留学先の国の特徴や留学情報をご紹介。
国ごとの違いを明確に知り、自分にあった留学先を見つけましょう。

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留学先国・地域:フィンランド・オウル
学校名:オウル大学
専攻名:humanities
留学期間:2022年9月~2023年5月
留学形態:学士課程(日本の大学在学中)
奨学金名:JASSO給付型「海外留学支援制度(協定派遣)」

Q. 留学をしようと思った動機を教えてください。
・フィンランドの英語力の高さについて英語教育に焦点を当て調べる
 英語教諭免許取得のため教職をとっており、他国の英語教育に対し興味があったため。またフィンランドの公用語の一つであるフィンランド語はウラル語族に属しており、英語との言語的距離が離れているにもかかわらず英語テストのスコアが他国と比較して高かったことに驚き、現地でフィンランドの英語力の高さについて調べたいと考えた。   
・コミュニケーション・学術英語の上達
 日常生活・授業で英語に触れることで、コミュニケーション・学術英語の二つの能力を向上させたいと考えた。 
・出身大学の留学がしやすい雰囲気
 出身大学の派遣留学プログラムが充実しているとともに、留学後、過半数の学生が5年生卒業をすることから、学校全体で留学しやすい雰囲気があったため。

Q. 留学先の国・地域、留学先校を選んだ理由を教えてください。
フィンランドを選択した理由として、地理的理由と教育学への興味がある。前提として 母校の派遣留学リストから派遣留学先を選択した。第一に地理的要因であるが、英語圏の中でアメリカは高校生の時長期留学をしていたため、選択肢から除外した。またオーストラリアは姉が留学しており、被ることが嫌であったため、選択しなかった。その上で、ヨーロッパ諸国から、フィンランドを選択した理由は、フィンランドは非英語圏と同時に、公用語の一つであるフィンランド語が英語と大きく異なる一方で、統計調査において他国と比較して英語力が高かったことから、英語教育に秘訣があるのではないかと考え、教職課程を取っていた自分として興味が沸いたため。

Q. 留学に対する家族の反応はどうでしたか。 
高校生の時に既に留学していたため、心配されることは少なく応援してくれた。

Q. 留学の準備にはどのくらいの期間を要しましたか。
留学を思い立ってから、実際に出発するまで、情報収集、学校選定、出願、ビザ申請など、
それぞれの準備段階にわけて教えてください。
2021年9月(2年生)  大学の派遣留学プログラムの応募要件の一つに、外部試験のスコア提出があったため、TOEFL iBTを受験。 
2021年10月  派遣留学プログラムの提携校から、自身の興味・外部試験のスコアを基に第一希望をフィンランド・オウル大学に決める。また応募のため志望動機を考える。無事合格。 
2022年3月  2022年度派遣JASSO海外留学支援制度(協定派遣)応募 
2022年5-6月 
・留学中の寮を決める。オウル大学には複数の寮があり、どの寮が良いか(位置・他の留学生とどのくらい交流したいか等)事前にアンケートを回答する。アンケート結果を基に留学生寮を管理している非営利団体psoasから詳細な寮の情報が送られ、良ければメール上で承認
・depositを送金。 
・大学を通じて海外留学保険に加入 
2022年7月  ・フィンランド大使館でのビザ取得。 
2022年8月26日 渡航 
※渡航のためのワクチン接種の必要は無かった。
Q. 留学情報の収集はどのように行っていましたか。
渡航前の情報収集はあまりしなかった。強いていえば、過去の派遣留学生の留学体験記を読んだり、各大学の公式ホームページを眺めたりした。

Q. 留学中の住まいはどのように探しましたか。
大学が寮を渡航前に斡旋してくれたので自主的に探すことはなかった。ちなみに選択した寮についてだが、4人部屋(各個人の部屋は完備で、キッチン・トイレ・シャワー共有)家賃は月約54,000円(電気水道込み)・家具付きなので、物価が高いフィンランドではとても良い物件だと思う。住居中の問題(電球が切れる、ラジエーターがつかない等)は、フォームを送るだけで無料で解決してもらえる。寮に設備されているサウナも無料で利用することができる。一棟丸ごと留学生向けのアパートなので、友人の部屋に行き来しやすい。スーパーも徒歩5分にあるので、好立地である。寮の自転車が無料で使える。

Q. 語学学習はどのように行っていましたか。
<英語> 
コミュニケーション面:元々、高校1年次にアメリカ留学を10ヶ月していたため、英語でのコミュニケーションは取ることが出来た。その上で、各ヨーロッパ圏からの留学生と友達になることで、日常的に英語を使う環境を作った。留学生は皆寮に住んでいることと、留学生向けのイベントが、学生団体ESNによって開催されるため、留学生同士の交流機会は多かった。ただ、英語での日常会話は問題なく行えるようになったが、スピーキングで細かい文法間違いは最後まで消えなかった。 
アカデミック英語:学術英語に関して、論文のリーディングのスピードは上昇し、長文ライティングも行えるようになった。また、授業でも自分の考えを自信を持って発言できる様になった。しかし、アカデミックな語彙習得はもっと改善できたと考える。

<フィンランド語> 
フィンランド語の授業履修と、タンデムパートナーとの言語学習をした。
しかし、フィンランド語学習の動機が
1.フィンランド人とコミュニケーションを取りたい
2.フィンランド留学での必要性
であったが、一学期目(秋学期)を実際に過ごし、フィンランド人との交流が少なく、また、たとえ交流があったとしてもフィンランド人は英語が堪能であるため、フィンランド語を習得する必要性が感じられなくなり、二学期目はフィンランド語に関連するコースを履修することはなかった。そのため、フィンランド語の学習進度は低いままで留学が終了した。  

Q. 留学にはどのくらい費用がかかりましたか。留学の資金調達はどのように行いましたか。
費用:約147万円(1€=148円計算)
家賃 53万700円電気水道込み(1ヶ月 約5.4万円) 
クレジットカード支払い9ヶ月分 計483,302円 
(主な出費:学食1食500円程度、大学提供の運動プログラム(UniMove) 学期ごと2000円、旅行 6回 計364,080円) 
※旅行代金とクレジットカード支払いで二重計算している部分があるため、正確な費用でなくあくまで概算 
※(参考)旅行行き先 
Olanka(フィンランド国立公園1泊2日) 80€ 
Tallin (エストニア), Helsinki 150€ 
Lapland(フィンランド)389€+118€ 
Christmas (ヘルシンキ&ポーランド) 250 € 
スウェーデン&ノルウェー 444€ 
欧州周遊旅行 600€

Q. 留学中の学校生活はどうでしたか。
日本の学校との違いや、海外の学校だからこそ苦労すること、学校生活での楽しみなどを教えてください。
<授業内容に対する感想> 
全体的な感想:1年50単位履修を目指している大学生なら、推奨されている一学期の最高単位数である30単位履修したとしても、オウル大学での勉強量は少なく感じると思う。また、他学部の授業も、担当教諭にメールをすれば履修できる可能性が高いため、広くシラバスをみることをおすすめする。 

<フィンランド語クラス> 
フィンランド語を0から教えてくれるのだが、留学前にフィンランド語の授業を履修していたため、少し物足りない感じがあった。内容は時間の伝え方、動詞の活用、KPT変化、所有の表現など日常生活に依拠する内容が多かった。 

<Humanities のクラス> 
Humanitiesの中でも、留学生向けのScandinavian studiesを取ったが、留学生間の学習進度の違いを考慮してか、全体的に内容は広く浅くといった印象を受けた。しかし、持続可能性に関する授業(Anthropology of sustainability, Arctic and Nordic Perspectives on Sustainable Development)は毎回違うゲストスピーカーが授業していたため、多角的な視点から一つのテーマについて考えることができ、特に勉強になった。また、サーミ人など原住民族に関する授業はオウル大学ならではと感じた。 

<他学部のクラス> 
教育学部の授業は“Linguistic diversity and education”を履修したが、クラスで使用される言語と異なる言語を第一言語とする生徒との関わり方について学習した。移民が多く、多言語が使用されるフィンランドならではの授業だと感じた。  フィンランド人向けに開講されている英語での授業が一番面白かった。一つは言語学を教育の視点からみる題目の授業で、語学教師を目指している人ならとてもためになると感じた。また、質的調査の授業では、実際に調査をすることができた。 

<大学の施設、設備、サービスについて> 
学食は学内に6つ設置されており値段は一律だった。(3€程) 図書館のほかに、自習スペースが完備されていた。またカードを購入すれば、学校にいつでも出入りできる。そのため、プロジェクターのある部屋を借りて夜映画鑑賞をすることもあった。  

Q. 学校外の生活はどうでしたか。 寮などでの生活や休日の過ごし方、町の治安などについても教えてください。
<放課後や休日の過ごし方> 
日常生活では課題消化・友人と遊ぶなどした。友人とは寮で料理をしたり、サウナに行ったり、運動プログラムに参加したり、夜に映画を見るなどした。  学期中や学期間での1週間から2週間ほどの長期休みでは旅行をした。ただ、オウルからヨーロッパ諸国へのアクセスは良くないため、時間・お金がかかる。またESNという団体が留学生向けの旅行ツアーやイベントを企画してくれたため、交友関係が広げやすい。日本フィンランド協会がオウルにあり、日本人として、フィンランド人とバドミントンやパーティーなどを通じて交流出来る。 

<教室外の学び> 
オウル大学の教育学部では、実際に現地の学校で教育実習ができる授業があり、私は履修しなかったが、日本人の友人の教育実習に同行させて貰うことがあった。座学でなく、実際の教育現場で児童・生徒とふれあう経験は忘れがたいことであった。また、小学校でのイベントの一環で、小学生に日本についてのプレゼンテーションを行うことがあった。年齢別でプレゼンテーションの内容やアクティビティを変えたりするなど教える立場としての思慮を学ぶことが出来たと思う。また、なにより現地の小学生との交流が出来たことは達成感あった。 

<現地の治安状況> 
基本的に治安は良い。深夜に歩いていても危険性は感じない。ただ、早朝の街の中心街で、薬物使用者とみられる若者がショッピングモールに火をつけるところに遭遇したので、安全性を過信しないほうが良い。  

Q. 留学中の生活で大変だったことを教えてください。また、それをどのように克服、対応しましたか。
 ・教育について勉強したかったが、留学先学部の人文学科では教育学系の授業が開講されておらず、1学期目はもやもやした気持ちがあった。 ⇒2学期目で、他学部の先生に直接コンタクトを取り、授業の履修を認めて貰った。 
・学期の間で留学生が総入れ替えするため、人間関係がリセットされる。 ⇒寮・学校生活で自然と友達になっていく。

Q.  アルバイトやインターンなどの活動はしていましたか。
課外活動として以下のことを行った。 
・現地小学校Hiukkavaara Schoolで開催さていたInternational Weekの一環として自国についてのプレゼンをした(2023年5月11日) 
・オウル・日本協会の一員として、経済学教授・研究者による寿司作り懇親会の補助(2023年5月5日)

Q. 留学を経験してみて感じたこと、学んだことはありますか。 留学前と比べて成長した面はありますか。
・人を頼ることの大切さ 
 留学中、欧州では寿司人気が高い一方、寿司に対する意識が日本人と異なることに気がついた。そのため、日本の寿司文化を広めたいと考え、15人の留学生 対象に夕食会を開催した。しかし、途中、計画が頓挫しそうになった。原因として、全て1人で準備しなければいけないと思い込んでいたためである。この失敗から、周囲の人と助け合いが大切だと気づき、留学生3人に簡単な仕事を任せ、日本人の私にしか出来ない仕事に注力した結果、会は大成功を収めた。

Q. 留学後の進路について教えてください。
5年次に教育実習に行き、中・高英語教育免許を取得した。卒業後は、日本を世界に広めていけるかという就活軸のもと、日本貿易振興機構に就職を決める。

Q. 最後にこれから留学をする方へのメッセージ・アドバイスをお願いします。
学内選考の時に、厳しい自然に耐えられる精神力があるか聞かれたこともあり、留学前は厳しい自然に耐えられるかがとても心配でした。実際冬には日照時間が1時間未満になったり、最高気温氷点下の日が続くなどありますが、その分自然は美しく、オーロラや一面の雪景色などフィンランドを選んだからこそ感じることの出来る自然がありました。また、公用語がフィンランド語・スウェーデン語ということもあり、英語が通じるか心配でしたが、英語だけで問題なく生活出来ます。最後に、フィンランドというゼミともほぼ関係の無い留学先を選び、この選択が正しかったのか迷うことも多々ありましたが、留学中に得られた経験は一生の宝です。

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)は、
文部科学省が所管する団体です。
学生支援を先導する中核機関として、「奨学金事業」
「留学生支援事業」および
「学生生活支援事業」を
総合的に実施し、
次世代の社会を担う豊かな
人間性を備えた創造的な人材を育成すると
ともに、
国際理解・交流の促進を図ることを目指しています。