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奨学金留学
体験レポート
2025年2月21日更新
留学先国・地域:アメリカ合衆国・ニューヨーク州
留学都市名:イサカ
留学先学校名:Cornell University
専攻名:細胞生物学
留学期間:2021年9月~2026年5月
留学形態:博士課程
奨学金:JASSO給付型「海外留学支援制度(大学院学位取得型)」
留学の動機について
Q. 留学をしようと思った動機を教えてください。
高校1年時に学校の交換留学制度で1年間、アメリカに留学する機会がありました。興味関心をオープンに議論し合えたり、生徒の意見を軸に授業を進めていくアメリカの教育システムに触れ、また日本国内で生まれ育った当時の自分にとって、様々な人種・国籍の学生と共に勉強したり遊んだりする環境が何より新鮮でした。
大学でも多国籍な環境に身を置きたいと考え、University of Michigan Ann Arborという大学へ進学しました。進学先の大学では様々な分野の授業を履修し、中でもあらゆる生体の健康・病気を司る細胞というミクロの世界に魅了され、細胞生物学を専攻しました。
また大学2年時より細胞内のゴルジ体と呼ばれる器官の働きに関する研究室に所属させていただき、アメリカの研究大学で充実した設備や多種多様なテーマの研究室が集まる環境の下で研究に没頭できる喜びを実感しました。
こうした場で研究を続けることが自身の研究者としての知識や技術、また思考力・教育力の向上に繋がると思い、アメリカの大学院進学を決意しました。
Q. 留学先の国・地域、留学先校を選んだ理由を教えてください。
大学在籍時に、誰しもが持っている細胞による極めて複雑な機能や構造に関して興味が芽生え、さらに細胞生物学の研究を通して基礎研究がいかにあらゆる病理解明や治療応用に欠かせないものであるかを実感し、卒業後も同分野の研究を続けるために博士課程への進学を決めました。
コーネル大学にはシンクロトロンをはじめ、充実した研究施設や、生化学・分子・細胞・遺伝子・発生・物理などの多彩な分野を交え共同研究が盛んなプログラムであることが大きな決め手となり、本校への進学を決めました。
また、初年度は専門分野や統計学等の授業を履修しつつ、3か月の研究室ローテーションを3度行ったのち、所属する研究室を決めることができます。基礎知識を蓄えつつ、ローテーションを通して実際の研究室での生活を体験できることも魅力のひとつでした。
留学の準備について
Q. 留学の準備にはどのくらいの期間を要しましたか?
留学を思い立ってから、実際に出発するまで、それぞれの準備段階にわけて教えてください。
大学3年時にアメリカへの院進を決断し、情報収集を始めました。
まずは学部時代の研究室の教授やポスドク・院生の方々、授業でお世話になった教授にお話を伺いながら出願校や研究室をリストアップしていきました。各研究室のウェブサイトを閲覧していると自分もこんな研究をしてみたい、と自然にモチベーションが上がっていくのでお勧めです!
空き時間にGREの勉強を少ししていました(GREは日本での大学4年時の夏休み中に受験)。特にこの時期はCOVID-19で自粛期間でしたので、家でできる勉強と院進へのモチベーション維持を心がけていました。
4年生になってから最初の数ヶ月(日本での大学4年の10月頃まで)は出願に向けて特に準備するわけでなく、とにかく目の前の研究に夢中でした。自粛期間に何も出来なかった反動もあったと思います。
結果論ですが、生物系の博士課程プログラムへの出願に関しては、やはり最も重要視されているのは学部時代にどんな研究をしていたか、また今後の研究分野への興味だと思うので、あまり出願に関して気負い過ぎずに実験に没頭してた日々もプラスになったと思います。
秋過ぎになって出願書類を準備し始めました。また推薦状を研究室の教授と授業でお世話になった教授の方々に依頼しました。準備段階で特に苦労したのはResearch Statementです。研究成果をプレゼンすることはあっても、文章で綺麗にまとめる経験があまりなかったのですが、何度も研究室の院生の先輩にアドバイスを貰いつつ、毎日書き直すような日々でした。
ほとんどの学校の出願締切が11月から12月でしたので切羽詰まった準備期間でしたが、先輩方・教授の多大なるサポートのお陰で無事出願できました。
僕自身は悪い例となってしまいますが、夏の段階でエッセイ等を書き始められると余裕を持って出願できると思います。また出願書類は自分だけでなく、周りの方々(家族や友人・先生方)にも見てもらえるとより深みのあるエッセイになると思います。
Q. 留学にはどのくらい費用がかかりましたか? 留学の資金調達はどのように行いましたか?
奨学金の申請は大学院在籍中に行いました。留学費用・生活費は3年目までは大学・研究室に支援していただきました。4年目からは日本学生支援機構様の奨学金から支援いただいております。
留学中の様子について
Q. 留学中の学校生活はどうでしたか?日本の学校との違いや、海外の学校だからこそ苦労することや、学校生活での楽しみなどを教えてください。
普段は朝から晩まで基本研究室で過ごしています。
僕の在籍しているコーネル大学はイサカという小さな町にあり、自然豊かで穏やかな場所ですので自分のペースで研究ができていると思います。現在所属している研究室は細胞の成長や分化を制御しているシグナル伝達経路の解明、またこれらの経路がどのように癌や老化等を引き起こすかを理解することをテーマとしています。素晴らしい教授やメンター・同僚の方々に囲まれ、伸び伸びと実験に没頭する日々です。
また研究室外では、春夏は近くの湖に遊びに行ったり、キャンプをしたり、秋はハイキング、冬はスキーやスノボなどイサカならではの楽しみを満喫しています。また学校のサッカーサークルにも所属しており、息抜き程度に体を動かしています。
Q. 留学中の生活で大変だったことを教えてください。また、それをどのように克服、対応しましたか?
アメリカの大学には特に様々な人種・国籍の学生や研究員が集まっていて、多様な考えに触れることができる一方、価値観の違いの擦り合わせに苦労することもありました。研究室内でも友人間やシェアハウス内でも、日本人としての常識や当たり前が他の人にとっては全く違う場面に日常的に遭遇します。自分の意見を常に押し通すわけでもなく、相手に従ってばかりでもなく、お互い歩み寄れるような関係性を築けるよう、できるだけ普段から距離感を縮めて相手を理解するように心がけています。
留学後について
Q. 留学を経験してみて感じたこと、学んだことはありますか? 留学前と比べて成長した面はありますか?
語学力や学問に関する知識や技術はもちろんですが、何より家族から離れて違う国で学生時代を過ごしたことで自立し、将来に関する責任も芽生え、より目標に直向きになれたと思います。
渡米してからは日常の生活や人間関係からキャリア選択まで、とにかく自分でどうすれば良いか考える機会が多く、自分主導の決断が増えました。また各々の多様な興味関心をオープンに表現する文化性の影響もあり、より自分のやりたいことは何なのかを考えさせられました。高校時代まではぼんやりとしていた将来像でしたが、現在は大学・大学院と各ステージごとに目標が持て、それに向かって頑張ってみよう、という前向きな気持ちが芽生えるようになりました。
Q. 留学後の進路について教えてください。
大学院卒業後はポスドク研究員として現在と同様に癌や老化を制御する細胞のメカニズムに関して研究がしたいと考えています。
Q. 最後にこれから留学をする方へのメッセージ・アドバイスをお願いします。
現在留学準備中の方々、出願は特にストレスの多いプロセスで体力・気力共に消耗しきってしまう時もあると思いますが、最後まで頑張ってください!
僕はそんな時には自分が留学するんだ、と決断した時の強い気持ちを今一度思い出してモチベーションを上げていました。
応援しております!
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