留学先の国の特徴や留学情報をご紹介。
国ごとの違いを明確に知り、自分にあった留学先を見つけましょう。

大学・大学院・短期大学・専門学校 私費留学

Mさん(30代女性)
都市名:ワーゲニンゲン
学校名:ワーゲニンゲン大学
専攻名:有機農業修士 アグロエコロジー専攻
留学期間:2009年9月~2011年8月
取得資格・学位:有機農業修士
留学形態:私費留学
留学の動機
なぜオランダに留学しようと思いましたか?他国との比較、決め手になったことなどお答えください。
有機農業の修士課程を探していたところ、ワーゲニンゲンのプログラムは学際的で、専攻に関係なく幅広い授業を履修できたため。
留学前の準備期間、言語の勉強方法
留学を思い立ってから実際に現地へ出発するまで何か月くらいの準備期間が必要でしたか?
勤務先の職場で、大学院進学の休職制度ができたことがきっかけで留学を思い立ちました。すでに出願準備が間に合わなかったので、次の年の出願をめざし、1年かけてTOEFL iBTの受験や研究計画書の作成を始めました。
 
準備期間中にいちばん大変だったこと、時間は十分だったかをお答えください。
イギリスやアメリカの大学に比べ、TOEFLの基準点が低めに設定されていたので、英語についてはそれほど苦労しませんでした。一番大変だったのは、推薦書をもらえる人を探すことでした。職場には、合格通知をもらってから話したので、休職制度を活用するのが、初めての事例だったようで、手続きに時間がかかり、授業料を払い込むぎりぎりまで交渉を続けました。
 
留学前にオランダ語または英語をどのように勉強しましたか?語学試験は受験しましたか?
ワーゲニンゲン大学の授業は全科目英語なので、オランダ語は必要ありませんでした。出願前にTOEFL iBTの問題集をいくつか買って練習しました。
 
語学学習において、どんな勉強方法が一番効果的だと思いますか?
TOEIC, TOEFL,IELTS,それぞれ試験の傾向が違うので、その試験にあった特訓をすること。傾向がつかめれば、要領よく勉強できると思います。
情報収集方法
どのようにしてオランダ留学について情報収集しましたか?
インターネット(大学のウェブサイト、留学経験者のブログ)
現地学校への問い合わせ
学校へはどのような手段で連絡を取りましたか?
メール
 
連絡の際に困ったことはありましたか?
ワーゲニンゲンには各専攻にスタディーアドバイザーがいるので、出願先や専攻のことなど相談にのってくれます。私はメールで問い合わせましたが、出願前にオランダまで見学に行ったという人もいます。志望動機書が専攻のテーマとあっているかが合格の鍵になるので、事前相談をしておいた方がよいと思います。
出願
出願時に提出した書類と、提出方法を具体的に教えてください。
卒業証明書、成績証明書、推薦書、志望動機書、TOEFLiBTスコア、パスポートコピー、履歴書
全てオンラインシステムから提出。
 
出願から正式な入学許可書を受け取るまでに苦労したことはありましたか?それをどのように解決しましたか?
オンラインシステムで全て手続きできたので苦労はしませんでした。
入学試験
入学試験を受けましたか?またその教科や内容を教えてください。
書類選考のみ
ビザ・居住の許可の取得
滞在許可を取得しましたか?取得にはどのような書類や手続きが必要でしたか?気をつけた点や申請から取得までにかかった時間も教えてください。
出生証明書のアポスティーユをとらないといけなかったので時間がかかりました。あまり覚えていませんが、手続きについては、日本大使館に問い合わせをしたと思います。取得までは2週間くらいかかりました。
学費、生活費、お金の送金・管理方法
留学中にかかった学費(+諸経費)の総額はおよそいくらでしたか?どのような支払方法が便利でしたか?
授業料:240万
支払い方法:銀行振込(国際送金)
 
学費以外の生活費の、1か月平均額または留学期間全体の金額、及び内訳を教えてください。
滞在費:1ヶ月8万円くらい 留学期間全体で約200万円
住居費:約3万円(光熱水費込み)、食費2万円、教養娯楽費3万円
 
学費、生活費をどのように捻出しましたか?
職場の大学院進学制度で無利子の学資ローンを受けました。
 
お金をどのように管理していましたか?現地で銀行口座を作った場合、どのような手続きをしましたか?
銀行の口座を作るのに1ヶ月かかることを知らなかったので、途中で手持ちのお金が尽きてしまいました。大学に相談したところ、生活資金10万円の入ったmoney cardを貸してくれました。
 
日本からの送金が必要な際、どのように送金してもらいましたか?
オランダの銀行口座開設後、実家に頼んで送金してもらいました。
健康管理
どのような保険に入っていましたか?留学先校など現地で保険の指定はありましたか?
大学と提携しているオランダの保険会社に入りました。

日本またはオランダで予防接種・健康診断を受けた場合、その内容を教えてください。
特になし。

現地の医療サービスを受けましたか?
幸い、現地で病気になったことはありませんでした。
学校生活
日本の授業に比べて異なる点、オランダらしいと思う特徴、受講した感想を教えてください。
毎週、プレゼンとレポート提出があり、自分の意見を求められました。
実験をして、結果がでたその場でプレゼンをさせられることもあり、しゃべりながら考えないといけないのが大変でした。
また、オランダというより、ワーゲニンゲンならではの学際的なチームでのグループワークがあります。国籍も専攻もバラバラの学生がチームで課題を決めてプレゼンをするので、授業終了後も仲良くなります。
 
予習・復習での工夫や苦労した点があれば教えてください。
Eduwebというオンラインシステムに、毎回授業で使うスライドや関連資料がアップされるのですが、論文や電子書籍など膨大な量の資料がアップされており、全て読んでいるとかなり時間がかかります。そして、印刷するにはお金もかなりかかります。
オランダ人は、話がうまい人が多く、全部読まなくても、その場で自分の考えを臨機応変にプレゼンするのですが、はじめのうちはそのような教育システムに慣れていなかったので、完璧に予習していました。だんだん慣れてくると手抜きの仕方がわかるようになりました。慣れだと思います。
 
試験やエッセイ・レポート対策について、工夫や苦労した点があれば教えてください。
レポートは初め評価が低かったので、高い評価をもらったクラスメートのレポートを見て、自分のレポートに何が足りないのか研究しました。
試験は、クラスメートで勉強会を開き、疑問点を一緒に先生に聞きに行くなど、とにかく仲が良く、一緒に助け合いました。
 
英語による授業または英語研修に参加した方に伺います。オランダ語は、授業・リサーチ・日常生活において必要でしたか?
スーパーの店員さんや農家さんも英語が話せる国なのでオランダ語は必要ありませんでした。やはり町のサークルやお料理教室などはオランダ語なので、オランダ語ができた方が町の人と仲良くなったかもしれません。
 
授業やレポートにおいて、語学上・学習上のサポートはありましたか?
Scientific writing, Presentation skillなど、英語で論文を書く力や、プレゼン技術を養うための必修科目がありました。

学校の施設は充実していましたか?
学内では、ほとんどの有料ジャーナルがダウンロードでき、図書館は日本の大学に比べても圧倒的に洋書が多く、特に農業分野にかけてはかなり良い資料がそろっていました。
2年目からは研究室に入ると、印刷が無料になるカードを支給されました。これは、研究室によるかもしれません。
 
学校全体やクラスで、現地の学生・外国人留学生・日本人留学生の割合、学生の年齢層はどのようでしたか?
有機農業修士は特に多国籍で、オランダ人が2名の他は、アフリカ、ヨーロッパ、アジア、南米とバランスよく、16カ国の学生が来ていました。年齢層も多様で、学部から直接の進学はむしろ少なく、大学や企業、官公庁からの派遣で来ている留学生が多かったです。
 
現地の学生・外国人留学生と交流できましたか?その方法や、得られたこと、大変だったことがあれば教えてください。
授業は、ワーゲニンゲン大学ではチーム制で動くことが多く、グループワークが非常に多いです。専攻に関係なく授業が履修できるので、農場実習では、畜産の学生、土壌の学生、有機農業の学生がタッグを組んで、調査にあたりました。
また、MOA Caféという、オーガニック専攻の学生たちが、毎月チームにわかれて、オーガニック・ダイアログを主催するイベントがありました。著名人を呼んでお話を聞いたり、発表会をしたり、お食事会を開いたり、チームメイトで工夫してイベントの企画、集客、運営を行うという活動があり、楽しかったです。
 
日本人留学生との交流はできましたか?得られたこと、大変だったことはありましたか?
日本人は学年に1,2名しかいないので、とても小さなコミュニティです。むしろ小さいので、日本人同士はみな知り合いでした。統計でわからないところがあれば先輩に聞けましたし、お食事会にお招きしてもらう機会もありました。
また、国際交流団体が毎月、いろんな国のお食事会を開いているのですが、和食をやってほしいと頼まれ、日本料理会を開きました。すぐにキャンセル待ちができるほど人気のイベントとなりました。肉じゃがと寿司をメインに作り、和食のプレゼン、箸つかみ大会、クイズ大会など準備しました。
 
指導教官とのやり取りでよかったこと、大変だったことはありましたか?
履修コースは、各個人のバックグランドにあわせて、スタディーアドバイザーと相談して決めることになっています。とても親身になってくれましたし、いい方だったので特に大変なことはなかったです。いまでもメールのやりとりをすることがあります。
食事
普段はどのように食事をされましたか?現地の食事・飲料水・食材で苦労したこと、気をつけたことはありましたか?
コリドー(キッチン、バス、トイレを共有するユニット)のキッチンで料理していました。中国人がマントウをつくり始めたり、アフリカ人がキャツサバを練り始めたり、国際色豊かなキッチンで楽しかったです。
ランチは主に学生食堂で食べていました。また、ちょっと高めですが、食品科学専攻のラボをかねた試験研究施設で、食材や栄養価を考えたメニューが提供されていました。消費者としてモニタリングされているのですが、クラスメートとそちらで食事をすることもありました。
 
日本の食材を手に入れることはできましたか?日本から持参すると良い食材があれば教えてください。
留学生が多いので、町にはエスニック素材を扱った専門店があり、醤油やみそなど日本の食材も簡単に手に入りました。
住居
留学中、どんな住居に住んでいましたか?その特徴とともにお教えください。
寮はコリドーが各階に3つあり、共有する仲間を「コリドーメイト」と呼んでいました。いろんな国からの学生が住んでおり、いやでも毎日キッチンを共有していました。

住居を決めた際の基準や、探した方法を教えてください。
オランダは住居難で、合格通知をもらってから入学手続きが遅れたので、寮がいっぱいで、入居できませんでした。公園にある森のキャビンに3ヶ月ほど住んでいました。
 
住居でトラブルはありましたか?あった場合、どのように対処しましたか?
森のキャビンはインターネットがつながらず、バスの本数がすくなかったので、夜のお食事会にも参加できず、通称「難民キャンプ」と呼ばれていました。
寮の入居手続きは、合格通知がきたらすぐにした方がいいです。
現地の治安状況・注意したこと
現地の治安状況についてどのように情報収集しましたか?
治安は悪くなかったので特別なことはしていません。
 
居住地域の治安状況を教えて下さい。治安状況を踏まえて気をつけた点について教えてください。
新年の日付が変わる瞬間は大変なことになると聞いていたので、外にでないようにしていました。寮の15階から眺めていましたが、町中の360度あちこちから火の手があがり、圧巻でした。毎年、車が炎上したりするので、本当にその日だけは外にでない方がいいです。

犯罪に巻き込まれたことはありましたか?
ないです。
通信
通信機器は、日本から持参されましたか?学校や居住施設での利用はいかがでしたか?
現地で携帯を契約しました。学内の施設や寮では通信環境はとてもよかったです。
 
現地で上記の通信機器やインターネットを利用した際、機器・プロバイダの選択や手続きはどのように行いましたか?
携帯ショップには先輩の日本人の方につきそってもらい、契約しました。インターネットは大学のネットワークを利用していたので契約していません。
気候
日本との気候の違いに対して心がけた点を教えてください。
冬はマイナス20度になることがありますが、日本の住宅と違って、部屋の中はとても暖かいです。冬は、運河や池が凍ってスケートリンクになります。1周5キロのダイナミックなスケート場を楽しんだり、雪だるまを作ってあそんだり、冬の厳しさも、夏の夜10時まで明るい季節も、気候の違いを楽しめるといいのではないでしょうか。
現地生活状況・各種相談先
現地購入できて役に立ったもの、日常品で重要なものがあればお教えください。
ワッフルトースター。ハンドミル。日本ではあまり見ないキッチンツールが安いです。もっと買ってくればよかったと思いました。
 
学校内・学校外で問題があったとき、誰に相談しましたか?
クラスメート。
 
住居などについて支援を受けられるような学生互助会(自治会)などはありましたか?その支援を受けましたか?
Idealisという、大学と提携している機関が寮の手配も行っています。
 
現地の人(学生に限らず)との文化的摩擦、トラブルの経験や、異文化の中で気をつかった点はありましたか?
クラスメイト、コリドーメイトともに、とても仲が良かったので特にトラブルはありませんでした。8月は、AIDという新入生を迎えるフェスティバルが1週間ほど続きます。この日に参加した方がいいです。国の違いによる異文化理解の講座があったり、対処方法のワークショップがあったり、多国籍な大学ならではの交流イベントがあります。
帰国後の進路/留学と進路との関係
現在の所属について、差し支えない範囲で教えてください。
有機農業とは直接関係はないですが、食品開発や、食育の仕事をしています。
 
留学前・留学中・留学後のいつ、就職活動をされましたか? 
帰国後、以前の職場に復職をしました。
後輩へのアドバイス
日本にいる間にしておけば良かったことや、留学先にオランダを選んで良かったと思うこと、期待とは違ったことなどを踏まえて、これから留学を考えている後輩へのアドバイスをお願いいたします。
オランダ人2名以外は留学生で、とても多国籍な環境に恵まれました。多くが、企業や政府からの派遣で来ていたので、各国の農業事情にも詳しく、経験豊かな人ばかりで、どの国に行っても案内してくれる友達ができたことが財産です。
私はあまり日本の農業現場を知らずに来てしまったので、意見交換するときに困りました。もっと農業の実践経験を積んでから行けば良かったと思います。
留学中の1週間の授業時間割
時限
1 ( 9時00分~12時00分) Morning course :Soil Quality
2 (13時00分 ~17時00分) Afternoon course: Quantitative Analysis of Land Use Systems (QUALUS)

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)は、
文部科学省が所管する団体です。
学生支援を先導する中核機関として、「奨学金事業」
「留学生支援事業」および
「学生生活支援事業」を
総合的に実施し、
次世代の社会を担う豊かな
人間性を備えた創造的な人材を育成すると
ともに、
国際理解・交流の促進を図ることを目指しています。