬学 (Farmácia)、スポーツ科学 (Ciências do Esporte)、栄養学 (Nutrição)、数学 (Matemática)、統計学 (Estatística)、物理学 (Física)、化学 (Química)、農業工学 (Engenharia Agrícola)、化学工学 (Engenharia Química)、機械工学 (Engenharia Mecânica)、電気工学 (Engenharia Elétrica)、コンピュータ工学 (Engenharia de Computação)、地質学 (Geologia)、物理工学 (Engenharia Física)、ポルトガル語文学士 (Licenciatura em Letras - Português)、社会科学 (Ciências Sociais)、経済学 (Ciências Econômicas)、言語学 (Linguística)、歴史学 (História)、教育学 (Pedagogia)、哲学 (Filosofia)

学部生における留学の選択肢には、大学間の協定を利用した留学と協定を利用しない留学の2つに大別できます。

協定を利用したケース
留学の手続きや条件が大学間の協定に基づいているため、比較的スムーズに留学が可能です。また、大学によっては複数の大学と協定を結んでいるため、いくつかの協定校の中から選択することも可能です。ただし所属している大学によっては留学条件として成績(GPA)の最低基準を設けているところもあるので、注意が必要です。

協定を利用しないケース
いわゆる Free moverとしての留学になり、自力で留学の準備を行うことになります。留学したい大学を自由に選べるという点では良いですが、留学先の選定、申請手続き、ビザの取得、必要に応じて単位換算などを学生自身が行う必要があるため、ハードルの高い留学になります。出願資格は大学によって様々で、自分自身で大学のホームページなどを、必要に応じて大学の事務局にメールなどで連絡を取る必要があります。

いずれのケースでも、一般的には現地の一般の大学生と同じ授業に参加することができます。ただし語学力の面で不安が残る学生も多いと思われ、多くの大学が外国人留学生向けにポルトガル語講座を提供しています。ポルトガル語講座に通いながら、ポルトガル語力を伸ばし、その他の一般科目の授業についていくという方法があります。

その他、大学に留学するのではなく、現地の一般の語学学校に通うという方法もあります。特にリオデジャネイロやサンパウロには語学学校が多く、授業形態もグループレッスン、個別レッスン、オンライン、対面と自由に選べるため、自分のライフスタイルに合わせた受講が可能です。

留学費用は公立の大学であれば無料です。私立であっても交換留学であれば、一般的には日本の大学の学費だけ支払うことになります。

大学が提供している外国人向けのポルトガル語講座の費用は、大学によって異なります。無料で受講できる大学もあれば、1時間あたり約5レアルの大学も、20レアル程度の大学もあります。いずれにせよ非常に安い価格で受講できます。
一般の語学学校の場合、金額は高くなり、平均して1時間40~50レアルとなります。

留学を希望する大学のホームページを参照しながら、応募手順、必要書類、出願締切日を確認し、必要に応じて大学の事務局への問い合わせが必要となります。主にメールで対応してくれますが、一般的に返信は遅いと考えて良いので、余裕を持って、また辛抱強く準備する必要があります。

修士課程や博士課程の場合は、学部と異なり出願基準や入学試験、審査方法がより厳しくなります。
それぞれ学士課程、修士課程を修了していることが前提となる上、一般的に推薦状、自身の研究計画書の提出が必須となります。研究する領域の知識を試す試験、外国語能力を測る試験を課した後、面接をすることが多いですが、試験の内容・有無は学部・学科によって異なりますので、大学の一般的な留学情報のみならず、学部・学科のホームページをチェックする必要があります。

ブラジルでは、インターンシップが教育活動の一環として位置づけられており、積極的に行われています。これにより、学生は実務経験を積むことができ、職業スキルや実践的な知識を習得する機会を持つことができます。大学のコースによっては、インターンシップが卒業要件として義務付けられている場合もあります。
Abmesという機関の調査によると、2020年から2021年の間に卒業した約2,000人のうち、69%が卒業後1年以内に就職しており、高等教育の修了は就職活動をする上で非常に重要な役割を担っていることがわかります。
ブラジルで留学中の日本人と交流する方法として、日本文化センターや県人会が活動の場として存在しています。これらの組織は文化イベントや祭りなどを開催し、日本文化を紹介するとともに、日本人コミュニティの交流の場を提供しています。特にサンパウロには多くの県人会が集中しており、さまざまな活動が行われています。しかし、日本語での情報提供を行っている県人会は少なく、ポルトガル語で検索するなどの工夫が必要です。
ブラジルへの留学生は北米・南米諸国からが特に多く、最も多いのはアメリカからの留学生で、これに南米のコロンビアやペルーなどの留学生が続きます。その他アフリカのポルトガル語圏の国々、特にアンゴラやギニアビサウからの留学生の数も多く、これは言語的な共通性が影響していると考えられます。日本からの留学生も多く、これは両国間の長い歴史的・文化的なつながりが影響しています。

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)は、
文部科学省が所管する団体です。
学生支援を先導する中核機関として、「奨学金事業」
「留学生支援事業」および
「学生生活支援事業」を
総合的に実施し、
次世代の社会を担う豊かな
人間性を備えた創造的な人材を育成すると
ともに、
国際理解・交流の促進を図ることを目指しています。