海外留学を考え始めた方や、準備を進めている方にお勧めの基礎情報。
語学や芸術文化など目的にあわせた留学先の情報を調べることができます。

このページは2015年度の調査をもとに、2021年2月時点で更新した情報です。
学校情報については留学を希望する学校に直接最新の情報を確認してください。なお、当機構がこれらの学校を特におすすめしているという趣旨ではありません。
特殊文字や記号は省略しています。

音楽を学べる機関

音楽院
フランスの音楽教育は音楽院で行われます。しかし一口に音楽院と言っても、教育での段階や、レベルがそれぞれ異なります。
フランスの音楽教育の高等教育機関とは、高等国立音楽院(CNS)である2つの機関と、地方の「拠点」poleと呼ばれる10校以上の、文化省から高等教育の学位の授与を認められたConservatoire a rayonnement regionalの機関のことを指します。Conservatoire a rayonnement regionalでは、それぞれの協定大学とのパートナーシップの枠において高等教育の学位を取得できるプログラムの履修が可能です。
音楽教育において学士号に相当する学位は、DNSP (le diplome national superieur professionnel:職業的な高等国家免状)と呼ばれます。
以下では、高等教育機関から段階別に降順に記載していきます。
CNS Les Conservatoires nationaux superieurs (高等国立音楽院)
高等国立音楽院(CNS)はパリとリヨンに1校ずつある音楽家育成の最高教育機関で、音楽院の頂点に位置します。第1課程(学士課程相当)が3年間で、DNSPの取得が目的となります。第2課程(修士課程相当)は2年間で、16歳から26歳までを対象としています。実技試験を重要視して選抜試験が行われます。審査はより若く、より才能が光る学生を集めることを目的に行われ、合格は容易ではありません。国立音楽院(CNS)を修了した学生のみが、同機関の博士課程への進学試験を受けられます。
Pole d’ensegnement superieur de la musique (音楽に関する高等教育の拠点)
地方の「拠点」poleと呼ばれる10の機関は3年間、DNSPの取得を目的に教育を行います。「拠点」を受験するためには、事前に後述の資格DNOPかDEMを取得していなければなりません。

フランス文化・通信省>高等国立音楽院及び音楽に関する高等教育の拠点の高等教育機関のリスト
地方、県立音楽院:DE取得コース
地方音楽院(CRR:les conservatoires a rayonnement regional)は地方自治体が管轄する学校で、フランス国内に43校あります。県立音楽院(CRD:les conservatoires a rayonnement departemental) は県が管轄する学校で、フランス国内に109校あります。
2年間でDE (les diplomes d'Etat: 国家資格)を取ることができます。CRRやCRDなどで取得可能なDNOP(le diplome national d'orientation professionnelle)は、音楽の高等教育へのアクセスのためのディプロマです。DEM(DEM, le diplome d'etudes musicales: 音楽研究免状)も同様に高等教育へのアクセスのためのものです。
就学期間は、最短で2年、最長で3年から4年です。
<学校例>
学校名 パリ地方音楽院(CRR de Paris: Conservatoire a rayonnement regional de Paris)
対象者 ・高等教育機関に進学を希望する者
・高等教育機関にまだ進学していない者
・既にある一定の段階まで音楽について習熟している者
・指導を受けたい教員がいる者
選抜方法 実技試験によって、選抜を行う。コースによっては面接を行うこともある。
学費 A. 特別課程:約200~1,300ユーロ/年(※)
B. 独奏者課程: 集団レッスンが750ユーロ/年、個別レッスンが1,500ユーロ/年
※家計収入によって変わります。一般には1,000~1,300ユーロ/年になるでしょう。
言語 フランス語
期間 2年~最長4年(専攻によっては3年)
コミューン立音楽院/ コミューン間立音楽院(CRC/CRI, Les Conservatoires à rayonnement communal ou intercommunal)
市や区が単独・もしくは共同で管轄する学校で、フランス国内に300校以上あります 。
コミューン立音楽院/ コミューン間立音楽院では、一部で特別なカリキュラムCEPI(le cycle d'enseignement professionnel initial : 初等専門教育課程)を作っています。ここではDNOP(le diplome national d'orientation professionnelle : 職業指導国家資格)を取得できます。DNOP取得に年齢制限はありませんが、基本的に15歳~20歳の申請者が優遇されます。試験は、実技と筆記です。2年から4年間かけて、最低でも合計で750時間の講座を受講していることが修了要件です。
選択できる専門は多岐にわたっており、クラシック音楽だけではなく、古楽やジャズ、電子音楽も選択することができます 。ただし専門は、機関ごとに設置されているものが異なります。自分の希望する専門にあったところを探すことになるでしょう。
私立音楽院――DEM取得コース
音楽院の中には、私立のものがごく少数ながらもあります。これらの多くは入学試験がなく、自分にあった段階からすぐに勉強できるという点で利点があります。
修了時に音楽研究資格(DEM)を取得できるコースもあります。
音楽学校
フランスの音楽院で学べるのは主にクラシック音楽です。しかしジャズやDJ音楽や民族音楽については、別で国家資格が定められており、そのための学校があります。取得までは、学校に登録して2年ほどを要します。
音楽教室
フランスの音楽教室の形態は様々です。各自治体に、手引きとなる指針を示すセンターがあります。パリの場合、市の機関としてMPAA(Maison des Pratiques Artistiques amateurs: 芸術愛好家センター)があります。センターで音楽教室を随時開催している他、音楽教室などの情報をまとめています。

また商業的な美術教室を展開している協会もあります。この形態は大きく二通りあります。まずパリ12区のモーリス・ラヴェル・活動センター(Centre d’animation Maurice Ravel)のように、スポーツや芸術についても講座を行っているものです。また他に、CFPM(Centre de Formation Professionnelle de la Musique : プロ音楽研修センター)のように、音楽に特化し、フランス全土に展開している協会もあります。

協会に所属しない個別の音楽教室は市役所・区役所が発行している生活の手引きのパンフレットの音楽学校の項目で調べることができます。

パリにある芸術愛好家センターの例
音楽講習会
コンサートを主催している団体が、国立音楽院の教授をはじめとする音楽家を招いて、クラシックやジャズについて、器楽や歌唱、指揮などに関する講座を開いています。団体により多数の講習会が開かれます。 
団体は様々です。公的団体に近いものもあれば、民間企業が芸術活動の支援として開催しているもの、音楽家個人が主催しているものなどあります。
講座は「アカデミー」「マスター・クラス」「スタージュ(研修)」など様々な名前で呼ばれます。受講期間は1週間程度のものが多くありますが、2期申し込むことのできるものもあります。また数は少ないですが、4週間受講できるものもあります。
規模は数百人を超える生徒が受講する大規模なものもあれば、小さいものもあります。地方で開催されるものは、多くの場合、寮を用意しています。
講習会の対象者は、プロを目指す方や高等教育機関への入学を目指す方からアマチュアの方も対象としたものまで様々です。
高いレベルの講習会では、選抜試験があるだけでなく、年齢制限が設けられているものもあります。選抜試験がないものでも、講習会ごとに想定されている水準がありますので、主催団体のウェブサイトを確認したり直接問い合わせたりするとよいでしょう。
アンケートのページには、上記のニース夏期国際アカデミーのアンケートも掲載しています。
音楽講習会の例

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)は、
文部科学省が所管する団体です。
学生支援を先導する中核機関として、「奨学金事業」
「留学生支援事業」および
「学生生活支援事業」を
総合的に実施し、
次世代の社会を担う豊かな
人間性を備えた創造的な人材を育成すると
ともに、
国際理解・交流の促進を図ることを目指しています。