留学先の国の特徴や留学情報をご紹介。
国ごとの違いを明確に知り、自分にあった留学先を見つけましょう。

大学・大学院・短期大学・専門学校 奨学金留学

留学期間:2019年9月~2022年8月 
学校名: ライデン大学
専攻名: Arts, Media and Society course
留学形態:大学への進学(学士号取得)

Q. 留学をしようと思った動機を教えてください。

中学校三年生の頃にたまたま見たウェブサイトで、スタンフォード大学では年収1,000万円以下の家庭の生徒は学費等免除ということを知り、親に負担をかけずに海外留学を達成するという道もあるのかと考え始めた。これがきっかけかは定かではないが、高校一年生ごろから「日本の大学に通っている将来の自分」に実感を持てなくなり、日本の大学に行くという選択肢が自分の中で自然消滅していった。また、若いうちに色々なことを経験しておくのが重要と、大人たちはよく言うが、もしそうなら、自分の若い時代のほとんどを日本という一つの文化圏で過ごすのはもったいない、自分をもっと揺さぶる経験をしたいと考えた。


Q. 留学先の国・地域、留学先校を選んだ理由を教えてください。

物心ついた頃から、特に深い理由はなく、KLMオランダ航空が好きだったため、オランダは小さな頃から自分の中で好きな国だと認識していた。大学の留学先としては、初めはアメリカを考えていたが、多くの日本人が目指すことや、金銭面などでリスクが高いことがネックだった。そんな頃に、小さな頃にオランダが好きだったということを思い出し、オランダの大学について軽くリサーチをしたところ、世界的にも評価が高く、自分の興味にも非常に合致する学科を見つけることができたので、自然とそこを目指すようになった。


Q. 留学に対する家族の反応はどうでしたか?

海外トップレベルの大学を目指すという、自分の海外志向・向上心をとても応援してくれたと思う。特に、福祉政策などについて新聞等を介してオランダに興味を持っていたらしく、自分がオランダを留学先として考えていることを非常に好意的に感じていたようだった。無論、長期の海外留学は、親にとっては辛い子離れだろうが、自分の選択には最大限の理解とサポートをしてくれたと感じている。

Q. 留学の準備にはどのくらいの期間を要しましたか?留学を思い立ってから、実際に出発するまで、それぞれの準備段階にわけて教えてください。

2015年9月ごろ:留学に興味を持つ(緩やかに情報収集開始)→2016年8月:海外大学留学を決意→2017年8月:トビタテ留学JAPANを利用して短期海外留学、オランダ行きを決意→2018年4月:ライデン大学視察・イベント参加→2018年10月:大学応募開始→2019年4月:合格発表、寮など手配→2019年9月:留学開始。


Q. 留学情報の収集はどのように行っていましたか?使用したウェブサイト、雑誌、イベント、SNS(YouTube、Twitter等)などがあれば、あわせて教えてください。

基本的にはライデン大学の公式ウェブサイトをよく読み、必要がある際はメールで大学とやりとりをしていた。その際、高校の英語の先生などにアドバイス等を仰ぐこともあった。加えて、ライデン大学東京事務所にも電話や面談等で情報をいただくこともあった。また、2018年4月には、現地を訪れ、担当の教授と面談した他、オープンキャンパスに相当するイベントにも参加した。


Q. 語学学習はどのように行っていましたか?

自分の学校で一番教えるのが上手いと思った英語の先生に直談判して、それから二年間ほど毎日のように個人指導をしていただいた。具体的には、その先生が読み終えたNYTimesを読み、それについての要約や意見を書くことを宿題として取り組み、翌日その先生に評価をしてもらった。また、「CNN10」やケネディ大統領のスピーチのシャドウィングなども毎日行っていた。このトレーニングのおかげで、高校三年時にはIELTS7.0を達成でき、大学入学に大きなプラスになった。ただ、実際に大学の学校生活が始まると、IELTSとは全く違う次元の語学力が求められたため、語学は留学してから学ぶ部分が多いと覚悟しておくべきだと感じる。


Q. 留学(斡旋)サービスなどは利用しましたか?

利用しなかった。そもそも、アイビーリーグなどを念頭にした斡旋業者ばかりで自分の志望と合わなかった。加えて、高校の成績が大学入学に直結すると考えていたため、斡旋サービス(海外大学入学塾)などを利用することによって、ダブルワークになるのを避ける目的もあった。


Q. 留学の資金調達はどのように行いましたか?利用した奨学金などがあれば、あわせて教えてください。

日本学生支援機構(JASSO)学部学位取得型に2019年度採用していただき、留学終了までの三年間、継続的にご支援賜りました。この奨学金がなければ留学は不可能でしたので、非常にありがたかったです。

一方で、オランダは住宅市場の混雑から、ここ数年間で家賃がとても値上がりしている。そのためJASSOの奨学金でカバー出来なかった部分の生活費は、母親の仕送りに頼る必要があった(月に大体10万円弱ほど)。


Q. 入学や学生登録の手続き、ビザの手続きなどはどのように行いましたか?特に苦労したことや気を付けた方がいいことなどがあれば教えてください。

基本的には、大学から提供されるメールやウェブサイトの情報を毎回よく読み、先着順で決まるもの(特にハウジングなど)は、毎回確実に応募開始時に応募をするようにしていた。ビザや登録等は、大学側のオフィスが手配してくれたので、自分としては必要情報等を気をつけて入力するのみであった。

このような手続きで気をつけるべきことは、とにかくハッキリとした意思表示をすることだと思う。少しメールの文面が長くなったり、リマインドの回数が多くなってしまっても、とにかく自分の意志がもれなく伝わるコミュニケーションを心がけると、余計なトラブルを避けることができる。

Q. 留学中の学校生活はどうですか(どうでしたか)?海外の学校だからこそ苦労することや、逆に学校生活での楽しみなどを教えてください。

言語面に関して、特にライティング能力の正確さと速さについては非常に苦労した。言語面で不自由なく、学問そのものに集中できるのには、大体2年ほどはかかったと感じる。中でも最初の6ヶ月(1セメスター)は、言語面に加えて、(1)初めての大学生活、(2)初めてのひとり暮らし、(3)初めての海外生活が全て重なったため、中間考査直後の1日以外、常に勉強をしている状態だった。

一方、学校生活の楽しい面としては、個人的には教授たちとフラットな関係を築けることが挙げられる。生徒の興味関心を全力でサポートしたい先生方が多く、マンツーマンでも気さくにお話しに応じてくださった。学識豊かなお話を沢山聞けて、とても楽しかった。


Q. 学校外の生活はいかがですか(いかがでしたか)?寮などでの生活や休日の過ごし方に加えて、街の治安などについても教えてください。

寮にもさまざまなタイプのものがあるが、清潔感やルーティン(ヨーロッパ人は朝にシャワーを浴びる等)の個人差が大きいのが、国際寮共通の特徴だと思う。「どうして○○してくれないの?」よりも「どうせみんなこんな感じだよな」というマインドで臨んだ方が、心的に楽かなというのが僕の経験則である。

休日に関しては、最初の一年間は勉強に費やすことが多かったが、二年目以降はルームメイトと近所を回ったり、オランダ人の友達の実家にお呼ばれしたり、地域の博物館に行ったりと、深いレベルでオランダ文化を知るいい機会をたくさん作れた。

街の治安に関しては、個人的には全く問題ないと感じており、怖いと感じた出来事も余り記憶がない。地元の人が近づかないエリアには行かない、不用心に寝落ちしないなど、基本的な予防をしていれば大丈夫だと思う。


Q. アルバイトやインターンはしていますか(していましたか)? 

在学中はアルバイト・インターンを行わなかった。そもそも賃金が発生する労働に関しては私の学生ビザで一切禁止されていたため、JASSOの奨学金と親の仕送りに頼るしかなかった。加えて、パンデミックによりオンライン以外の職務経験の場が少なかったことと、大学のための勉強時間を考えると時間的余裕はなかったと振り返って感じる。大学の単位のためにインターンを行うという選択肢もあったが、オランダ語ネイティブを想定しているインターンシップが多かったため、代わりに副専攻を行うに落ち着いた。インターンシップに関しては、学部卒業後の方が柔軟に働かせてくれる機関が多いため、在学中に座学に集中して、卒業後にインターンシップに集中する時間を取るのが良いと個人的には考えている。

Q. 留学を経験してみて感じたこと、学んだことはありますか?

十代の終わりから二十代のはじまりに跨る長期留学を経験し、物事を相対的・俯瞰的に見る能力はとても強くなったと思う。学校においてもオランダ生活一般においてもマイノリティとして時間を過ごす中で、ある社会や人々が「普通」としていることを外側から見つめたり、逆に自分の中に染み付いている日本人的部分をオランダ人に指摘されたりすることが多かった。一つの文化、一つのコミュニティに長くいると、頭をゼロから使わなくても大丈夫になる傾向が強いと思う。その点、学部留学は、そんな構造から抜け出して、本当に自分が「主体的に生きる」とはどういうことなのかを考え始めるための最高のきっかけになると思う。もちろん、言語面やコミュニケーション面、学問面などでも大きく成長したと思うが、上に書いたことが一番根源的な学びだったと感じている。


Q. 留学後の進路について教えてください。

学部卒業後から次の9月までの一年間ほど、社会経験や自由に学問を探究するためのギャップイヤーを過ごしている。具体的には、バイトで資金を確保しつつ、複数の機関でインターンシップを行ったり、図書館で研究活動をしたりしている。現在、次のステップとしては大学院入学を目指している。MOOCやサマーコースなどを利用することで、大学院での専攻を変える・拡げることができる場合もあるため、美術史・博物館学の大学院コースに限らず、さまざまな分野の研究者と連絡をとるなどして、将来の方針を策定中である。


Q. 最後にこれから留学をする方へのメッセージ・アドバイスをお願いします。

少しでも留学をしてみたいという気持ちがあるならば、ぜひやってみると良いと思います!確かに、留学の楽しさや学びの深さは人それぞれですが、「やらないよりもやって後悔」なのだと思います。ぜひ若い感性に、日本だけではなく世界の素晴らしさを照らしてみて、一度きりの人生を鮮やかにしてください。留学を(特に長期の)豊かにさせるためのアドバイスとしては、(1)自分がどう転んでも誰かに助けてもらえるような人的ネットワークを意識して作ること、(2)気になるものごとは、自分の眼でちゃんと見て判断すること、です。この二つがしっかりしていれば、世界中どこにいても、「自分」をしっかり保てるのだと思います。近い将来、これを読まれているみなさんを含め、色々な世代の留学経験者と一緒に日本を盛り上げるお手伝いをできる日を楽しみにしています!

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)は、
文部科学省が所管する団体です。
学生支援を先導する中核機関として、「奨学金事業」
「留学生支援事業」および
「学生生活支援事業」を
総合的に実施し、
次世代の社会を担う豊かな
人間性を備えた創造的な人材を育成すると
ともに、
国際理解・交流の促進を図ることを目指しています。