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奨学金留学
体験レポート
2025年4月30日更新
留学先国・地域:アメリカ合衆国・シアトル
学校名:University of Washington
専攻名:経済学
留学期間:2019年9月~2025年3月
留学形態:博士課程
奨学金:JASSO給付型「海外留学支援制度(大学院学位取得型)」
留学の動機について
Q. 留学をしようと思った動機を教えてください。
選択肢を広げるため。日本で進学すると日本でしか就活できないと思ったが、アメリカで学位を取得すると世界中で働くチャンスが生まれると思い、留学を決意した。
Q. 留学先の国・地域、留学先校を選んだ理由を教えてください。
学生ながらティーチング・アシスタントとして働き、授業料や生活費を援助する制度が整っているアメリカを第一志望にし、専門分野の研究者が多数在籍していたワシントン大学に進学した。
留学の準備について
Q. 留学の準備にはどのくらいの期間を要しましたか?留学を思い立ってから、実際に出発するまで、それぞれの準備段階にわけて教えてください。
準備は2年ほどかかった。順序としては、成績・研究と並行しつつTOEFL(留学1~2年前)、GRE(1年前)、出願(Statement of Purpose)(10ヶ月前)、奨学金申し込み&面接(半年前)、入学先選択(4ヶ月前)。英語の試験に年単位でつまづく同期を複数人みてきたので、早め早めに準備するが吉。
Q. 留学情報の収集はどのように行っていましたか? 使用したウェブサイト、雑誌、イベント、SNS(YouTube、Twitter等)などがあれば、あわせて教えてください。
博士留学した人のブログやツイッターアカウントを見たり、博士留学した教授に話を聞きに行ったりしていた。進学先が決まってからは、進学先の先輩にメール等で連絡し情報を集めていた。
Q. 留学中の住まいはどのように探しましたか ?
facebook上で物件を紹介しているサイトがあったので、渡米二ヶ月ほど前に日本にいながら契約した。結果的にこれが大きな間違いで、現地に着いてみると2人ルームメイトがいる中、自分に割り当てられた居住空間がドアすら付いていないリビングであった。初年度はこのせいでストレスが半端ではなく、ほぼ研究室に住んでいた。皆さんは可能であれば現地で直接物件を確認してください。
Q. 語学学習はどのように行っていましたか?
ネット上で教師を見つけ、週に複数回スピーキングの練習をしていたほか、英単語は毎日インプットしていた。
Q. 留学(あっせん)サービスなどは利用しましたか?
していない。
Q. 留学にはどのくらい費用がかかりましたか? 留学の資金調達はどのように行いましたか?
TOEFL・GRE受験代それぞれ約2.5万円
参考書代それぞれ約1万円
パスポート代1.5万円
渡航費・初期生活費約50万円(徹底的にケチったので、大分安い方であると思う)
留学中はJASSOより生活費・授業料の支給があったので、支出に関しては初期費用の用意に一番苦労した。貯金・バイトで大部分を賄い、足りない部分は親に頭を下げた。
JASSOの奨学金支給が終了した後はTAやインターンを行い生活費を工面した。IT系のインターンは時給が$50を超えるものがたくさんあるので、一度でも経験すると生活がかなり楽になる。
Q. 準備しておいてよかったこと、また準備しておいたほうがいいことなどはありますか?
英語力。ネイティブレベルで話せないなら、本腰をいれて準備すべき。私の英語力はネイティブレベルでなかったので、長期インターンの際子供扱いされ、意見をなかなか聞き入れてもらえず、悔しい思いでいっぱいであったのを覚えている。
Q. 入学や学生登録の手続き、ビザの手続きなどはどのように行いましたか? 特に苦労したことや気を付けたほうがいいことなどが教えてください。
進学先を決定すると、大学から書類が送られてくるので、それを送り返すと日本の大使館でビザ発給の面接がある。それをパスすると渡航が可能になる。アメリカは検疫がしっかりしており、渡航前にワクチンを4回接種した。それぞれ1週間以上間隔を開けないといけないので、渡航一ヶ月以上前からスケジュールしないと焦る。
留学中の様子について
Q. 留学中の学校生活はどうでしたか? 日本の学校との違いや、海外の学校だからこそ苦労すること、学校生活での楽しみなどを教えてください。
授業中は皆積極的に発言する。分野が(アメリカでは)理系なので、授業中の発言量は関係なく全て課題とテストで成績が決まっていた。結局静かに授業を聞いていた東アジア系の学生が好成績を残していた。皆フレンドリーなので、授業外でも気さくに話しかけてくれ、仲良くなるのが比較的簡単であった。同期が19人おり、国籍が11にばらけていたので、いろいろな国の話を聞くのが楽しく盛り上がった。
Q. 学校外の生活はどうでしたか? 寮などでの生活や休日の過ごし方、町の治安などについても教えてください。
治安は特にコロナ以降悪く、大学キャンパス内外で強盗・暴力事件が月に数回起きていた。(もちろん授業は通常通り行われる)長期休暇では仲の良い友達と国立公園に行き、BBQをしたのがいい思い出。海外在住の日本人は助け合いの精神が強いので、人脈を作っておくと困った時に助けてくれることが多い。
Q. 留学中の生活で大変だったことを教えてください。また、それをどのように克服、対応しましたか?
物価が高く、JASSOの生活費支援だけだと家賃をかろうじて払えるくらいのお金にしかならないので、節約はかなり意識していた。米が8kg25ドルと安いので、基本的には米を炊いて自炊し、クレカやチラシの割引を常に頭に入れていた。
Q. アルバイトやインターンなどの活動はしていましたか?
TAとして働いていた。週に20時間まで、学部生に経済学や統計学の講義を行いながら、宿題・テストの採点、テスト作成、試験監督、オフィスアワーの対応などをこなす。TAとして働くクオーターは授業料免除・医療保険無料・バス定期無料・生活費支給という待遇が得られるが、授業評価が2回3.5を下回るとTAとして働く権利を失うので、手を抜くことができない。
留学後について
Q. 留学を経験してみて感じたこと、学んだことはありますか? 留学前と比べて成長した面はありますか?
学業面で成長したのはもちろんのこと、性格面も成長したと感じる。日本に住んでいたころは自己主張できないことも多かったが、主張すること・他人に話しかけること・笑顔を作ることが上達した。同期は議論好きが多く、対立する意見でも気遣い・遠慮なく主張していたが、人格攻撃などは絶対しないので、議論を終えても皆仲が良いままであった。よくよく聞いていると議論の筋など全く通っていないことも多いし、相手もただ自分の思っていることを誰かに聞いてほしいだけで自分の意見に興味など対して持たないので、生真面目に筋の通った論理など考える必要などない。こんな感じで、留学後は他人と喋るのが楽だと感じる。また、物怖じしなくなった。現在日本で生活しているが、アメリカで5年間生活したのだから、日本語が通じる以上どんなことが起きてもなんとかなる、の精神が身についている。
Q. 留学後の進路について教えてください。
日本企業でリサーチサイエンティストとして働く予定。博士留学中の内容がダイレクトに活かせる仕事内容なので、仕事をするのが非常に楽しみである。博士としての就活はそこまで大変であったという印象はなく、日本では主にデータサイエンティスト系の求人に応募していたが、4ヶ月程度の就活で内定は複数いただけた。巷では博士人材は仕事がないと聞くが、私のようなバックグラウンドには当てはまらないようだ。助教授のオファーもいただいたが、企業に勤めつつ研究もできるところを入社先として選択した。
Q. 最後にこれから留学をする方へのメッセージ・アドバイスをお願いします。
個人的には留学して良かったと思っている。留学中はかなりの負荷がかかるので、自身の限界や自分にとって重要な価値観に気づくことができることができるのが大きな収穫であると思っている。留学して合わなければ変えれば良いだけの話だし、低リスクで視野を広げ、自身に向き合う機会を作ることができる。
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