留学先の国の特徴や留学情報をご紹介。
国ごとの違いを明確に知り、自分にあった留学先を見つけましょう。

大学・大学院・短期大学・専門学校 私費留学

最新の情報については、 ビザについては日本国内の大使館・総領事館に、学校情報は留学を希望する学校に、必ず直接確認してください。
M.H.さん(40代男性)
都市名:サンティアゴ・デ・コンポステーラ
学校名:サンティアゴ・デ・コンポステーラ大学
専攻名:地域分析・管理(地理学専攻)
留学期間:2005年10月~2007年3月
在籍課程:修士課程
留学の動機
なぜスペインに留学しようと思いましたか?他国との比較、決め手になったことなどお答えください。
日本の大学院においてスペインの観光の研究をしていたため、現地調査・語学習得を考えるとスペイン以外の選択肢はなかった。
留学前の準備期間、言語の勉強方法
留学を思い立ってから実際に現地へ出発するまで何か月くらいの準備期間が必要でしたか?
サンティアゴ・デ・コンポステーラの隣の州にあるオビエド大学から転学したため、準備期間は半年ほど。初めて日本からスペインへ留学したとき(2001年)の準備期間は1年ほど。
準備期間中にいちばん大変だったこと、時間は十分だったかをお答えください。
在籍大学を変えたため、成績などを移す手続きが大変だった。加えて、スペインでの学生滞在許可の切り替えや転居も大変であった。
留学前にスペイン語または英語をどのように勉強しましたか?語学試験は受験しましたか?
大学の転学にあたってスペイン語の試験は免除されたので特に勉強はしていない。但し、サンティアゴ・デ・コンポステーラ大学(以下USC)のあるガリシア州はスペイン語とガリシア語のバイリンガル地域であったため、USCに移ってからガリシア語での授業を受けたり論文を読むことが必要になり、ガリシア語の初級講座で勉強した。
語学学習において、どんな勉強方法が一番効果的だと思いますか?
文法を一通りやって、語彙を増やす。毎日読む・聞く・書く・話すといったことを実践する。なるべくネイティブに近い人と直接スペイン語を使う機会を作る。専門があるのであれば、その分野の論文を常に読むこと。新聞を毎日読むこと。
情報収集方法
どのようにしてスペイン留学について情報収集しましたか?
書籍、インターネット、友人、現地の大学に直接下見に行く、指導してもらいたい先生に直接会いに行く、留学したい学科などで勉強をしている学生を捕まえて内情を聞く、授業を受講させてもらう、学科ホームページなどに載っている活動・業績一覧をみる。
現地学校への問い合わせ
学校へはどのような手段で連絡を取りましたか?また、具体的な質問内容を差支えない範囲で教えてください。
電話、電子メール
質問内容:受験資格、講義内容・形式、そもそも自分は出願できるのか、奨学金の有無。
連絡の際に困ったことはありましたか?
大学の担当職員(連絡先)にメールを出しても返事がないことが多いので、しばらく返事がなければ直接電話するか、直接会いに行く必要があった。大学院入試が日本とかなり違うことに加えて、手続きや必要書類の情報が日本からは入手できないことが多く、結局現地に行かないといけない場合もあり苦労した。
出願について
出願時に提出した書類と、提出方法を具体的に教えてください。
願書、成績証明書(日本、スペイン)、研究業績一覧、スペイン語能力証明書(グラナダ大学発行)を窓口で提出。
出願から正式な許可書を受け取るまでに苦労したことはありましたか?それをどのように解決しましたか?
転学手続に時間がかかり、事務処理の進み具合についての連絡も何もないので、何回も窓口に聞きに行く必要があり不安であった。
入学試験
入学試験を受けましたか?またその教科や内容を教えてください。
書類選考のみ。内容は、所定の用紙に転学願いに必要な事項を記載し、必要な書類を添えて提出した。受け入れ希望教員は既に面識があったため、面接などはなかった。
奨学金・授業料減免制度
奨学金もしくは授業料減免制度の情報をどこで得ましたか?また利用するためにどんな準備や手続き(書類提出・面接等)をしましたか?
出願書類配布窓口、大学の該当ホームページ、スペイン教育省の奨学金のページ、駐日スペイン大使館ホームページ
奨学金もしくは授業料減免制度を利用した感想について教えてください。
USC時代は利用はできなかったが、その前に在学した大学では授業料減免を利用した。書類提出のみで外国人も応募できたので助かった。
ビザ・居住の許可等の取得
(JASSO注:手続き上の必要書類等は当該地における当時のもので、申請にあたっては、自己の責任において最新の情報を確認する必要があります。)
ビザの取得にはどのような書類や手続きが必要でしたか?気をつけた点も教えてください。
(最初にスペインに来た2001年のときの内容)全体的に時間がかかる上に、すべての書類を国際条約に関する手続きやスペイン語訳が必要なので早めに行うべきである。申し込み証、パスポート、成績証明、受け入れ証明、銀行残高証明、大学寮などの予約証明、健康診断書、無犯罪証明など。大使館HPなどに説明は載っていてスペイン大使館としてはそのホームページを見れば誰でも準備できると思っているらしいが、実際には抽象的な文章の説明しかないため、書類の様式などを自作する必要があり大変である。日本語で証明書類を作成してもらっても結局スペイン語翻訳・翻訳証明が必要で面倒なので、可能であれば最初からスペイン語で書類作成してもらった方がよいであろう。申請に必要な書類や判断基準も猫の目のように変わるので、最新情報には気をつけた方がよい。
学生在留カードの取得にはどのような書類や手続きが必要でしたか?気をつけた点も教えてください。
学生ビザ、銀行残高証明、住民登録証明、同居証明、旅行保険証明、在学証明、業績一覧、推薦書
学費、生活費、お金の送金・管理方法等
留学中にかかった学費(+諸経費)の総額はおよそいくらでしたか?どのような支払方法が便利でしたか?
学費は年700ユーロほど。諸経費として、学生用の保険(100ユーロ)。銀行振り込みしかできなかった。
学費以外の生活費(住居費、食費、光熱費、教養・娯楽費など)の、1か月平均額または留学期間全体の金額を教えてください。
1か月の生活に800~900ユーロほど必要。さらに、研究用の書籍,調査費用などで年間2000~3000ユーロは必要だった。
学費、生活費をどのように捻出しましたか?
家族の仕送り、それ以前に働いていたときの貯金、研究助成(1つ)、不定期のアルバイト
お金をどのように管理していましたか?現地で銀行口座を作った場合、どのような手続きをしましたか?
現地で銀行口座を開き、そこにすべての資金を入れた。銀行ではパスポートと学生在留カードがあれば口座を開くことができた。並行して、日本の銀行カードも使用した。
日本からの送金が必要な際、どのように送金してもらいましたか?
日本の銀行口座に振り込んでもらい、スペインのATMで日本の銀行カードを使って引き出した。
健康管理
どのような保険(タイプ・金額など)に入っていましたか?留学先校など現地で保険の指定はありましたか?
USCが契約していた保険会社+外国人向けの現地の公的な医療カード。
日本またはスペインで予防接種・健康診断を受けた場合、その内容をお教えください。
一般的な健康診断一式。
現地の医療サービス(大学・現地の病院・クリニック等の利用、薬や衛生用品の利用)を受けましたか?またその場合、気をつけるべき点があれば教えてください。
現地の病院で受診し、薬も処方箋で購入した。日本と違い担当医に診てもらった後に、必要であれば専門医を紹介される。しかし、公的病院の専門医が足りないため専門的な検査・治療をうけられる待ち時間が非常に長い(眼科の場合,検査まで4か月といわれたことがある)。そこで、すぐに受診・治療してもらいたい場合は救急病院・窓口に行くが、多くの人が救急病院に来るため深刻でない病気だと半日待たされることは普通にある。
また、スペイン語以外はまず通じないと考えた方がよい。公設病院は以前は無料であったが、最近は経費削減で外国人はかなりの額を請求されるので、保険に加入してから受診すべき。
学校生活
日本の授業に比べて異なる点、 スペインらしいと思う特徴、受講した感想を教えてください。
良くも悪くも議論が好きな国なので、聞いているだけではあまり評価されないし勉強にもならない。何らかの形で授業の議論に参加する必要がある。
予習・復習での工夫や苦労した点があれば教えてください。
わからないところはすぐに聞く。課題などで困った場合も積極的に質問した方がよい。発表やレポート作成が大変なので、文章をきちんと直してくれる人を複数確保しておいた方がよい。自分が困っていたとして、察してくれて助けてくれることはまずないので、自ら問題解決に役に立つ人を見つけて助けてもらえるようになることが必要である。そこまでは忍耐と精進が必要である。
試験やエッセイ・レポート対策について、工夫や苦労した点があれば教えてください。
きちんとした文章が書けて、責任を持って直してくれて、しかも専門が近い人をなるべく探す。こちらからもお礼に何らかの形で貢献する。
授業やレポートにおいて、語学上・学習上のサポートはありましたか?
レポートの書き方、専門的な分析方法などについて、セミナー(無料、有料)が開かれていた。研究室の同僚院生には聞きやすい雰囲気だった。
学校の施設(図書館・PC・カフェなど)は充実していましたか?
図書館、PCは充実していたが,システムが少し古かった。カフェは朝から晩まで開いており、安価で味はまずまずであった。
学校全体やクラスで、現地の学生・外国人留学生・日本人留学生の割合、学生の年齢層はどのようでしたか?
クラスの中に、現地の学生50%、外国人留学生(中南米・ポルトガル・その他のEU)50%、これら以外の出身者はごくわずかであった。自分の受講した大学院の授業で、日本人留学生はいなかった。年齢層は20代中盤から50代中盤くらいまで様々。
現地の学生・外国人留学生と交流できましたか?その方法(授業・課外活動・寮生活等)や大変だったことがあれば教えてください。
現地学生、外国人留学生ともに交流できた。授業、課外活動、シェアしていたアパートのルームメートなど。USC時代のルームメートとは快適に過ごせたが、それ以外の大学では問題なく共同生活できる相手を見つけるまでが一苦労であった。
日本人留学生との交流、 スペインや他の外国からの学生との交流はできましたか?大変だったことはありましたか?
研究などの息抜きで交流した。夜遊びに行ったときに明け方までついて行くのが体力的にきつかった。
指導教官とのやり取りでよかったこと、大変だったことはありましたか?
専門が近く、有能で親身に指導してもらったので非常に有益であった。大変であったのはスペイン語で論文を書くということと、土地柄ガリシア語やポルトガル語の文献も読まなければならないため語学の勉強がさらに必要であったこと。
食事
普段はどのように食事をされましたか?現地の食事・飲料水・食材で苦労したこと、気をつけたことはありましたか?
共同自炊、学食、レストラン。外食・学食共に、気をつけないと肉と油脂を取りすぎ、野菜不足になるので、なるべく野菜を多くとれるメニューを選んだ。余裕があれば自炊した。
日本の食材を手に入れることはできましたか?日本から持参すると良い食材があれば教えてください。
米、キノコ、アジア系野菜、レトルト食品、調味料については、代替品がある程度手に入る。日本のものを売っていることもあるが高い。出汁や乾物は手に入れにくいし高いので、持ってきてもよい。
住居
留学中、どんな住居に住んでいましたか?(寮・ゲストハウス・アパートなど)その特徴とともにお教えください。
アパートは家族用をシェアしたので、台所、風呂、サロン共同、部屋のみ個室であった。かなり古い建物の3階で、エレベーターはない。
住居を決めた際の基準(周辺環境、家賃等)や、探した方法(学校などからの紹介の有無、口コミ等)を教えてください。
友人のアパートに同居人として入れてもらった。
住居でトラブルはありましたか?あった場合、どのように対処しましたか?
害虫が大量発生したので、殺虫剤で駆除した。
現地の治安状況・注意したこと等
現地の治安状況についてどのように情報収集しましたか?
口コミ、現地の新聞
治安状況を踏まえて気をつけた点について教えてください。
基本的に安全な町であるが、怪しい地区・時間帯もあるので、そのような場所・時間帯は避けた。
犯罪に巻き込まれたことはありましたか?その際どのように対処しましたか?
USC在籍中は特になかった。
通信
通信機器(PC・携帯電話・スマートフォン等)は、日本から持参されましたか?学校や居住施設での利用はいかがでしたか?
PCは日本から持参、携帯は現地で入手。PCは大学の無線LANかインターネットカフェ利用。
現地で上記の通信機器やインターネットを利用した際、機器・プロバイダの選択や手続きはどのように行いましたか?
友人に助けてもらうか、ウェブ上の説明をみて自分で行った。
気候
日本との気候の違い(暑さ・寒さ・湿度・日照時間等)に対して心がけた点を教えてください。
温暖ではあるが、天候が不安定で、湿度が高く、秋~春にかけてはずっと天気が悪いため、湿度・風邪対策、気分が落ち込まないようにする、しっかりした雨具が必要である。体調が悪くなったら早めに治療を受けたり休養する。
現地生活状況・各種相談先
現地購入できて役に立ったもの、日常品で重要なものがあればお教えください。
生活必需品はそろえるまで面倒だが、何件か店を回ればそろう。
机、椅子、電気スタンド、枕については、アパートについていないか、あっても使い物にならないことが多いので、自分で納得できるものを購入した方が良いであろう。
学校内・学校外で問題があったとき、誰に相談しましたか?
友人、指導教員、現地在住の日本人
住居などについて支援を受けられるような学生互助会(自治会)などはありましたか?その支援を受けましたか?
USCのHPにある掲示板
現地の人(学生に限らず)との文化的摩擦、トラブルの経験や、異文化の中で気をつかった点はありましたか?
おとなしい人が多い地方なのでそれほど摩擦・トラブルはなかったが、やはり人種差別的な発言を聞くことはあった。明らかに日本人(アジア系)と見られると、犯罪や人種差別的行為の対象となる確率が上がるので、現地人に近く日本人(アジア系)とはわからない服装・風貌をするようにした。体調が悪いときは外出は控えた。
帰国後の進路/留学と進路との関係
現在の所属について、差し支えない範囲で教えてください。
大学教員
留学前・留学中・留学後のいつ、就職活動をされましたか?
留学中
スペインで就職活動をされましたか?その場合、その内容や特徴、現地大学からの支援の有無について、差し支えない範囲で教えてください。
日本の大学の公募へ出願した。
留学経験は進路決定に影響しましたか?また、留学経験は現在の仕事・学業にどのようにいかされていますか?
影響した。授業内容、研究内容などに生かされている。
後輩へのアドバイス
これまでの留学準備と留学生活を振り返って、「日本にいる間にしておけば良かった」と思うことはありますか?
スペイン語はある程度以上できるようになった方が良いです。留学したい大学、学部、学科、つきたい先生について具体的な情報を集め、さらに現地に下見に行って、指導を受けたい先生にもアポを取って会いに行った方がよいでしょう。良くも悪くも個体差の大きい国であるので、いかに信頼できて困っているときに助けてくれる友人を確保できるかが、快適に暮らしていく上で重要です。そのようになるまでは嫌な目に遭うこともあるかもしれませんが、それを乗り越えてこそ留学生活も楽しめるようになるでしょう。自分が成長しつつ、良い友人を持てるよう自分自身も誠実に精進してください。
留学生活を送る際の注意点と、これから留学を考えている後輩へのアドバイスをお願いいたします。
日本の大学院と違って、いわゆる「ゼミ」がなく、研究・論文作成は指導教員と一対一ですすめることが多いです。少なくとも修士までは日本の大学院で研究の基礎を身につけてから、現地に行っても遅くないでしょう。実習系の授業などは日本では受けられない内容も多くあるので、大学院留学であっても学部の授業も受講した方が有益な留学になることもあります。まともな収入のあるアルバイトはあまり期待しない方がよいでしょう。
留学中の1週間の授業時間割
大学院2年目(修士論文作成)であったので、固定された時間割はなし。

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)は、
文部科学省が所管する団体です。
学生支援を先導する中核機関として、「奨学金事業」
「留学生支援事業」および
「学生生活支援事業」を
総合的に実施し、
次世代の社会を担う豊かな
人間性を備えた創造的な人材を育成すると
ともに、
国際理解・交流の促進を図ることを目指しています。