履修期間は、高等教育・研究法(WHW :Higher Education and Research Act)という法律により、単位数を用いて規定されます。 ヨーロッパ単位互換制度(ECTS:European Credit Transfer System)を元に、1ECTSは、講義、ゼミ、個人授業、ラボ実習、自習など28時間の学習から成り、60ECTSが1年間フルタイムの学習を意味します。
アカデミックな教育プログラムが中心です。学士号を得るには、3年間で180ECTSを取得する必要があり、卒業論文の提出を求められることもあります。また、主専攻だけでなく副専攻も学ばなければならない場合があります。WO機関の学士課程で授与される学位は、Bachelor of Arts(BA)またはBachelor of Science(BSc)です。特に、法学を履修した場合は、Bachelor of Laws(LLB)という学位が与えられます。
【HBO機関:hogescholen(ホーヘスホール)(University of Applied Sciences)】
HBO機関では、特定のキャリアを目指し、WO機関よりも実践重視の教育が行われます。学士号を得るには4年間で240ECTSを取得する必要があります。HBO機関の学士課程1年目は“propedeuse”と呼ばれ、専攻を学ぶ上で必須となる導入科目を履修します。1年目の終わりに“propaedeutic examination”と呼ばれる試験があり、2年目以降の学習に進めるかどうかが決まります。内容は、講義、セミナー、プロジェクト、独習に加えて、3年目にはインターンシップや企業研修の機会が設けられ、4年目には最終プロジェクトまたは卒業論文に取り組みます。HBO機関の学士課程で授与される学位は、Bachelor of Engineering(B. Eng)、Bachelor of Nursing(B. Nursing)のようにBachelor(略称B.)とともに学んだ分野が示されます。
WO機関の修士課程で授与される学位は、Master of Arts(MA)またはMaster of Science(MSc)です。特に、法学を履修した場合は、Master of Laws(LLM)という学位が授与されます。また、工学、テクノロジー学、農学、環境学を専攻し修了した場合はingenieur(略称ir.)、法学専攻の場合はmeester(略称mr.)、そのほかの専攻の場合はdoctorandus(略称drs.)という以前使われていた肩書きを名乗ることもできます。
【HBO機関:hogescholen(ホーヘスホール)(University of Applied Sciences)】
職業的な能力が重視され、ほとんどのプログラムが応用研究の指導に焦点を当てています。学位を得るために履修すべき単位数は、専攻やプログラムによって決まり、1年間で60ECTS、2年間で120ECTSです。授与される学位は、Master of Social Work(MSW)のように学んだ分野が示されます。
オランダで定評のある分野のひとつに経営学があり、MBAプログラムが有名な大学もあります。
博士課程
オランダでは、WO機関のみが博士号を授与する権利を持っています。
博士号を得るまでの過程はプロモーション(promotie = promotion)と呼ばれます。常勤の教授がプロモーターとなり、学生はその指導の下で、フルタイム4年にわたり研究を続けます。博士号は研究学位であることから、独自の研究に基づく論文を書き、これを公の場で発表しなければなりません。博士号を得ると、Doctor(略称はDr.)の肩書きが使えるようになります。また、工学系の一部の大学では労働市場に直結した2年で修了するコースを設けていて、Professional Doctorate in Engineering(PDEng)という学位を取得できます。