留学先の国の特徴や留学情報をご紹介。
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このページは2007年度の調査をもとに、2017年11月時点で更新した情報です。特殊文字や記号は省略しています。

教育制度

二元システム
オランダの高等教育は、WO(Wetenschappelijk Onderwijs)という学術的な研究を重視する教育と、HBO(Hoger Beroepsonderwijs)という実践的な高等職業教育の二元システムになっています。
WOは研究志向の強い大学(Universiteit=Research University)で行われ、HBOは、ホーヘスホール(Hogescholen=University of Applied Sciences)と称される高等職業教育を行う大学で行われます。

高等教育はこの他に、留学生のために設置されたインターナショナル教育機関(Instelling Voor Internationaal Onderwijs)があります。これは、主にWO機関に設置されていて、大半のプログラムを英語で提供しています。

ユトレヒト大学

<二元システム>

WO機関: Universiteit(Research University)
 =研究志向の強い大学
HBO機関:Hogescholen(ホーヘスホール)(University of Applied Sciences)
 =実践的な高等職業教育を行う大学
高等教育機関で学べること
オランダでは、学ぶ者の個性や考えを尊重する教育が行われています。伝統的に、学習の重点は問題をいかに解決するかに置かれ、実践的な問題を自力で分析・解決できるよう訓練を受けます。学生は教授と双方向のやり取りをしながら、新たな知識を得て、さらにそれを応用して意見の幅や創造力を広げていきます。プログラムは、レポート作成、特定の問題を分析・解決するためのグループ活動、インターンシップを通じての経験および、ラボでの実験で構成されています。自分の力で問題を解くことが重視されるため、自習も重要な学習要素となります。

WO機関:Universiteit(Research University)

一般的に経済学、法学、医学、言語文化学、自然科学、行政学、行動科学、社会科学、工学/テクノロジー学などの分野を学ぶことができます。なかには、農業と環境学に特化した大学や工業系の技術を学べる大学もあります。大学によっては、複数の学問にまたがって学ぶことが可能です。

HBO機関:hogescholen(ホーヘスホール)( University of Applied Sciences)

経済学、健康管理学、農学、教員教育、社会事業学、美術、工学といった実践指向が強いキャリア教育を提供しています。日本の大学で、特定の専門分野(工学、芸術、美術、医学、教育など)を履修する大学はhogescholen(ホーヘスホール)に分類されます。
<学べる分野>

WO機関:Universiteit=Research University  ※学術色が強い
・経済学 ・法学 ・医学 ・言語文化学 ・自然科学 ・行政学 ・行動科学 ・社会科学
・工学/テクノロジー学 など
 
HBO機関:hogescholen(ホーヘスホール)= University of Applied Sciences ※より実践的
・経済学 ・健康管理学 ・農学 ・教員教育 ・社会事業学 ・美術 ・工学など

学位・修業期間
高等教育機関で取得可能な主な学位は、学士号、修士号、博士号です。学士課程と修士課程はWO、HBO両方の機関で提供されています。博士課程はWO機関でのみ提供されます。インターナショナル教育機関では、短期コース、修士課程、博士課程(1機関のみ)が提供されています。
履修期間は、高等教育・研究法(WHW :Higher Education and Research Act)という法律により、単位数を用いて規定されます。 ヨーロッパ単位互換制度(ECTS:European Credit Transfer System)を元に、1ECTSは、講義、ゼミ、個人授業、ラボ実習、自習など28時間の学習から成り、60ECTSが1年間フルタイムの学習を意味します。

オランダ学位表

学士課程

WO機関:Universiteit(Research University)

アカデミックな教育プログラムが中心です。学士号を得るには、3年間で180ECTSを取得する必要があり、卒業論文の提出を求められることもあります。また、主専攻だけでなく副専攻も学ばなければならない場合があります。WO機関の学士課程で授与される学位は、Bachelor of Arts(BA)またはBachelor of Science(BSc)です。特に、法学を履修した場合は、Bachelor of Laws(LLB)という学位が与えられます。

HBO機関:hogescholen(ホーヘスホール)(University of Applied Sciences)

HBO機関では、特定のキャリアを目指し、WO機関よりも実践重視の教育が行われます。学士号を得るには4年間で240ECTSを取得する必要があります。HBO機関の学士課程1年目は“propedeuse”と呼ばれ、専攻を学ぶ上で必須となる導入科目を履修します。1年目の終わりに“propaedeutic examination”と呼ばれる試験があり、2年目以降の学習に進めるかどうかが決まります。内容は、講義、セミナー、プロジェクト、独習に加えて、3年目にはインターンシップや企業研修の機会が設けられ、4年目には最終プロジェクトまたは卒業論文に取り組みます。HBO機関の学士課程で授与される学位は、Bachelor of Engineering(B. Eng)、Bachelor of Nursing(B. Nursing)のようにBachelor(略称B.)とともに学んだ分野が示されます。
このほか、工学系でない専攻の場合はbaccalaureus(略称bc.)、工学、農学、環境科学専攻の場合は、ingenieur (略称ing.)という以前に用いられていた肩書きを名乗ることもできます。これは、略称を名前の前につけて使用します。
修士課程

WO機関:Universiteit(Research University)

学士課程より専門的な内容に関し、高い研究スキルを身につける教育が行われます。学位を得るために履修すべき単位数は、専攻やプログラムによって決まり、1、1.5、2年でそれぞれ60、90、120ECTSを取得します。工学や農学、数学、自然科学においては120ECTSが必要になります。医学、薬学、獣医学などに関しては3年間で180ECTSの取得が必要です。また、学位の取得には修士論文を執筆します。
WO機関の修士課程で授与される学位は、Master of Arts(MA)またはMaster of Science(MSc)です。特に、法学を履修した場合は、Master of Laws(LLM)という学位が授与されます。また、工学、テクノロジー学、農学、環境学を専攻し修了した場合はingenieur(略称ir.)、法学専攻の場合はmeester(略称mr.)、そのほかの専攻の場合はdoctorandus(略称drs.)という以前使われていた肩書きを名乗ることもできます。

HBO機関:hogescholen(ホーヘスホール)(University of Applied Sciences)

職業的な能力が重視され、ほとんどのプログラムが応用研究の指導に焦点を当てています。学位を得るために履修すべき単位数は、専攻やプログラムによって決まり、1年間で60ECTS、2年間で120ECTSです。授与される学位は、Master of Social Work(MSW)のように学んだ分野が示されます。
オランダで定評のある分野のひとつに経営学があり、MBAプログラムが有名な大学もあります。
博士課程
オランダでは、WO機関のみが博士号を授与する権利を持っています。
博士号を得るまでの過程はプロモーション(promotie = promotion)と呼ばれます。常勤の教授がプロモーターとなり、学生はその指導の下で、フルタイム4年にわたり研究を続けます。博士号は研究学位であることから、独自の研究に基づく論文を書き、これを公の場で発表しなければなりません。博士号を得ると、Doctor(略称はDr.)の肩書きが使えるようになります。また、工学系の一部の大学では労働市場に直結した2年で修了するコースを設けていて、Professional Doctorate in Engineering(PDEng)という学位を取得できます。
博士号候補者の多くは、学位取得までリサーチアシスタント(RA)やティーチングアシスタント(TA)などとして働くことができます。

中間試験(tentamen)により、学生の知識、理解度、技能が測られます。成績制度はここ数十年大きな変更がありません。評価は1(very poor)から10(outstanding)までです。 合格最低ラインは6です。8(Good)が非常に良い評価となり、9(Very good)以上が与えられることは稀で、ごく僅かな優秀な学生にしか与えられません。また、1~3が使われることもほとんどありません。成績が5と6の間の場合は、5.5で端数を繰り上げ、5.5は合格、5.4は不合格となります。成績は当該学部の試験委員会が決定します。

オランダ成績評価表

(2017年11月改訂:禁無断転載)

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)は、
文部科学省が所管する団体です。
学生支援を先導する中核機関として、「奨学金事業」
「留学生支援事業」および
「学生生活支援事業」を
総合的に実施し、
次世代の社会を担う豊かな
人間性を備えた創造的な人材を育成すると
ともに、
国際理解・交流の促進を図ることを目指しています。