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奨学金留学
体験レポート
2025年3月18日更新
留学先国・地域:カナダ
留学都市名:エドモントン
学校名:アルバータ大学
専攻名:古生物学専攻
留学期間:2022年9月~2026年6月卒業予定
留学形態:学士課程
奨学金:JASSO給付型「海外留学支援制度(学部学位取得型)」、留学先校の奨学金
留学の動機について
Q. 留学をしようと思った動機を教えてください。
留学について真剣に検討し始めたのは、高校2年生から高校3年生になる春休みです。将来就きたい具体的な職業や日本国内での希望の進学先が不明瞭で悩んでいた時期に、家族との会話を通じて留学という選択肢を見つけました。幼少期より抱いていた、巨大な恐竜の化石を発掘することへの憧れや、中学高校生活で芽生えた科学や国際交流への興味を踏まえて、留学して古生物学を学ぶことに強い魅力を感じ、アルバータ大学への進学を志しました。
Q. 留学先の国・地域、留学先校を選んだ理由を教えてください。
アルバータ大学は古生物研究において影響力の大きい大学です。恐竜研究の最前線で活躍する教授が複数いらっしゃり、化石を用いた実践的で質の高い研究に触れられると期待しました。近隣には、恐竜化石発掘地として有名なドラムヘラーや古生物の博物館として有名なロイヤルティレル博物館、さらに大学構内にも古生物博物館があります。1年生の夏休みから野外実習の授業を受ける事ができたり、ボランティアとして本物の恐竜化石のクリーニングを行えたり、入学直後から古生物に触れられる事も大きな魅力でした。また、カナダは比較的治安が良い印象だったため、海外生活も一人暮らしも初めての私にとって適切な留学先であると判断しました。
Q. 留学に対する家族の反応はどうでしたか?
両親共に協力的で常に応援してくれており、私にとって大きな精神的支えでした。母はTOEFLの難関であったスピーキングとライティングの高得点取得をサポートしたり、アルバータ大学からの合格通知がなかなか来ないと焦っていた私にカルガリー大学に出願することを提案したりと、広い視野で常に第二の手段を考えてくれていました。父は主に理系科目の勉強を手助けしてくれており、今の大学生活で非常に役立っています。
留学の準備について
Q. 留学の準備にはどのくらいの期間を要しましたか?留学を思い立ってから、実際に出発するまで、情報収集、学校選定、出願、ビザ申請など、それぞれの準備段階にわけて教えてください。
2021年4月 留学を思い立ち、学校選定。TOEFL iBTに向けて勉強を始める
2021年6月 TOEFL受験1回目
2021年8月 TOEFL受験2回目
2021年10月 University of Alberta 出願
2021年10月 TOEFL 受験3回目
2022年1月 大学入学共通テスト受験 University of Calgary 出願
2022年2月 TOEFL 受験4回目 University of Calgary 合格通知
2022年4月 University of Alberta 合格通知
2022年7月 Study Permit 取得
2022年8月 渡航
Q. 留学情報の収集はどのように行っていましたか?使用したウェブサイト、雑誌、イベント、SNS(YouTube、Twitter等)などがあれば、あわせて教えてください。
アルバータ大学に通っている日本人の先輩のブログと、その先輩との直接的なコンタクトが主な情報源でした。その他には、アルバータ大学の公式ウェブサイト、カナダ政府のウェブサイトを利用しました。また、インターネットには古い情報も残っていることに留意しつつ、更新日時が新しい留学エージェンシーのサイトも確認していました。
Q. 留学中の住まいはどのように探しましたか?
学生寮をアルバータ大学の公式サイトを使って探しました。
Q. 語学学習はどのように行っていましたか?
中学・高校の英語の授業とTOEFLの問題集を軸に英語学習を行いました。留学を決めてからは、高校で英語の授業を担当してくださったアメリカ人の先生と海外生活経験のある両親に頼み、TOEFLの中でもなかなか点の伸びなかったスピーキングとライティングへの対策に協力してもらいました。リスニング対策としては、CNN10というアメリカの高校生向けの10分ほどの動画をYouTubeで毎日見ていました。長文読解に慣れるためには、National Geographic の子供向けの記事を英語で読んでいました。
Q. 留学(斡旋)サービスなどは利用しましたか?
留学斡旋サイトは利用しませんでした。希望する進学先と、その大学の入学条件が明確だったことが理由です。スタディーパーミットの取得方法などの渡航に関する情報も、カナダ政府のウェブサイトやアルバータ大学のオンラインオリエンテーションで分かりやすく紹介されていました。
Q. 留学にはどのくらい費用がかかりましたか? 留学の資金調達はどのように行いましたか ?
留学のための資金調達はJASSO(日本学生支援機構)「海外留学支援制度 学部学位取得型奨学金」に頼っています。2年次と3年次は大学からの奨学金も受け取っています。留学費用は、学費が年間(8ヶ月)約300万円、寮費が年間(8ヶ月)約100万円、生活費が月額約10万円です。奨学金での不足分は両親からの仕送りを受け取っています。
Q. 準備しておいてよかったこと、また準備しておいたほうがいいことなどはありますか?
入学前に準備しておいて良かったことは、高校の理系科目の復習です。留学後、慣れない英語で数学や化学、生物の授業を受ける際に、日本語の知識が理解のための大きな助けになりました。準備しておくと安心な物は、留学先の国で利用できるSIMカードです。日本から購入できる場合は事前に用意しておくと、空港で入れ替えるだけで携帯が使えるようになり、便利です。
Q. 入学や学生登録の手続き、ビザの手続きなどはどのように行いましたか?特に苦労したことや気を付けた方がいいことなどがあれば教えてください。
入学手続きは全てオンラインで行い、ビザの手続きもバイオメトリクスの取得を除いてオンラインで完了しました。入学手続きの際に気をつけたいのは、期限までにオファーを受け入れる事です。オファーが来た段階ではまだ、受け入れるか辞退するかという選択肢があるため、受け入れ期限が過ぎると辞退したとみなされてしまう可能性があります。ビザの手続きにおいては、細かいことですが銀行の残高証明書を英語で発行してもらうと手続きがスムーズで、また、パスポートを更新しておくと、在学中にビザの問題が生じることもないと思います。
留学中の様子について
Q. 留学中の学校生活はどうでしたか? 日本の学校との違いや、海外の学校だからこそ苦労すること、学校生活での楽しみなどを教えてください。
大学生活は勉強面も生活面も非常に充実しており、楽しい思い出ばかりです。海外特有の苦労は、英語で発言する難しさです。小規模のクラスでは発言した数や発言の質が成績に加味され、英語では咄嗟に文を組み立てて答えるのも、手を挙げる勇気を出すのも難しくて初めは大変でした。最近では先生や友人のアドバイスもあり、克服しつつあります。カナダは冬の気候を除いては生活しやすく、大学には気晴らしができるジムやボルダリングの施設も充実しているため、大きなストレスを感じることはありません。また、毎学期1週間ほどの休暇があるため、州内の自然を満喫したりウィンタースポーツを楽しんだりすることもできます。
Q. 学校外の生活はどうでしたか? 寮などでの生活や休日の過ごし方、町の治安などについても教えてください。
1年次に住んでいた寮は食堂がついており、自炊する必要がありませんでした。2年次以降は食堂のない寮に住んでいます。2人部屋と4人部屋を経験しましたが、毎年気の合うルームメイトに恵まれて、一緒にバンクーバーへ旅行に行ったり、金曜日にはミニパーティーをしたりしています。休暇中は友人とスキーに行ったり、同じ古生物学専攻の先輩達とロイヤルティレル博物館に行ったり、トロントやカルガリーに学会の見学兼旅行に行ったりもしました。試験前になると、休日も図書館に行って勉強しています。街の治安は比較的良いですが、ホームレスが多く、大麻の匂いがすることもあるので夜中に一人で歩くのは避けたいです。
Q. 留学中の生活で大変だったことを教えてください。また、それをどのように克服、対応しましたか?
留学中の生活で大変なことは、食事の管理です。私の場合、初めての自炊生活だったため、食品の買い物の相場や適量が分からず、当初は無駄遣いが多かったです。海外生活も初めてのことだったため、日本では見慣れない食材には手が出せず、偏った食生活を送っていました。外食する場合も、チップの相場が分からずにかなり多く支払っていたと思います。この問題を克服できたのはアメリカ出身のルームメイトのおかげです。2人で相談しながら買い物をしたり、日替わりで料理担当を決めてお互いのご飯を作ったりして生活するうちに、様々な食材を組み合わせて無駄や偏りなく食事を用意できるようになりました。
Q. アルバイトやインターンはしていますか(していましたか)?
アルバイトもインターンもしていません。
留学後について
Q. 留学を経験してみて感じたこと、学んだことはありますか? 留学前と比べて成長した面はありますか?
学んだことは数多くありますが、特に、多様な考えの友人と会話を重ねる中で、自分の根底にある思考や常識に意識的になっているのを感じています。日本語での会話では、意見が多少曖昧でも、雰囲気や共通の常識を通じて、ある程度相手に伝えることができていました。しかし、様々な背景を持つ人々の中では、まず自分の考えを明確にし、前提条件や共通認識を振り返ってから、論理的に話を組み立てて正しく言葉を選ばないと伝わらないことにショックを受けました。このような話の仕方を身につけていくことは、今後、科学的な議論を積み重ねる中できっと助けになる学びだと思っています。
Q. 留学後の進路について教えてください。
卒業後は大学院への進学を目指しています。将来的に古生物学者としてフィールドワークに参加したり論文を出版したりするためには、博士号(Ph.D.)を持っていることが必須条件だからです。今のところは博物館の学芸員として働くことを第一希望にしていますが、そのほかにも大学教授になって教育者兼研究者という立場で活動することも考えています。また、教授という職業に就かない場合も、親しみやすい恐竜への興味を入り口として、科学の面白さを多くの人々に伝える活動に携わりたいと考えています。
Q. これから留学をする方へのメッセージ・アドバイスをお願いします。
私は留学して良かったです。カナダに来た直後に英語で発表する機会があり、その時流暢に話せなかった記憶から、しばらくは授業中に発言する事を躊躇っていました。しかし後で聞いてみると、当時のクラスメイトのほとんどは私の失敗を覚えていなかったのです。カナダは失敗を乗り越えて新しい自分になる挑戦をするために最高の場所です。多様な民族が共存する社会性を反映してか、良い意味で他人に無関心で、恥をかいたと思っても自分以外は気にしていません。失敗が他人の記憶には残らない、という実感は積極的にやりたいことに挑戦する姿勢と、成功体験から来る自信を与えてくれます。ぜひ、留学してより素敵な自分になってください。
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