都市名:デルフト
学校名:デルフト工科大学
専攻名:建築
留学期間:2011年3月~2012年2月
留学形態:奨学金留学
奨学金名:2010-2011年度 ロータリー国際親善奨学金
なぜオランダに留学しようと思いましたか?他国との比較、決め手になったことなどお答えください。
私は、建築デザインとまちづくりを専攻しており、これらの分野が盛んであること、また英語で授業が開講されていることを理由に、オランダを選択しました。
留学を思い立ってから実際に現地へ出発するまで何か月くらいの準備期間が必要でしたか?
語学が問題であったこともあり、思い立ってから留学を渡航するまでに3年半以上の時間がかかりました。
準備期間中にいちばん大変だったこと、時間は十分だったかをお答えください。
留学可能な語学を習得することが大変でした。研究やプロジェクトを別に抱えていたため3年という時間がかかりましたが、集中出来た時間はわずかでした。
留学前にオランダ語または英語をどのように勉強しましたか?
会話することを中心に英語の勉強を行いました。特に国際学会、海外ワークショップ、外国人の留学生との議論など実際に使いながら習得しました。
語学学習において、どんな勉強方法が一番効果的だと思いますか?
私の場合、ワークショップや学会などの実践的な状況の中で英語を使うことが効果的でした。
どのようにしてオランダ留学について情報収集しましたか?
大学の先輩、またブログやSNSを通じて知り合いになったオランダ留学の経験のある方から情報を頂きました。また、希望する大学に実際に足を運び情報収集をしました。
学校へはどのような手段で連絡を取りましたか?また、具体的な質問内容を差支えない範囲で教えてください。
現地の大学には、申請書審査の結果の連絡に時間がかかっていたときに連絡しました。
連絡の際に困ったことはありましたか?
当時は、連絡する度に異なる方が対応、またその連絡が事務的だったので、情報が共有されているか不安でした。
出願時に提出した書類と、提出方法を具体的に教えてください。
研究での滞在であったため、Ph.D出願書と同じ書式で、研究計画書、所属大学の推薦書、奨学金証明書、ポートフォリオ(作品集)などを一緒に送付しました。提出は、正規の課程への申請ではなかったので、直接、教授や博士課程の学生とメールで連絡を取り合いました。
出願から正式な入学許可書を受け取るまでに苦労したことはありましたか?それをどのように解決しましたか?
正規の課程ではなかったので、受け入れてくれる教授を探すのに苦労しました。知人の知人から面接が受けられるように調整をお願いしました。
入学試験を受けましたか?またその教科や内容を教えてください。
教授とオンライン通話による面接を行いました。提出した研究計画に関しての説明と質問がありました。
奨学金もしくは授業料減免制度の情報をどこで得ましたか?また利用するためにどんな準備や手続きをしましたか?
同じ奨学金を貰っていた大学の先輩から情報を得ました。私の研究や活動、財団奨学金の趣旨との関連性が分かるような小論文と面接用の作品集を準備しました。
奨学金もしくは授業料減免制度を利用した感想について教えてください。
ロータリー国際親善奨学生として奨学金を受給していたため、派遣先のロータリアンとの交流を行う機会を得ることが出来、単に学業に専念することでは得られない経験が出来ました。
ビザ(査証)を取得しましたか?申請から取得まで、どのくらいの時間がかかりましたか?
仮滞在許可(MVV)の申請を東京の領事館で行いました。期間としては一ヶ月ぐらいでした。MVVも基本的に日本人は必要ありませんが、大学側のHuman Resource Departmentから求められました。過去のやりとりを調べてみると、
「日本国籍の方は必要ないことを知っているが、手続きのスピードアップのため にお願いしている」と大学から依頼がありました。
ビザの取得にはどのような書類や手続きが必要でしたか?気をつけた点も教えてください。
滞在費を証明できる書類(奨学金の証明書)、大学の在籍が証明できる書類、あるいは契約書などが必要でした。詳しくは、オランダ大使館・総領事館のHPで確認出来ます。
滞在許可を取得しましたか?取得にはどのような書類や手続きが必要でしたか?気をつけた点や申請から取得までにかかった時間も教えてください。
一年の滞在だったため,滞在許可を取得しました。取得には、大学の受け入れ証明書、アポスティーユ付きの戸籍謄本が必要でした。滞在許可の取得までは2ヶ月ぐらいかかりました。戸籍謄本は出国前にオランダ法廷に登録されている翻訳者にオランダ語に翻訳して貰い、アポスティーユ付きの戸籍謄本を作成しました。
留学中にかかった学費(+諸経費)の総額はおよそいくらでしたか?どのような支払方法が便利でしたか?
Bench feeとして6,500ユーロ支払いました。このほか、研究活動費として2,000ユーロ程度の支出がありました。Bench feeの支払いは現地の銀行から送金をしました。
学費以外の生活費の、1か月平均額または留学期間全体の金額、及び内訳を教えてください。
一ヶ月平均1,200ユーロ前後で生活していました。住居費が500ユーロ、食費400ユーロ、その他300ユーロ程度でした。
学費、生活費をどのように捻出しましたか?(差し支えのない範囲で教えてください)
奨学金と留学前に貯めていたお金で生活していました。
お金をどのように管理していましたか?現地で銀行口座を作った場合、どのような手続きをしましたか?
お金は現地で銀行の口座を開設して管理していました。口座開設には大学と協定を組んでいる銀行の支店があるので、その支店を大学から教えてもらい申請する必要があります。他の支店だと手続きを断られる時があります。
日本からの送金が必要な際、どのように送金してもらいましたか?
国際送金は手続料がかかるので、海外でも使えるインターナショナルキャッシュカードを作成し、日本の口座に振り込んでもらっていました。
どのような保険に入っていましたか?留学先校など現地で保険の指定はありましたか?
奨学金の関係で、日本で保険に入っていきました。保険料は13万円程度でした。しかし、留学先の大学が提供している保険へ加入する方が安くなる場合があります。
日本またはオランダで予防接種・健康診断を受けた場合、その内容を教えてください。
予防接種などは、特に受けていません。また、奨学金の財団の書式に沿って、健康診断をしてもらい、病気を持っていないことを簡単に証明してもらいました。
現地の医療サービスを受けましたか?またその場合、気をつけるべき点があれば教えてください。
医療サービスなどを受けませんでした。
日本の授業に比べて異なる点、オランダらしいと思う特徴、受講した感想を教えてください。
オランダらしい授業と感じたのは、建築の座学、課題にしても議論を中心とした授業が組み立てられているところでした。
予習・復習での工夫や苦労した点があれば教えてください。
予習復習で工夫や苦労した点は、初めのうちは可能な限り録音して、授業後に理解するまで繰り返し聞き直していました。
英語による授業または英語研修に参加した方に伺います。オランダ語は、授業・リサーチ・日常生活において必要でしたか?
修士課程以上の課程では、すべての授業を英語によって行っていたため、オランダ語の習得は学業において必要はありませんでした。リサーチにおいても英語の話せる人が殆どで困ることはありませんでした。日常生活においては、食品などはオランダ語で表記されているので多少単語を覚える必要がありました。
授業やレポートにおいて、語学上・学習上のサポートはありましたか?
語学の習熟度による英語学習のコースが開設されていました。
学校の施設は充実していましたか?
学校の図書館は、各学科、大学全体にあり充実した設備でした。特に建築の製図室は複数あり、各スタジオで使い分けられるようになっていた。また作業スペースは、木工機械から3Dプリンタなど様々な機械が使用出来ました。カフェなども作業スペースに併設されており、打合せなどにも利用できました。
学校全体やクラスで、現地の学生・外国人留学生・日本人留学生の割合、学生の年齢層はどのようでしたか?
アジアからの学生が半分以上を占めており、日本人の留学生は学部には殆どいませんでした。年齢は、比較的ばらばらでした。
現地の学生・外国人留学生と交流できましたか?その方法や、得られたこと、大変だったことがあれば教えてください。
授業を通じて知り合った学生などが主催するパーティ、講演会などに参加して、知り合いになり交友を深めました。また短期滞在の留学生や研究者の寮に住んでいたため、ルームメートと週に一度食事をして交流の時間を持つようにしていました。
日本人留学生との交流はできましたか?得られたこと、大変だったことはありましたか?
学部の中に日本人がいなかったので、奨学金の財団の学生や他の学部の日本人留学生と交流していました。デザイン分野に限らず、化学や物理を専攻している学生達と議論し、他の分野からの視点を知ることができた良い時間だったと思います。
指導教官とのやり取りでよかったこと、大変だったことはありましたか?
指導教官は多忙なため、打合せの時間を確保することが大変でした。また、議論をベースとしたやりとりになるので、理解が難しい部分もありました。
普段はどのように食事をされましたか?現地の食事・飲料水・食材で苦労したこと、気をつけたことはありましたか?
食事は、昼以外は自炊をしていました。水は購入したものを出来るだけ飲むこと、肉の食事が多くなるので野菜を出来るだけ食べることに気を付けていました。その他、特に気を付けたことはありませんでした。
日本の食材を手に入れることはできましたか?日本から持参すると良い食材があれば教えてください。
アジアの食材を販売している商店があるために比較的に手に入りやすい環境でした。米は、イタリアで栽培した日本の米に近いものを購入できていました。
留学中、どんな住居に住んでいましたか?その特徴とともにお教えください。
大学構内にある寮に住んでいました。リビング、シャワー、トイレを共有し、3人分の部屋がある住戸でした。
住居を決めた際の基準や、探した方法を教えてください。
大学から紹介された不動産会社で、大学に通いやすいという基準で住居を探しました。家賃は、寮としては高い値段でしたが、少人数の居住者で共同生活の出来る住宅であったことが理由でした。
住居でトラブルはありましたか?
幸運にも住居に関するトラブルは特にありませんでした。
現地の治安状況についてどのように情報収集しましたか?
基本的にインターネットより取得しましたが、ほしい情報の詳細は手に入りませんでした。
居住地域の治安状況を教えて下さい。治安状況を踏まえて気をつけた点について教えてください。
デルフトの治安は比較的良いと思いますが、夜は電灯が暗いため治安の悪い印象を受けます。
犯罪に巻き込まれたことはありましたか?
犯罪に巻き込まれたことは特にありませんでした。
通信機器は、日本から持参されましたか?学校や居住施設での利用はいかがでしたか?
電話は現地のプリペイドを利用していました。インターネットに関しては、住居では接続でき、速度も当時としては速いほうでした。大学内では基本的に無線LANでの接続でした。また、大学がeduroamというサービスに入っているため、調査中に立ち寄ったeduroamに加入している大学でも利用ができました。
現地で上記の通信機器やインターネットを利用した際、機器・プロバイダの選択や手続きはどのように行いましたか?
住居に既設済みであったために特にしていません。eduroamに関しては、大学の提供するマニュアル通りに行うことで設定が出来ました。
日本との気候の違いに対して心がけた点を教えてください。
夏は蒸し暑いことはなく、比較的過ごし易いと思います。私が滞在した時期は、夏でも半袖を着た記憶が殆どありませんでした。冬は、氷点下になり運河が凍るときがありますが、雪が積もることは殆どありません。日照時間は、夏は午後10時ぐらいまで明るく、冬は、午後5時ぐらいには暗くなります。
現地購入できて役に立ったもの、日常品で重要なものがあればお教えください。
自転車の購入は必要です。オランダの自転車はサドルの高い自転車ばかりなので、身長が低い日本人の乗れる自転車を探すことはすごく大変でした。子ども用の自転車を購入している友人もいました。
学校内・学校外で問題があったとき、誰に相談しましたか?
研究室の事務の方や奨学金団体の方に相談していました。また、留学先で知り合った日本人の学生やオランダ在住の方に相談していました。
住居などについて支援を受けられるような学生互助会(自治会)などはありましたか?その支援を受けましたか?
支援などは受けていませんが、不定期に行われるデルフト隣人会という日本人コミュニティで情報交換をしていました。
現地の人との文化的摩擦、トラブルの経験や、異文化の中で気をつかった点はありましたか?
摩擦やトラブルはありませんでしたが、歴史問題や宗教に関しては可能な限り、気を使って行動していました。
現在の所属について、差し支えない範囲で教えてください。
大学での教員です。
留学前・留学中・留学後のいつ、就職活動をされましたか?
留学後に就職活動をしました。
オランダで就職活動をされましたか?
特にしていません。
日本で就職活動をされましたか?その場合、その内容や留学とのかかわりを差し支えない範囲で教えてください。
海外での経験を活かせる、あるいは、海外で活動ができる職場を選びました。
留学経験は進路決定に影響しましたか?また、留学経験は現在の仕事・学業にどのようにいかされていますか?
海外経験も求められる職業ですので、間接的ではありますが影響しています。しかし、現時点では直接的な関係はありません。
日本にいる間にしておけば良かったことや、留学先にオランダを選んで良かったと思うこと、期待とは違ったことなどを踏まえて、これから留学を考えている後輩へのアドバイスをお願いいたします。
オランダへの留学は、日本と異なる専門分野の作法を学ぶことが出来たことに加え、他分野を巻き込みながら進めるプロジェクトを経験できたことは現在の思考、活動に大きく影響を与えています。積極的な議論を通して専門分野内だけではなく、他分野の方の意見、関わり方、伝え方を知ることは、非常に刺激的な経験となります。
留学中に経験したこと、思考したことは、かけがえのない経験として自分に還元されますので、留学を考えている方は、是非留学して経験を積んでほしいと考えています。
留学中の1週間の授業時間割
決まった時間割はなし。