留学先の国の特徴や留学情報をご紹介。
国ごとの違いを明確に知り、自分にあった留学先を見つけましょう。

大学・大学院・短期大学・専門学校 奨学金留学

留学先国・地域:フランス・パリ
学校名:パリ・サクレ大学
専攻名:歴史学(経済史)
留学期間:2020年9月~2022年9月
留学形態:修士課程
奨学金名:JASSO貸与型奨学金

Q. 留学をしようと思った動機を教えてください。
大学院に進学しようと決断した際に国内と国外で悩み、以下2点の理由から国外にしようと考えたため
①国外の方が語学に加え、自身の専攻もより高いレベルで学べると考えたため
②フランスは学費が2年で7万円と安く、かかる費用がほぼ生活費のみのため、国内で一人暮らしして大学院に進学するのと大して変わらないと判断したため

Q. 留学先の国・地域、留学先校を選んだ理由を教えてください。
■ 留学国・地域の選定理由
・もともとフランス語を専攻していたため、語学力をより高めたかった
・学費が年間250ユーロ(現在のレートで約3.5万円)と破格で、金銭的な負担も少ない  →フランスを選択

■ 留学先校の選定理由
・専攻として学びたい労働組合の歴史領域での第一人者である教授がいたため
・上記教授と個人的にメールで連絡を取り、教授も日本の労働組合史に興味を示していたため、自分の価値を発揮できる領域があると確信したため

Q. 留学に対する家族の反応はどうでしたか。 
最初は反対された。理由としては、「大学院にまで行かせるための学費を用意していない」「何かあっても(金銭的に)助けることができない」という金銭的な理由によるものだった。そのため、親の援助が不要であることを数字とともに説明し、親の懸念事項もすべてクリアにし、親の了承に先だって合格通知ももらい、後は行くだけという状況をつくった。(今となっては親子ともに笑い話)

Q. 留学の準備にはどのくらいの期間を要しましたか。
期間:半年ほど※   
※コロナ禍だったため、特にビザ申請期間はあまり参考にならないであろうことを前提にしてください。

■ 情報収集(1ヵ月)
・奨学金の情報収集
・留学生募集がかかる凡その時期を確認

■ 学校選定(1ヵ月)
・Campus Franceで留学生募集情報を確認

■ 出願(3か月)
・フランス人の友人に協力を仰ぎながら、大学の出願フォームを記入
・教授に推薦状を書いてもらう
・大学のGPAを取得
・出願する
・入学許可証(attestation)を発行してもらえるように依頼

■ ビザ申請(3週間)
・コロナ禍で申請者が少ないためか、3週間ほどでビザ申請~取得までが完了

Q. 留学情報の収集はどのように行っていましたか。
■ 大学の募集状況確認
・Campus France
・各大学のHP
・教授(学部長レベル)に直接メールで問い合わせ

■ ビザ申請
フランス政府のビザ申請サイト
・無数に転がっているフランス留学ブログ

Q. 留学中の住まいはどのように探しましたか。
■ 使用したツール
・Mix B というフランス在住日本人御用達の掲示板 
・Le bon coinなど現地の賃貸物件を探す際に使用するサイト
■ 見つかるまでの流れ
・Le bon coinでリモート内覧OKの物件を探し、みつける  →悩んでいるうちに、物件が埋まる
・Mix Bで日本人に家を貸したい親日フランス人大家さんをみつけ、その人から物件を借りる(現地で契約締結) 

【補足】
フランスでは住宅補助(CAF)を申請することができ、地域差やステータス(奨学金生など)によって金額は変わるが、当時の私はパリ/非奨学金生で毎月210ユーロもらっていた。

Q. 語学学習はどのように行っていましたか。
授業がフランス語だったので、別途学習はしていない。

Q. 留学(あっせん)サービスなどは利用しましたか。
利用していない。

Q. 留学にはどのくらい費用がかかりましたか。留学の資金調達はどのように行いましたか。
結論、20か月※の滞在で約400万円ほど 
※最初の4か月はコロナ禍で渡航制限がかかっていたため、日本からリモートで授業を受けていた。

■ 内訳
すべて当時のレートで概算
渡航費:40万円
学費:7万円(500ユーロ)
ビザ申請/更新費用:2.7万円(189ユーロ)
海外旅行保険:40万円 
生活準備費用:5万円
各種現地保険:5万円  +毎月の出費(1000ユーロ、当時のレートで14万円)
家賃:6.5万円(670ユーロの物件で、210ユーロの住宅補助をフランス政府から支給)
通信費:0.4万円(26ユーロ) 
水道/光熱費:1.2万円(80ユーロ) 
交通費:0.4万円(30ユーロ) 
日用品/食費:4.8万円(300ユーロ) 
交際費:0.7万円(50ユーロ)   

■ 調達方法
①JASSO貸与型給付金(15万円×20か月で300万円)
②事前の貯金(50万円)
③留学中のアルバイト(50万円)

■ 奨学金の情報収集 
私は普通に貸与型でよいと考え、さっさと申請をしたため、そこに労力をかけていない。

Q. 準備しておいてよかったこと、また準備しておいたほうがいいことなどはありますか。
・予期せぬ必要経費は発生するので余分なお金は用意しておく。
・現地で友人がいるに越したことはないので、日本に遊びに来ている人が多い国だったら街中でナンパしてFacebookくらい交換しておく。(実際にそれでフランス人カップルの家に5泊させてもらった)
・留学中に日本の就職活動をする人は、SPIの本を一冊持っていく。

Q. 入学や学生登録の手続き、ビザの手続きなどはどのように行いましたか。
特に苦労したことや気を付けたほうがいいことなどが教えてください。

■ 入学/学生登録手続き
大学の既定のフォームに沿って、以下が必要だったため準備をした。
・CV(履歴書)
・志願書
・学部の教授からの推薦状(フランス語 OR 英語)
フランス人の友人に協力をしてもらい、文法や表現については逐一チェックを受けた。

■ ビザの手続き
大学からAttestation(受け入れ許可証)が発行され次第、すぐにCampus Franceから申請の手続きをした。

■ 気を付けた方がいいこと
・なるべく早めに必要書類は確認すること
・教授などに推薦状を依頼する際は、「どの大学のどの学部に出すものなのか」「CV/志願書ではどのようなことを記載しているのか」「どのようなことを書いてほしいのか(ドラフトがあると尚よい)」など教授にしてほしいこと/書いてほしいことを明確にして依頼すること。

Q. 留学中の学校生活はどうでしたか。
日本の学校との違いや、海外の学校だからこそ苦労すること、学校生活での楽しみなどを教えてください。
履修や単位の仕組みなど最初はわからなかったが、周囲のクラスメイトにどんどん頼った。フランスはグループワークも多かったため、事前にいろんな人に聞いたり話したりしておいたことが後から助けになった。友人の家に招かれて数日間滞在するなど、現地の生活を知ることもできたし「人とのつながり」を大事にすればいかようにも楽しめると思う。

Q. 学校外の生活はどうでしたか。寮などでの生活や休日の過ごし方、町の治安などについても教えてください。
■ 日常
月に1度程度、友人の家に遊びに行ったりバーで飲んだりしたりした。また資料館に頻繁に通っていたため、そこのスタッフと仲良くなり雑談したりも。
■ 休日の過ごし方
基本的には図書館に行って、勉強や趣味の調べ物をしていた。お金がなかったので、図書館が開いていない日はただひたすら街を散歩していた。パリ郊外とパリでかなり町並みは異なるし、有名な建築家の建築がいたる場所にあるため飽きは来ない。また、パリの駐在員テニス会に運よく招待してもらえたので、隔週でテニスをしていた。

■ 町の治安
コロナ禍で観光客が少なかったこともあるのか、比較的治安は落ち着いていた。エリアにもよると思うが、よく深夜0時すぎても街を散歩していたにもかかわらず危ない目には合わなかった。ボロい恰好をしていたこともあると思う。

Q. 留学中の生活で大変だったことを教えてください。また、それをどのように克服、対応しましたか。
一番は語学の壁と、前提知識の乖離。特に私は歴史学専攻ではあるものの、大学受験も世界史専攻ではなかったので、現地の学生の高校レベルどころか、中学レベルの知識すらあるか怪しかった。しかし、授業は当たり前のように知識があること前提で進んでいくため、正直最初はわからないことばかりで悩まされた。そのため自習としてWikipediaでひたすら授業ででてきた単語とその周辺知識を回遊したり、友人が勧めてくれた現地の学生が高校受験で使う歴史の一問一答サイトに入り浸ったりした。

Q.  アルバイトやインターンなどの活動はしていましたか。
以下の3つをしていた。
・現地の日本食レストランでウエイターのアルバイト勤務
・元々日本でインターンしていた会社で、リモートで継続して勤務
・現地でベビーシッター(小学生の送り迎え)として勤務 

フランスでは日本食需要が高く、日本人や他アジア人が日本食レストランを多く展開していたためか、日本語話せる人材の求人の募集は多かった印象。カリキュラムや自分のフランス語レベルに合わせて、上記3つから勤務時間を調整し働いていた。

Q. 留学を経験してみて感じたこと、学んだことはありますか。留学前と比べて成長した面はありますか。
■ 学んだこと
・なんとかするという精神性
・なんだかんだチーズが嫌いなフランス人もそこそこいる。

■ 成長した面
正直留学前までは「苦労した」という経験がなかったので自分に自信も大してなかったが、今まであまり触れられてこなかった歴史の一部を自分が再構築したという自負や、語学・知識面での行く前といった後の変化をみて、自信を持てるようになった。

Q. 留学後の進路について教えてください。
フランス留学中(修士1年の夏から)就職活動をしていたため、帰国した2022年9月の翌月から就職している。就職先としては大手メーカーで、スイスのジュネーブにグローバルの本社があるため将来的に英語・フランス語を活かせることに魅力を感じ入社。現在はマーケティング部(Product&Brand)に所属。

Q. 最後にこれから留学をする方へのメッセージ・アドバイスをお願いします。
楽しいことも辛いことも、すべてを糧にする覚悟でいればなんとでもなります。そのためにも、目的をもって臨みましょう。

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)は、
文部科学省が所管する団体です。
学生支援を先導する中核機関として、「奨学金事業」
「留学生支援事業」および
「学生生活支援事業」を
総合的に実施し、
次世代の社会を担う豊かな
人間性を備えた創造的な人材を育成すると
ともに、
国際理解・交流の促進を図ることを目指しています。